【速報】2014年度 新入社員「会社や社会に対する意識調査」結果 安定重視の傾向つづく、居心地のよさ求める新入社員
[14/04/17]
提供元:@Press
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日本能率協会(JMA、会長:山口 範雄)は、小会が提供する新入社員向けセミナーの参加者を対象に、「会社や社会に対し、どのような意識や価値観を持っているか」の調査を行っています。
今回、2014年3月27日〜4月8日の期間で、2014年度入社の新入社員を対象に意識調査を実施しました(回答数1,039人)。前回調査に引き続き上司・先輩にも調査を行い(回答数151人)、新入社員との意識のギャップを明らかにしています。
■調査概要
調査時期 :新入社員への配布・回収 2014年3月27日〜4月8日
上司・先輩社員への配布・回収 2014年3月26日〜4月8日
調査対象 :<新入社員>
日本能率協会の新入社員向け公開教育セミナー参加者
および日本能率協会の研修を活用している企業の新入社員
<上司・先輩>
日本能率協会の会員企業およびセミナー参加企業の方
調査方法 :<新入社員>
研修1日目終了時に調査票を配布、翌日回収
<上司・先輩>
郵送で配布・回収
回答数 :新入社員 1,039人/上司・先輩 151人
回答者性別 :<新入社員>
男性 732人(70.5%)、女性 305人(29.4%)、
無回答 2人(0.2%)
上司・先輩属性:管理職(役員含む) 96人(63.6%)、
非管理職 54人(35.8%)、無回答 1人(0.7%)
<トピックス>
1.「定年まで勤めたい」が初めて過半数(50.7%)に。入社の決め手は「雰囲気の良い会社」
2.理想の上司像にギャップ。「丁寧に指導してほしい新入社員」と「結果を褒めたい上司・先輩」
3.グローバル化を「ビジネスの好機」と捉えるも、「海外赴任はしたくない」が2年連続増加
4.過去最高!女性の9割が「子どもが生まれても仕事を続けたい」と回答
5.約6割が「10年後の日本は良くなる」。東京五輪に期待!
6.「東日本大震災」が人生に与えた影響は、人との“絆”と“命”の大切さ
グラフについては、日本能率協会ホームページ[ http://www.jma.or.jp ]「最新ニュースリリース」をご覧ください
1.「定年まで勤めたい」が初めて過半数(50.7%)に。入社の決め手は「雰囲気の良い会社」
独立・転職志向について聞いたところ、1999年の調査以来、初めて「定年まで勤めたい」(50.7%)が過半数に達した。
しかし、働き方や会社・職場の好みを二者択一で聞いた質問では、「競争をするよりも、ある年代まではみんなで平等に上がっていく年功主義の会社」(42.9%)に比べ、「実力のある個人が評価され、早い昇進や高い給与が実現できる徹底した実力・成果主義の会社」(55.1%)を好む人が多い。定年まで勤めたいが、結果に対する評価はきちんとしてほしいと希望していることがうかがえる。
就職活動に臨む気持ちとしては、「気に入った会社や仕事に就けるかどうかよりも、就職することを最優先に考えた」(56.9%)が最も多かった。就職活動では、「自分が働きたい業種」(60.0%)を優先して会社を選んでいたが、「今の会社への入社を選択した理由」は、「(社員や風土)雰囲気がよい会社」(51.0%)が第1位となった。
働き方や会社・職場の好みを二者択一で聞いた質問では、「個人の裁量に任せられる職場」(15.4%)よりも「チームワークを重視する職場」(83.4%)を好む人が多い。
また、就職活動で最も役に立ったツール・媒体を聞いたところ、1位「スマートフォン」(46.0%)、2位「パソコン」(43.7%)となり2012年調査時と順位が逆転した。
「定年まで勤めたい」と考える新入社員の経年変化をみると、「定年まで勤めたい」の回答が最も低く(18.7%)、「転職・独立」を考える新入社員が最も多かった(72.1%)のは2002年で、以降「定年まで」という回答は増加傾向にあり(2013年は同一選択肢での調査を実施せず)、今年は過半数を超えた。
安定して長く勤めることを考えた時に、職場環境や人間関係はとても重要である。就職活動では多くの会社訪問を重ね、学生の間ではWEBの口コミサイトで企業担当者の応対などが情報共有されている。就職活動で接する社員の雰囲気や誠実さを重要視する傾向にあるのではないだろうか。「業種」を優先して就職活動を行いつつも、入社の決め手は「雰囲気」という調査結果からも、仕事の内容だけでなく、自分の居場所として心地よい企業を選んでいるといえよう。
また、状況や相手に応じたITツールの使い分けが進み、スマートフォンは就職活動に欠かせないツールとなっている。会社説明会への申込がパソコンよりも簡単にできるスマホアプリの利便性や、スマホの活用をすすめる学校からの指導もあり、利用が伸びているのではないか。
2.理想の上司像にギャップ。「丁寧に指導してほしい新入社員」と「結果を褒めたい上司・先輩」
新入社員が考える理想の上司・先輩は、1位「仕事について丁寧な指導をする」(57.7%)、2位「言動が一致している」(37.6%)、3位「場合によっては叱ってくれる」(31.2%)。一方、上司・先輩が考える“新入社員にとって理想だと思う上司”は、1位「言動が一致している」(43.0%)、2位「仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない」(41.1%)、3位「部下の意見・要望を傾聴する」(38.4%)と続き、「仕事について丁寧な指導をする」は4位(35.8%)にとどまった。
上司との人間関係を構築する方法として有効だと思うことは「飲み会への参加」(新入社員93.7%/上司・先輩79.5%)を双方とも第1位に挙げている。
また、3年以内に必要とされると思う能力(新入社員)/身につけてもらいたい能力(上司・先輩)を聞いた質問では、新入社員の回答1位は「ビジネスマナー」(67.9%)、上司・先輩の回答1位は「仕事の基本動作」(75.5%)となった。最も差が出たのは「コミュニケーション能力」で、新入社員の回答19.5%に対し上司・先輩が43.7%と24.2ポイントの開きがあった。
理想の上司像は、新入社員、上司・先輩ともに「言動が一致している」ことが上位に挙げられた。両者でギャップの大きかった「丁寧に指導してほしい新入社員」と「結果を褒めたい上司・先輩」という姿からは、新入社員が仕事を進める過程での支援を求めているのに対し、上司・先輩は評価時点での指導を重視しているといえる。叱られることに対する抵抗感も、上司・先輩が思っているほど高くはないようだ。「ゆとり世代だから」と遠慮せず、上司・先輩は一歩踏み込んで指導に当たってほしい。
また、3年以内に必要な能力を聞いた質問で回答差のあった「コミュニケーション能力」について、上司・先輩が望むほどには新入社員は必要性を感じていない。しかし、コミュニケーション研修に対する企業からの需要は高く、上司・先輩は自らの言動を通して社会人としてのコミュニケーションを教えていく必要性があるだろう。
3.グローバル化を「ビジネスの好機」と捉えるも、「海外赴任はしたくない」が2年連続増加
グローバル化を「日本企業にとってビジネスの好機」と受け止めている新入社員が75.3%、「自分も当事者である」が78.2%と、身近に意識している。上司・先輩は「好機」(81.5%)の回答が新入社員を上回るが、「当事者」(74.8%)はやや低い。
海外赴任について聞いたところ、「海外赴任はしたくない」人が57.7%と過半数を超え、前回2013年は50.9%と6.8ポイント増え、2年連続で増加した。
家族旅行や修学旅行以外での海外旅行・留学・在住経験(海外経験)の有無別に分析すると回答に大きな差があり、海外経験のある人(497人)では「海外赴任はしたくない」という回答は38.6%にとどまる一方、経験のない人(522人)では77.4%と、海外経験のある人を大きく上回った。
海外赴任はしたくない理由は、1位が「治安や食生活、衛生面で不安を感じるから」が54.5%と過半数を超え、つづいて「言葉が通じるか不安だから」(52.0%)、「日本が好きだから」(39.3%)となった。
また、働くにあたってできればやりたくないことを聞いた質問でも、1位「休日出勤」(43.7%)に続いて、2位「海外への転勤」(42.8%)となった。
グローバルな企業活動を肯定し、当事者として受けとめる新入社員が大多数だったものの、「海外赴任はしたくない」との回答も6割近くにのぼる。今回の調査では、海外経験のある人は海外赴任への抵抗感が少ないという結果も得られた。
もはや「海外勤務は英語の話せる人が行く」「自分には関係ない」という時代ではなく、まずは海外に行く機会を早くつくり心理的なハードルを下げることが有効だろう。
また、インターネットの普及により、テロや感染症など、海外の情報を入手しやすい環境にあり、不安や危険を身近に感じている。今後企業は、現地赴任者へのメンタル面を含めたサポート体制や、事前のケアに配慮することが重要である。
4.過去最高!女性の9割が「子どもが生まれても仕事を続けたい」と回答
子どもが生まれても仕事を続けたいかという問いには、「ぜひ続けたい」(72.3%)、「続けられる環境がそろえば続けたい」(22.3%)を合わせると94.6%で、女性の回答に限っても89.8%となり、過去最高となった。
また、共働きで育児をする場合「ぜひ育児休暇を取得して育児をしたい」(43.5%)、「会社で前例があれば取得したい」(26.1%)を合わせると69.6%、女性の回答に限っては90.5%と、9割を超える女性が育児休業を取得したいと回答した。
「子どもが生まれても仕事を続けたいか」という質問を設けた2006年以降(2013年は実施せず)、「続けたい」と考える女性の割合は緩やかな上昇傾向にあり、育休取得意向も9割と高い。一方、男性の育休取得意向は60%〜65%を推移し、「自分は育児休暇を取得したくない」という回答も毎年15%前後と変わらない。
人口減少に伴う労働力不足を解消するためにも女性の活躍が叫ばれているが、保育施設の拡充や企業の支援策といった環境整備がよりいっそう求められるとともに、男性側の意識転換を促す取り組みも欠かせない。
5.約6割が「10年後の日本は良くなる」。東京五輪に期待!
「10年後の日本社会は、より良い社会になっていると思うか」の問いに対し、57.1%が「なっていると思う」と回答し、「なっていないと思う」の回答(38.1%)を上回っている。新入社員は上司・先輩(「なっていると思う」(54.3%)、「なっていないと思う」(43.7%))に比べ、「良くなる」と考える割合が高い。その理由を自由記述方式で回答を求めたところ、2020年の東京五輪の効果をあげている記述が多かった。
●「10年後の日本は良くなる」と答えた新入社員の自由記述(抜粋)
・東京オリンピックという目標に向かって、国民の土気が高まっていると思うから
・東京オリンピックなどを通して日本らしさを保ちながらも、世界へともっと視野を広げていると考えるから
・東京オリンピックの開催により、日本の国際競争力が高まる
・増税もあるけど、東京五輪とかもあるし世界交流が進むから
・東京オリンピック開催時に、日本の技術力の高さを見せることができるから
・アベノミクスで景気が回復し始めているから
・MADE IN JAPANは相当力を持っているから
・10年の間に淘汰される企業も多いが生き残った精鋭が日本を強くしてくれると思う
・グローバルが進み、異文化をさらに身近に感じると思う。グローバルが進んでも日本の良さは残っていると思う
・女性管理職が増え、新たなアイデアで世の中を明るくすると思うため
・心の豊かさを社会全体で探していると思うから
・私達の世代が中心となって働いているから
・人々がそう唱えることで、行動もかわってくると思うから、私は世間を良くしたいと思っている
・日本人は勤勉な血が流れているから
・今働き始めた人たちが現在の日本社会を見てよりよいものにしようと努力して10年後にはしっかりとした社会人になっていると思うから
2020年に東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決まったことに加え、アベノミクス効果などから、日本全体が明るい未来を描いている。五輪開催を通じて国民が団結し、日本の技術力の高さをアピールするなど良い機会と捉えている。また、10年後は、自分たちの世代が主役となり良い社会を牽引したいと思う気持ちも強い。
6.「東日本大震災」が人生に与えた影響は、人との“絆”と“命”の大切さ
2011年3月11日に起きた「東日本大震災」から3年が経過した今、「東日本大震災があなたの人生に与えた影響や変化」を自由記述方式で聞いたところ、人との絆や助け合い、命の大切さを上げる意見が多く見受けられた。
●「東日本大震災があなたの人生に与えた影響や変化」について答えた新入社員の自由記述(抜粋)
・人は支え合って生きているのだと実感した。仕事やボランティアを通じて、被災地の方々に貢献したいと思う
・今の自分の生活が当たり前ではないことがわかった。当たり前の幸せ、家族、友人、恋人をより大切にするようになった
・東日本大震災により改めて互いを支えあっていく重要性。助けたいと思う積極性が必要だと感じた
・自分は社会の人々に支えられているし、自分も周囲の人々を支えることができると思った
・命の大切さを実感し、1日1日を精一杯生きたいと思いました
・人の命について深く考えるようになった
・命の大切さ、何がおこるか分からない怖さがあることを知った。今、自分が何をすべきか、何をしなくてはならないのかを考えさせられた
・緊急時や災害時には国境や立場、格差などは関係なく、助け合うべきだと思った
・一人一人が危機管理をしていくことが重要だと感じた
・まだ復興が終わってないのに終わった感じがしてよくない
・3.11がなかったら平和ボケしていたと思う
東日本大震災は、日本人が人生を考える一つの分岐点になったのではないだろうか。金銭面より心の豊かさを求める人が増えたように感じる。「誰かのために何かをしたい」「何かできることはないだろうか」という気持ちにさせられた人も多いのではなかろうか。
今年の新入社員のコメントには、「人と人との絆の大切さ」「思いやり」に関する記述が多かった。こうしたことから新入社員を動機づけていくうえで、金銭的な報酬だけではなく、社会との関わり・仕事の意義や、やりがいなどを伝えることが、より重要となっていくだろう。
【本件の内容に関するお問い合わせ先】
一般社団法人日本能率協会 経営・人材センター
〒105-8522 東京都港区芝公園3-1-22
TEL:03-3434-1955
FAX:03-3434-6387
今回、2014年3月27日〜4月8日の期間で、2014年度入社の新入社員を対象に意識調査を実施しました(回答数1,039人)。前回調査に引き続き上司・先輩にも調査を行い(回答数151人)、新入社員との意識のギャップを明らかにしています。
■調査概要
調査時期 :新入社員への配布・回収 2014年3月27日〜4月8日
上司・先輩社員への配布・回収 2014年3月26日〜4月8日
調査対象 :<新入社員>
日本能率協会の新入社員向け公開教育セミナー参加者
および日本能率協会の研修を活用している企業の新入社員
<上司・先輩>
日本能率協会の会員企業およびセミナー参加企業の方
調査方法 :<新入社員>
研修1日目終了時に調査票を配布、翌日回収
<上司・先輩>
郵送で配布・回収
回答数 :新入社員 1,039人/上司・先輩 151人
回答者性別 :<新入社員>
男性 732人(70.5%)、女性 305人(29.4%)、
無回答 2人(0.2%)
上司・先輩属性:管理職(役員含む) 96人(63.6%)、
非管理職 54人(35.8%)、無回答 1人(0.7%)
<トピックス>
1.「定年まで勤めたい」が初めて過半数(50.7%)に。入社の決め手は「雰囲気の良い会社」
2.理想の上司像にギャップ。「丁寧に指導してほしい新入社員」と「結果を褒めたい上司・先輩」
3.グローバル化を「ビジネスの好機」と捉えるも、「海外赴任はしたくない」が2年連続増加
4.過去最高!女性の9割が「子どもが生まれても仕事を続けたい」と回答
5.約6割が「10年後の日本は良くなる」。東京五輪に期待!
6.「東日本大震災」が人生に与えた影響は、人との“絆”と“命”の大切さ
グラフについては、日本能率協会ホームページ[ http://www.jma.or.jp ]「最新ニュースリリース」をご覧ください
1.「定年まで勤めたい」が初めて過半数(50.7%)に。入社の決め手は「雰囲気の良い会社」
独立・転職志向について聞いたところ、1999年の調査以来、初めて「定年まで勤めたい」(50.7%)が過半数に達した。
しかし、働き方や会社・職場の好みを二者択一で聞いた質問では、「競争をするよりも、ある年代まではみんなで平等に上がっていく年功主義の会社」(42.9%)に比べ、「実力のある個人が評価され、早い昇進や高い給与が実現できる徹底した実力・成果主義の会社」(55.1%)を好む人が多い。定年まで勤めたいが、結果に対する評価はきちんとしてほしいと希望していることがうかがえる。
就職活動に臨む気持ちとしては、「気に入った会社や仕事に就けるかどうかよりも、就職することを最優先に考えた」(56.9%)が最も多かった。就職活動では、「自分が働きたい業種」(60.0%)を優先して会社を選んでいたが、「今の会社への入社を選択した理由」は、「(社員や風土)雰囲気がよい会社」(51.0%)が第1位となった。
働き方や会社・職場の好みを二者択一で聞いた質問では、「個人の裁量に任せられる職場」(15.4%)よりも「チームワークを重視する職場」(83.4%)を好む人が多い。
また、就職活動で最も役に立ったツール・媒体を聞いたところ、1位「スマートフォン」(46.0%)、2位「パソコン」(43.7%)となり2012年調査時と順位が逆転した。
「定年まで勤めたい」と考える新入社員の経年変化をみると、「定年まで勤めたい」の回答が最も低く(18.7%)、「転職・独立」を考える新入社員が最も多かった(72.1%)のは2002年で、以降「定年まで」という回答は増加傾向にあり(2013年は同一選択肢での調査を実施せず)、今年は過半数を超えた。
安定して長く勤めることを考えた時に、職場環境や人間関係はとても重要である。就職活動では多くの会社訪問を重ね、学生の間ではWEBの口コミサイトで企業担当者の応対などが情報共有されている。就職活動で接する社員の雰囲気や誠実さを重要視する傾向にあるのではないだろうか。「業種」を優先して就職活動を行いつつも、入社の決め手は「雰囲気」という調査結果からも、仕事の内容だけでなく、自分の居場所として心地よい企業を選んでいるといえよう。
また、状況や相手に応じたITツールの使い分けが進み、スマートフォンは就職活動に欠かせないツールとなっている。会社説明会への申込がパソコンよりも簡単にできるスマホアプリの利便性や、スマホの活用をすすめる学校からの指導もあり、利用が伸びているのではないか。
2.理想の上司像にギャップ。「丁寧に指導してほしい新入社員」と「結果を褒めたい上司・先輩」
新入社員が考える理想の上司・先輩は、1位「仕事について丁寧な指導をする」(57.7%)、2位「言動が一致している」(37.6%)、3位「場合によっては叱ってくれる」(31.2%)。一方、上司・先輩が考える“新入社員にとって理想だと思う上司”は、1位「言動が一致している」(43.0%)、2位「仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない」(41.1%)、3位「部下の意見・要望を傾聴する」(38.4%)と続き、「仕事について丁寧な指導をする」は4位(35.8%)にとどまった。
上司との人間関係を構築する方法として有効だと思うことは「飲み会への参加」(新入社員93.7%/上司・先輩79.5%)を双方とも第1位に挙げている。
また、3年以内に必要とされると思う能力(新入社員)/身につけてもらいたい能力(上司・先輩)を聞いた質問では、新入社員の回答1位は「ビジネスマナー」(67.9%)、上司・先輩の回答1位は「仕事の基本動作」(75.5%)となった。最も差が出たのは「コミュニケーション能力」で、新入社員の回答19.5%に対し上司・先輩が43.7%と24.2ポイントの開きがあった。
理想の上司像は、新入社員、上司・先輩ともに「言動が一致している」ことが上位に挙げられた。両者でギャップの大きかった「丁寧に指導してほしい新入社員」と「結果を褒めたい上司・先輩」という姿からは、新入社員が仕事を進める過程での支援を求めているのに対し、上司・先輩は評価時点での指導を重視しているといえる。叱られることに対する抵抗感も、上司・先輩が思っているほど高くはないようだ。「ゆとり世代だから」と遠慮せず、上司・先輩は一歩踏み込んで指導に当たってほしい。
また、3年以内に必要な能力を聞いた質問で回答差のあった「コミュニケーション能力」について、上司・先輩が望むほどには新入社員は必要性を感じていない。しかし、コミュニケーション研修に対する企業からの需要は高く、上司・先輩は自らの言動を通して社会人としてのコミュニケーションを教えていく必要性があるだろう。
3.グローバル化を「ビジネスの好機」と捉えるも、「海外赴任はしたくない」が2年連続増加
グローバル化を「日本企業にとってビジネスの好機」と受け止めている新入社員が75.3%、「自分も当事者である」が78.2%と、身近に意識している。上司・先輩は「好機」(81.5%)の回答が新入社員を上回るが、「当事者」(74.8%)はやや低い。
海外赴任について聞いたところ、「海外赴任はしたくない」人が57.7%と過半数を超え、前回2013年は50.9%と6.8ポイント増え、2年連続で増加した。
家族旅行や修学旅行以外での海外旅行・留学・在住経験(海外経験)の有無別に分析すると回答に大きな差があり、海外経験のある人(497人)では「海外赴任はしたくない」という回答は38.6%にとどまる一方、経験のない人(522人)では77.4%と、海外経験のある人を大きく上回った。
海外赴任はしたくない理由は、1位が「治安や食生活、衛生面で不安を感じるから」が54.5%と過半数を超え、つづいて「言葉が通じるか不安だから」(52.0%)、「日本が好きだから」(39.3%)となった。
また、働くにあたってできればやりたくないことを聞いた質問でも、1位「休日出勤」(43.7%)に続いて、2位「海外への転勤」(42.8%)となった。
グローバルな企業活動を肯定し、当事者として受けとめる新入社員が大多数だったものの、「海外赴任はしたくない」との回答も6割近くにのぼる。今回の調査では、海外経験のある人は海外赴任への抵抗感が少ないという結果も得られた。
もはや「海外勤務は英語の話せる人が行く」「自分には関係ない」という時代ではなく、まずは海外に行く機会を早くつくり心理的なハードルを下げることが有効だろう。
また、インターネットの普及により、テロや感染症など、海外の情報を入手しやすい環境にあり、不安や危険を身近に感じている。今後企業は、現地赴任者へのメンタル面を含めたサポート体制や、事前のケアに配慮することが重要である。
4.過去最高!女性の9割が「子どもが生まれても仕事を続けたい」と回答
子どもが生まれても仕事を続けたいかという問いには、「ぜひ続けたい」(72.3%)、「続けられる環境がそろえば続けたい」(22.3%)を合わせると94.6%で、女性の回答に限っても89.8%となり、過去最高となった。
また、共働きで育児をする場合「ぜひ育児休暇を取得して育児をしたい」(43.5%)、「会社で前例があれば取得したい」(26.1%)を合わせると69.6%、女性の回答に限っては90.5%と、9割を超える女性が育児休業を取得したいと回答した。
「子どもが生まれても仕事を続けたいか」という質問を設けた2006年以降(2013年は実施せず)、「続けたい」と考える女性の割合は緩やかな上昇傾向にあり、育休取得意向も9割と高い。一方、男性の育休取得意向は60%〜65%を推移し、「自分は育児休暇を取得したくない」という回答も毎年15%前後と変わらない。
人口減少に伴う労働力不足を解消するためにも女性の活躍が叫ばれているが、保育施設の拡充や企業の支援策といった環境整備がよりいっそう求められるとともに、男性側の意識転換を促す取り組みも欠かせない。
5.約6割が「10年後の日本は良くなる」。東京五輪に期待!
「10年後の日本社会は、より良い社会になっていると思うか」の問いに対し、57.1%が「なっていると思う」と回答し、「なっていないと思う」の回答(38.1%)を上回っている。新入社員は上司・先輩(「なっていると思う」(54.3%)、「なっていないと思う」(43.7%))に比べ、「良くなる」と考える割合が高い。その理由を自由記述方式で回答を求めたところ、2020年の東京五輪の効果をあげている記述が多かった。
●「10年後の日本は良くなる」と答えた新入社員の自由記述(抜粋)
・東京オリンピックという目標に向かって、国民の土気が高まっていると思うから
・東京オリンピックなどを通して日本らしさを保ちながらも、世界へともっと視野を広げていると考えるから
・東京オリンピックの開催により、日本の国際競争力が高まる
・増税もあるけど、東京五輪とかもあるし世界交流が進むから
・東京オリンピック開催時に、日本の技術力の高さを見せることができるから
・アベノミクスで景気が回復し始めているから
・MADE IN JAPANは相当力を持っているから
・10年の間に淘汰される企業も多いが生き残った精鋭が日本を強くしてくれると思う
・グローバルが進み、異文化をさらに身近に感じると思う。グローバルが進んでも日本の良さは残っていると思う
・女性管理職が増え、新たなアイデアで世の中を明るくすると思うため
・心の豊かさを社会全体で探していると思うから
・私達の世代が中心となって働いているから
・人々がそう唱えることで、行動もかわってくると思うから、私は世間を良くしたいと思っている
・日本人は勤勉な血が流れているから
・今働き始めた人たちが現在の日本社会を見てよりよいものにしようと努力して10年後にはしっかりとした社会人になっていると思うから
2020年に東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決まったことに加え、アベノミクス効果などから、日本全体が明るい未来を描いている。五輪開催を通じて国民が団結し、日本の技術力の高さをアピールするなど良い機会と捉えている。また、10年後は、自分たちの世代が主役となり良い社会を牽引したいと思う気持ちも強い。
6.「東日本大震災」が人生に与えた影響は、人との“絆”と“命”の大切さ
2011年3月11日に起きた「東日本大震災」から3年が経過した今、「東日本大震災があなたの人生に与えた影響や変化」を自由記述方式で聞いたところ、人との絆や助け合い、命の大切さを上げる意見が多く見受けられた。
●「東日本大震災があなたの人生に与えた影響や変化」について答えた新入社員の自由記述(抜粋)
・人は支え合って生きているのだと実感した。仕事やボランティアを通じて、被災地の方々に貢献したいと思う
・今の自分の生活が当たり前ではないことがわかった。当たり前の幸せ、家族、友人、恋人をより大切にするようになった
・東日本大震災により改めて互いを支えあっていく重要性。助けたいと思う積極性が必要だと感じた
・自分は社会の人々に支えられているし、自分も周囲の人々を支えることができると思った
・命の大切さを実感し、1日1日を精一杯生きたいと思いました
・人の命について深く考えるようになった
・命の大切さ、何がおこるか分からない怖さがあることを知った。今、自分が何をすべきか、何をしなくてはならないのかを考えさせられた
・緊急時や災害時には国境や立場、格差などは関係なく、助け合うべきだと思った
・一人一人が危機管理をしていくことが重要だと感じた
・まだ復興が終わってないのに終わった感じがしてよくない
・3.11がなかったら平和ボケしていたと思う
東日本大震災は、日本人が人生を考える一つの分岐点になったのではないだろうか。金銭面より心の豊かさを求める人が増えたように感じる。「誰かのために何かをしたい」「何かできることはないだろうか」という気持ちにさせられた人も多いのではなかろうか。
今年の新入社員のコメントには、「人と人との絆の大切さ」「思いやり」に関する記述が多かった。こうしたことから新入社員を動機づけていくうえで、金銭的な報酬だけではなく、社会との関わり・仕事の意義や、やりがいなどを伝えることが、より重要となっていくだろう。
【本件の内容に関するお問い合わせ先】
一般社団法人日本能率協会 経営・人材センター
〒105-8522 東京都港区芝公園3-1-22
TEL:03-3434-1955
FAX:03-3434-6387