20歳代の社会人の子どもを持つ親1,000人に聞いた 子育てに関する実態調査 子どもの難関突破力は小学校就学前の遊ばせ方で決まる 難関を突破した子どもを持つ親の3人に2人が実施していた 就学前の「共有型」子育てスタイルが育む 遊びの力
[14/01/20]
提供元:@Press
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プレイフルラーニング〜幼児の「遊びと学び」プロジェクト(事務局:東京都渋谷区、以下 本プロジェクト)は、20歳代の社会人の子どもを持つ全国の親1,040名を対象に、「子どもの難関突破経験と子育ての実態に関する調査」を実施しました。海外には追跡調査で似たものがありますが国内では少なく、今回のさかのぼり調査により、難関突破経験と小学校就学前(3〜6歳)の遊ばせ方との相関性について明らかになりましたので、ご報告いたします。
昨年末に、OECDによる生徒の学習到達度調査(PISA)2012年の結果が発表され、日本は、前回の09年調査から順位を上げ、「脱ゆとり教育」の成果がみられました。その一方で、「学習意欲の低迷」や「応用力の低さ」が浮き彫りになり、受け身の子どもが多く、「自ら学ぼうとする主体的な学び」が大きな課題として残っています。
そこで本プロジェクトでは、高い学習意欲で大学受験や資格試験などの狭き門を突破したり、憧れの職業に就いたり、何らかの分野で活躍するなど努力を実らせた「難関突破経験者」の親の子育ての実態について調査し、難関突破経験のないお子さんの子育てとの差異について検証しました。その結果、難関突破経験には、幼児期の「遊ばせ方」が大きく関わっており、遊びに対する子どもの「自発性」や「意欲」を大切にする「共有型」子育てスタイルの親が多いことがわかりました。また就学前の遊びにおける熱中体験が、子どもの「集中力」を高め、小・中・高のクラブ活動等への取り組む力を育み、難関突破へつながっていると本プロジェクトメンバーの内田伸子先生は分析しています。
下記は本調査の結果概要になります。
■主な調査結果
1 難関突破力と「就学前の遊び」に相関関係あり。難関突破経験者の親ほど遊びを重視。
とても意識して取り組んだのは「思いっきり遊ばせること」(35.8%)、毎日一緒にしていたのは「一緒に遊ぶ」(55.7%)
2 難関突破力は遊ばせ方にある。難関突破経験者の親の子育ては3人に2人が「共有型」。
「遊びに対する自発性を大事にした」(28.8%)、「子どもの意欲を大切にして遊ばせるようにした」(29.7%)
3 小学校就学前の遊びが「集中力」「学びに向かう姿勢」「学習意欲」を高める。
難関突破経験者は「集中力」が21.3ポイント高い。小学校時代は「我慢や感情の抑制ができる子」(34.5%)
4 難関突破経験者は就学前の「熱中体験」が多く、小学校、中学校、高校への持続性も高い。
難関突破経験者の熱中体験は「たくさんあった」(26.3%)、難関突破未経験者を10ポイント上回る
「今回の調査によって、大学受験や資格試験などの難関を突破する力や夢を実現する力と、就学前の遊ばせ方には相関関係があることが示唆されました。子どもは、五感を使うことで脳が発達するため、ちゃんと遊んでいないような子どもは『9歳の壁*』に突き当たりやすいのです。世界的にも就学前の遊びに対する研究がすすめられ、関心が高まっています。遊びは量よりも質が大事で、特に親との関わり方が大切です。私たちの長年の研究では、日本の親は、子どもに援助的なサポートをする「共有型」と、親目線での介入で指示を与える『強制型』に分類されます。難関突破経験者の親に、子どもの集中力や意欲を育てる遊ばせ方をする『共有型』が多いのは当然の結果と言ってもよいでしょう。就学前の遊びを通じて身につけた集中力などが、就学後の学習意欲を育み、さらには難関突破経験につながったものと考えられます。」(内田伸子先生コメント)
*9歳の壁:9歳の時期に学習内容が具体的なものから抽象的なものへと変わり、目でみてわかるようなものから、文章問題や分数など思考力が求められるようになるため、この時期に勉強がわからなくなる子どもが増えることからこう呼ばれる。
1.難関突破力と「就学前の遊び」には相関関係あり。難関突破経験者の親ほど遊びを重視。
とても意識して取り組んだのは「思いっきり遊ばせること」(35.8%)、毎日一緒にしていたのは「一緒に遊ぶ」(55.7%)
「難関突破経験を持つ子どもの親(以下、難関突破経験者)」は、「難関突破経験を持たない子どもの親(以下、難関突破未経験者)」に比べて、「遊び」を重視する傾向があることがわかりました。
「就学前のお子様の子育て」で「とても意識して取り組んだ」こととして、「思いっきり遊ばせること」が難関突破経験者(35.8%)、難関突破未経験者(23.1%)間で差が大きくなっています(図1)。また「遊びの時間を子どもと共に過ごすこと」(26.3%)や「子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませること」(24.1%)でも大きな差がみられました。さらに「毎日一緒にしていたこと」で、差が大きかったのは「一緒に遊ぶ」(55.7%)、「絵本の読み聞かせをする」(39.9%)でした(図2)。難関突破や夢実現の原動力と、就学前の親の関わり遊びが関係していることがみてとれます。
図1、図2: http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_1.jpg
2.難関突破力は遊ばせ方にある。難関突破経験者の親の子育ては3人に2人が「共有型」。
「遊びに対する自発性を大事にした」(28.8%)、「子どもの意欲を大切にして遊ばせるようにした」(29.7%)
難関突破力を育む遊びには、親の関わりや遊ばせ方が関係していることも確認できました。
「就学前のお子様の遊ばせ方」に関する設問について、難関突破経験者は「遊びに対する子どもの自発性を大事にした」(28.8%)、「子どもの思いや意欲を大切にして遊ばせるようにした」(29.7%)を「よく当てはまる」と答えるなど、子どもに遊びの主導権を渡す項目で難関突破未経験者と比べて高くなりました(図3)。
また、内田伸子先生が長年にわたり研究してきた「子育てスタイル」で分類したところ、難関突破経験者の3人に2人が、子ども自身が考える余地を与えるような援助的なサポートをする「共有型」であり、逆に難関突破未経験者の半分以上が大人目線で介入し子どもに指示を与えてしまう「強制型」の子育てスタイルであることがわかりました(図4)。
図3、図4: http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_2.jpg
3.小学校就学前の遊びが、「集中力」「学びに向かう姿勢」「学習意欲」を高める。
難関突破経験者は「集中力」が21.3ポイント高い。小学校時代は「我慢や感情の抑制ができる子」(34.5%)
難関突破経験者は就学前の遊びを通じて、「集中力」を身につけており、その力は就学後も継続していることが示唆されました。
「就学前の遊びを通じて身につけた力」に関する設問では、難関突破経験者が5つの指標全てで難関突破未経験者を上回っており、特に「集中力」は約20ポイントも高い結果になりました(図5)。就学後の小学校のお子さんの姿を聞く設問では、難関突破経験者は「我慢や感情の抑制ができる子」(34.5%)、「失敗してもくじけず、それを糧に再挑戦する意欲があった」(20.9%)、「勉強しなさい、と言わなくても自分で勉強に取り組んでいた」(16.8%)となり、感情コントロールができ、学習意欲も高い小学校時代の姿勢が浮き彫りとなりました(図6)。就学前の遊びが「集中力」「学びに向かう姿勢」「学習意欲」を高めていると推察されます。
図5、図6: http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_3.jpg
4.難関突破経験者は就学前の「熱中体験」が多く、小学校、中学校、高校への持続性も高い。
難関突破経験者の熱中体験は「たくさんあった」(26.3%)、難関突破未破経験者を10ポイント上回る
難関突破経験者の方が、就学前の熱中体験がたくさんあり、このひたむきな姿勢は小学校、中学校、高校と就学後も続いていることがわかりました。
「就学前の時期に時間を忘れて夢中になるコトやモノはありましたか」という設問に対して、難関突破経験者は「たくさんあった」26.3%と、難関突破未経験者を10ポイント上回りました(図7)。就学後も「それなりに成績もよかったが、勉強ばかりしていたわけでもなかった」(37.3%)と難関突破未経験者よりもスコアが高くなっています(図6)。
また「学生時代(小学校、中学校、高校時代)、勉強以外のクラブ活動にどのくらい一生懸命取り組んでいましたか」という設問に対しても、難関突破経験者は「とても一生懸命」率が高く(図8)、逆に難関突破未経験者は高校で大きく減少しています。このことから就学前の熱中体験が、子どもの意欲やがんばりぬく姿勢を育み、難関突破につながったのではないかと、内田先生は考察しています。
図7、図8: http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_4.jpg
【調査概要】
調査主体:プレイフルラーニング〜幼児の「遊びと学び」プロジェクト
調査機関:2013年12月13日(金)〜15日(日)
調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳代の社会人の子どもを持つ親1,040名(難関突破経験者の親316名、難関突破未経験者の親724名)
本調査における難関とは、以下に示す難関大学突破、または難関資格取得、難関職業への就職、スポーツ・芸術・文化領域での活躍を指します。
▼難関大学の具体的内容は次の通りです
・国公立大学
東京大、京都大、北海道大、東北大、筑波大、お茶の水女子大、一橋大、東京工業大、東京外国語大、横浜国立大、東京農工大、大阪大、名古屋大、神戸大、九州大、東京藝術大、首都大学東京、大阪市立大、大阪府立大、国公立大学医学部(医学科)、など。
・私立大学
慶應義塾大、早稲田大、明治大、立教大、青山学院大、学習院大、関西大、関西学院大、国際基督教大、上智大、成蹊大、中央大、津田塾大、東京理科大、同志社大、法政大、立命館大、私立大医学部(医学科)、など。
▼難関資格取得、難関職業への就職、スポーツ・芸術・文化領域での活躍の具体的内容は次の通りです。
弁護士資格取得/司法書士資格取得/公認会計士資格取得/医師免許取得/1級建築士免許取得/博士号取得/その他(他の難関資格を取得した)/パイロット・CAになった/芸能人(タレント・モデル・声優など)になった/プロスポーツ選手になった/実業団所属のスポーツ選手になった/その他(他の難関資格を取得したり、憧れの職業についた)/スポーツ分野で県大会または全国大会上位入賞した/スポーツ分野で国際大会上位入賞した/文化・芸術分野で県大会または全国大会上位入賞した/文化・芸術分野で国際コンクール、国際アワード上位入賞した/その他(左記以外の形で文化・芸術分野で活躍、実績を上げた) など。
▼割付
http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_5.jpg
※グラフの構成比は四捨五入しているため、構成比の和が100%にならない場合があります。
【参考 日本の子育てスタイルについて】
お茶の水女子大学の内田伸子教授が中心となり、親の子育てスタイルに関して長年研究を進めてきました。日本・韓国・中国・ベトナム・モンゴルの大規模国際調査を行う中で、日本の親の子育てスタイルを、大きく「共有型」と「強制型」に分類しています。「共有型」は、子ども自身が考える余地を与えるような援助的なサポートが多いのが特徴です。一方、「強制型」は、大人目線で介入し、指示的な言葉や禁止の言葉、良い・悪いなど評価の言葉が多いのが特徴で、子どもは親の指示を待ち行動する傾向があります。今回の調査では、内田伸子教授の子育てスタイルの分類方法を採用し、以下の14項目への当てはまり度合いをスコア化して分類しています。
http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_6.jpg
【調査監修者プロフィール】
内田伸子(お茶の水女子大学 名誉教授)
お茶の水女子大学名誉教授。筑波大学常勤監事。十文字学園女子大学理事・同大学特任教授。言語発達・認知発達の過程において、乳幼児から大人を対象にした実験研究や参与観察研究を行う。また、子どもの発達段階に着眼し、保育や授業の観察を実施。発達過程の分析データを基に、子どもの言語発達・認知発達をより良くする具体的な教育法や援助の方策を説く。
【プレイフルラーニング〜幼児の「遊びと学び」プロジェクトとは】
就学前の子どもの習い事や早期教育に悩む親に対して、幼児期における“遊び”の重要性を啓発・アドバイスするために、12月19日(木)よりプロジェクトを発足しました。幼児期における子どもの遊び方や子育てに関する各種調査の実施・情報発信を、当会WEBサイト( http://asobi-manabi.jp )を通じて行っています。幼児期における子どもの遊び方に関する研究発表会及び一般親子を対象とした遊び方実践セミナーを1月27日(月)に予定しています。
昨年末に、OECDによる生徒の学習到達度調査(PISA)2012年の結果が発表され、日本は、前回の09年調査から順位を上げ、「脱ゆとり教育」の成果がみられました。その一方で、「学習意欲の低迷」や「応用力の低さ」が浮き彫りになり、受け身の子どもが多く、「自ら学ぼうとする主体的な学び」が大きな課題として残っています。
そこで本プロジェクトでは、高い学習意欲で大学受験や資格試験などの狭き門を突破したり、憧れの職業に就いたり、何らかの分野で活躍するなど努力を実らせた「難関突破経験者」の親の子育ての実態について調査し、難関突破経験のないお子さんの子育てとの差異について検証しました。その結果、難関突破経験には、幼児期の「遊ばせ方」が大きく関わっており、遊びに対する子どもの「自発性」や「意欲」を大切にする「共有型」子育てスタイルの親が多いことがわかりました。また就学前の遊びにおける熱中体験が、子どもの「集中力」を高め、小・中・高のクラブ活動等への取り組む力を育み、難関突破へつながっていると本プロジェクトメンバーの内田伸子先生は分析しています。
下記は本調査の結果概要になります。
■主な調査結果
1 難関突破力と「就学前の遊び」に相関関係あり。難関突破経験者の親ほど遊びを重視。
とても意識して取り組んだのは「思いっきり遊ばせること」(35.8%)、毎日一緒にしていたのは「一緒に遊ぶ」(55.7%)
2 難関突破力は遊ばせ方にある。難関突破経験者の親の子育ては3人に2人が「共有型」。
「遊びに対する自発性を大事にした」(28.8%)、「子どもの意欲を大切にして遊ばせるようにした」(29.7%)
3 小学校就学前の遊びが「集中力」「学びに向かう姿勢」「学習意欲」を高める。
難関突破経験者は「集中力」が21.3ポイント高い。小学校時代は「我慢や感情の抑制ができる子」(34.5%)
4 難関突破経験者は就学前の「熱中体験」が多く、小学校、中学校、高校への持続性も高い。
難関突破経験者の熱中体験は「たくさんあった」(26.3%)、難関突破未経験者を10ポイント上回る
「今回の調査によって、大学受験や資格試験などの難関を突破する力や夢を実現する力と、就学前の遊ばせ方には相関関係があることが示唆されました。子どもは、五感を使うことで脳が発達するため、ちゃんと遊んでいないような子どもは『9歳の壁*』に突き当たりやすいのです。世界的にも就学前の遊びに対する研究がすすめられ、関心が高まっています。遊びは量よりも質が大事で、特に親との関わり方が大切です。私たちの長年の研究では、日本の親は、子どもに援助的なサポートをする「共有型」と、親目線での介入で指示を与える『強制型』に分類されます。難関突破経験者の親に、子どもの集中力や意欲を育てる遊ばせ方をする『共有型』が多いのは当然の結果と言ってもよいでしょう。就学前の遊びを通じて身につけた集中力などが、就学後の学習意欲を育み、さらには難関突破経験につながったものと考えられます。」(内田伸子先生コメント)
*9歳の壁:9歳の時期に学習内容が具体的なものから抽象的なものへと変わり、目でみてわかるようなものから、文章問題や分数など思考力が求められるようになるため、この時期に勉強がわからなくなる子どもが増えることからこう呼ばれる。
1.難関突破力と「就学前の遊び」には相関関係あり。難関突破経験者の親ほど遊びを重視。
とても意識して取り組んだのは「思いっきり遊ばせること」(35.8%)、毎日一緒にしていたのは「一緒に遊ぶ」(55.7%)
「難関突破経験を持つ子どもの親(以下、難関突破経験者)」は、「難関突破経験を持たない子どもの親(以下、難関突破未経験者)」に比べて、「遊び」を重視する傾向があることがわかりました。
「就学前のお子様の子育て」で「とても意識して取り組んだ」こととして、「思いっきり遊ばせること」が難関突破経験者(35.8%)、難関突破未経験者(23.1%)間で差が大きくなっています(図1)。また「遊びの時間を子どもと共に過ごすこと」(26.3%)や「子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませること」(24.1%)でも大きな差がみられました。さらに「毎日一緒にしていたこと」で、差が大きかったのは「一緒に遊ぶ」(55.7%)、「絵本の読み聞かせをする」(39.9%)でした(図2)。難関突破や夢実現の原動力と、就学前の親の関わり遊びが関係していることがみてとれます。
図1、図2: http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_1.jpg
2.難関突破力は遊ばせ方にある。難関突破経験者の親の子育ては3人に2人が「共有型」。
「遊びに対する自発性を大事にした」(28.8%)、「子どもの意欲を大切にして遊ばせるようにした」(29.7%)
難関突破力を育む遊びには、親の関わりや遊ばせ方が関係していることも確認できました。
「就学前のお子様の遊ばせ方」に関する設問について、難関突破経験者は「遊びに対する子どもの自発性を大事にした」(28.8%)、「子どもの思いや意欲を大切にして遊ばせるようにした」(29.7%)を「よく当てはまる」と答えるなど、子どもに遊びの主導権を渡す項目で難関突破未経験者と比べて高くなりました(図3)。
また、内田伸子先生が長年にわたり研究してきた「子育てスタイル」で分類したところ、難関突破経験者の3人に2人が、子ども自身が考える余地を与えるような援助的なサポートをする「共有型」であり、逆に難関突破未経験者の半分以上が大人目線で介入し子どもに指示を与えてしまう「強制型」の子育てスタイルであることがわかりました(図4)。
図3、図4: http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_2.jpg
3.小学校就学前の遊びが、「集中力」「学びに向かう姿勢」「学習意欲」を高める。
難関突破経験者は「集中力」が21.3ポイント高い。小学校時代は「我慢や感情の抑制ができる子」(34.5%)
難関突破経験者は就学前の遊びを通じて、「集中力」を身につけており、その力は就学後も継続していることが示唆されました。
「就学前の遊びを通じて身につけた力」に関する設問では、難関突破経験者が5つの指標全てで難関突破未経験者を上回っており、特に「集中力」は約20ポイントも高い結果になりました(図5)。就学後の小学校のお子さんの姿を聞く設問では、難関突破経験者は「我慢や感情の抑制ができる子」(34.5%)、「失敗してもくじけず、それを糧に再挑戦する意欲があった」(20.9%)、「勉強しなさい、と言わなくても自分で勉強に取り組んでいた」(16.8%)となり、感情コントロールができ、学習意欲も高い小学校時代の姿勢が浮き彫りとなりました(図6)。就学前の遊びが「集中力」「学びに向かう姿勢」「学習意欲」を高めていると推察されます。
図5、図6: http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_3.jpg
4.難関突破経験者は就学前の「熱中体験」が多く、小学校、中学校、高校への持続性も高い。
難関突破経験者の熱中体験は「たくさんあった」(26.3%)、難関突破未破経験者を10ポイント上回る
難関突破経験者の方が、就学前の熱中体験がたくさんあり、このひたむきな姿勢は小学校、中学校、高校と就学後も続いていることがわかりました。
「就学前の時期に時間を忘れて夢中になるコトやモノはありましたか」という設問に対して、難関突破経験者は「たくさんあった」26.3%と、難関突破未経験者を10ポイント上回りました(図7)。就学後も「それなりに成績もよかったが、勉強ばかりしていたわけでもなかった」(37.3%)と難関突破未経験者よりもスコアが高くなっています(図6)。
また「学生時代(小学校、中学校、高校時代)、勉強以外のクラブ活動にどのくらい一生懸命取り組んでいましたか」という設問に対しても、難関突破経験者は「とても一生懸命」率が高く(図8)、逆に難関突破未経験者は高校で大きく減少しています。このことから就学前の熱中体験が、子どもの意欲やがんばりぬく姿勢を育み、難関突破につながったのではないかと、内田先生は考察しています。
図7、図8: http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_4.jpg
【調査概要】
調査主体:プレイフルラーニング〜幼児の「遊びと学び」プロジェクト
調査機関:2013年12月13日(金)〜15日(日)
調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳代の社会人の子どもを持つ親1,040名(難関突破経験者の親316名、難関突破未経験者の親724名)
本調査における難関とは、以下に示す難関大学突破、または難関資格取得、難関職業への就職、スポーツ・芸術・文化領域での活躍を指します。
▼難関大学の具体的内容は次の通りです
・国公立大学
東京大、京都大、北海道大、東北大、筑波大、お茶の水女子大、一橋大、東京工業大、東京外国語大、横浜国立大、東京農工大、大阪大、名古屋大、神戸大、九州大、東京藝術大、首都大学東京、大阪市立大、大阪府立大、国公立大学医学部(医学科)、など。
・私立大学
慶應義塾大、早稲田大、明治大、立教大、青山学院大、学習院大、関西大、関西学院大、国際基督教大、上智大、成蹊大、中央大、津田塾大、東京理科大、同志社大、法政大、立命館大、私立大医学部(医学科)、など。
▼難関資格取得、難関職業への就職、スポーツ・芸術・文化領域での活躍の具体的内容は次の通りです。
弁護士資格取得/司法書士資格取得/公認会計士資格取得/医師免許取得/1級建築士免許取得/博士号取得/その他(他の難関資格を取得した)/パイロット・CAになった/芸能人(タレント・モデル・声優など)になった/プロスポーツ選手になった/実業団所属のスポーツ選手になった/その他(他の難関資格を取得したり、憧れの職業についた)/スポーツ分野で県大会または全国大会上位入賞した/スポーツ分野で国際大会上位入賞した/文化・芸術分野で県大会または全国大会上位入賞した/文化・芸術分野で国際コンクール、国際アワード上位入賞した/その他(左記以外の形で文化・芸術分野で活躍、実績を上げた) など。
▼割付
http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_5.jpg
※グラフの構成比は四捨五入しているため、構成比の和が100%にならない場合があります。
【参考 日本の子育てスタイルについて】
お茶の水女子大学の内田伸子教授が中心となり、親の子育てスタイルに関して長年研究を進めてきました。日本・韓国・中国・ベトナム・モンゴルの大規模国際調査を行う中で、日本の親の子育てスタイルを、大きく「共有型」と「強制型」に分類しています。「共有型」は、子ども自身が考える余地を与えるような援助的なサポートが多いのが特徴です。一方、「強制型」は、大人目線で介入し、指示的な言葉や禁止の言葉、良い・悪いなど評価の言葉が多いのが特徴で、子どもは親の指示を待ち行動する傾向があります。今回の調査では、内田伸子教授の子育てスタイルの分類方法を採用し、以下の14項目への当てはまり度合いをスコア化して分類しています。
http://www.atpress.ne.jp/releases/42432/img_42432_6.jpg
【調査監修者プロフィール】
内田伸子(お茶の水女子大学 名誉教授)
お茶の水女子大学名誉教授。筑波大学常勤監事。十文字学園女子大学理事・同大学特任教授。言語発達・認知発達の過程において、乳幼児から大人を対象にした実験研究や参与観察研究を行う。また、子どもの発達段階に着眼し、保育や授業の観察を実施。発達過程の分析データを基に、子どもの言語発達・認知発達をより良くする具体的な教育法や援助の方策を説く。
【プレイフルラーニング〜幼児の「遊びと学び」プロジェクトとは】
就学前の子どもの習い事や早期教育に悩む親に対して、幼児期における“遊び”の重要性を啓発・アドバイスするために、12月19日(木)よりプロジェクトを発足しました。幼児期における子どもの遊び方や子育てに関する各種調査の実施・情報発信を、当会WEBサイト( http://asobi-manabi.jp )を通じて行っています。幼児期における子どもの遊び方に関する研究発表会及び一般親子を対象とした遊び方実践セミナーを1月27日(月)に予定しています。