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学習到達度調査(PISA2012)の結果を受けて

公益財団法人日本数学検定協会(所在地:東京都台東区、理事長:清水 静海)は、この度、学習到達度調査(PISA2012)の結果を受けて、下記のとおり考察いたしましたので、お知らせいたします。

図表1・2・3
http://www.atpress.ne.jp/releases/41573/a_5.pdf


2013年12月4日、OECDが2012年に世界65か国・地域で15歳の生徒を対象に実施した学習到達度調査(PISA2012)の結果が公表されました。今回の調査では2003年調査と同様、数学的リテラシーに関して多くの問題が出題されており、数学的リテラシーの傾向を見るには重要な調査といえます。日本は2003年から2006年にかけて平均得点が低下しましたが、その後は平均得点、順位とも上昇してきています。たとえば、2003年、2006年、2009年、2012年のOECD加盟国の中での順位(参加国・地域の中での順位)は、4位(6位)、6位(10位)、4位(9位)、2位(7位)と上昇してきています。それは、レベル1以下の下位層の割合が減少し、レベル5以上の上位層の割合が増加していることによると思われます。しかし、記述式問題については、正答率が低く、無解答率が高いことが依然として課題となっています。
(図1 平均得点及び順位の推移)

2003年以来2回目の質問紙調査が実施されています。そのうち、「学校における学習環境(数学の授業の雰囲気)」については、国際平均に比べ、各指標で5ポイントから20ポイントよい状況にあります。しかも、2003年に比べ、いずれの指標も5〜10ポイント程度上昇しています。
(図2 数学の授業の雰囲気)

これに対し、数学的リテラシーに影響を与える学習意欲等の変化については、国際平均と比べると20ポイントから40ポイント低くなっていて依然として課題があります。しかし、2003年の場合と比べて、「数学の学習に対する不安」や「数学における自己概念(よい成績をとっている)」についての割合には変化が見られませんでしたが、「数学に対する興味・関心や楽しみ(授業が楽しみ)」、「数学の道具的動機付け(学びがい)」、「数学に関する自己効力感(自信)」についての割合ではそれぞれ20ポイント程度の上昇が見られ、改善のきざしが見えています。
(図3 日本の指標値の変化)


今回の結果は、生徒ならびにその指導に関わられたみなさまのご努力の賜であり、みなさまに敬意を表します。今後、より多くの生徒が、数学の有益性、楽しさを知り、数学の学びに主体的に取り組むことができるようになれば、数学の学びを通して、科学技術の進展、社会の発展に寄与できるために必要な基礎的な資質を確かに習得することができると確信しています。

「実用数学技能検定」(数学検定・算数検定)では、創設以来記述式の問題を出題してきています。これは、解答だけでなく、解答を得る過程や理由を記述することが、社会に出て自分の意見を整理し、まとめるときに役立つ汎用性の高い質や能力を養うために必要であると考えているからです。そして、日常生活、社会生活を題材とした問題では、数学がどのような場面で活用されているかがわかるように工夫しています。また、環境問題への関心を喚起する目的で、環境についての課題を数理的に扱った問題を出題しています。音楽に関する問題、理科に関する問題等、他の教科の学びにも数学が関連していることを示す問題も出してきています。さらに、数の性質を用いて解く問題、図形を組み合わせる問題等、パズル的要素を含んだ問題を出題することもあります。これは、問題を解くこと自体を楽しんで、数学を好きになってもらいたいという願いからです。
公益財団法人日本数学検定協会は、これまでと同様に、より多くの人々が数学を主体的に学び、楽しみ、そして数学力が向上することを願い、数学を学ぶ機会の提供と数学の学びの顕彰・評価、ならびに数学およびその学びの普及と啓発に関わる諸事業を推進していくことにしています。
(図表は、文部科学省(国立教育政策研究所)『OECD生徒の学習到達度調査-2012年調査国際結果要約-』(2013年12月)より引用)


■公益財団法人 日本数学検定協会について
【数学検定と算数検定について】
「数学検定」と「算数検定」は正式名称を「実用数学技能検定」といい、それぞれ1〜5級と6〜12級の階級に相当します。数学・算数の実用的な技能(計算・作図・表現・測定・整理・統計・証明)を測る検定で、公益財団法人日本数学検定協会が実施している全国レベルの実力・絶対評価システムです。
第1回を実施した1992年には5,500人だった受検者数は、2006年以降は年間30万人を超え、実用数学技能検定を実施する学校や教育機関も15,000団体を超えました。財団法人設立以来の累計受検者数は350万人を突破しており、いまや数学・算数に関する検定のスタンダードとして進学・就職に必須の検定となっています。
日本国内はもちろん、フィリピンやカンボジア、インドネシアなどでも実施され(過去5年間で延べ20,000人以上)、海外でも高い評価を得ています。

【法人概要】
新名称: 公益財団法人 日本数学検定協会(平成25年10月1日〜)
     ※10月1日以前の名称:財団法人 日本数学検定協会
理事長: 清水 静海
     (社団法人日本数学教育学会会長、帝京大学初等教育学科教授)
会長 : 甘利 俊一
     (理化学研究所脳科学総合研究センター 特別顧問、東京大学名誉教授)
所在地: 〒110-0005 東京都台東区上野5-1-1 文昌堂ビル6階 <本部>
設立 : 平成11年7月15日
目的 : 信頼性と有用性が高く、学習指針として広く認められる数学に
     関する検定事業を実施し、得られた知見を社会に還元することを
     通じて、世界中の人々の生涯にわたる数学への興味喚起と数学力の
     向上に貢献することを目的とする。
事業 : 1.数学に関する技能検定の実施、
      技能度の顕彰及びその証明書の発行
     2.ビジネスにおける数学の検定及び研修等の実施
     3.数学に関する出版物の刊行及び情報の提供
     4.数学の普及啓発に関する事業
     5.その他この法人の目的を達成するために必要な事業
     ※前項の事業は、本邦および海外において行うものとする。
URL  : http://www.su-gaku.net

※平成23(2011)年7月から「数検」という呼称は使用しておりません。ご注意ください。
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