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大衆のアルコールはビールからワインへ!?ビール離れが進む中ワインが健闘、大衆世帯のワイン飲用率が上昇

ブランドコンサルティング会社の株式会社リスキーブランド(本社:東京都渋谷区、代表:田崎 和照、以下「リスキーブランド」)は、同社が2008年から実施している生活意識調査MindVoice(R)調査(約4,000サンプル/年)を用いて「アルコール市場の動向」について分析を行いました。なお、未成年の回答者は分析対象から除外されています。

PDF  : http://www.riskybrand.com/topics/report_140715.pdf
Source: MindVoice(R) 2010〜2014(株式会社リスキーブランド実施の生活意識調査)


【サマリー】
1.ビール離れが進行する中、ワインは健闘
Chart1は、この5年(2010年から2014年)の、アルコール類のカテゴリー別飲用率「日ごろよくお口にするアルコール類」の変化を示したものです。
ビールの飲用率は2010年では37%でしたが、2014年では32.5%でした。2010年から2011年の1年でビールの飲用率が急に(2.7ポイント)落ち込みましたが、これは、震災に伴う自粛ムードが影響していると考えられます。
ワインの飲用率はこの5年で1.2ポイント上昇し2014年では21.0%となりました。2010年の時点では焼酎とワインの飲用率はほぼ同等(0.2ポイント焼酎の方が上)でしたが、2014年にはワインが焼酎を3.3ポイント上回る結果になりました。
製品に値段の差があることから、ワインが日本酒や焼酎よりも上位にランクインした要因には、値段以外のことが関係していると考えられます。
その他、この5年で上昇したのはノンアルコールビール(+4.4)、ハイボール(+1.1)、スピリッツ(+0.7)、日本酒(+0.3)、低下したのは梅酒(▲4.3)、焼酎(▲2.3)、カクテル(▲1.6)、ウィスキー(▲1.5)、チューハイ(▲0.2)でした。ただしチューハイやカクテルはこの1年は上昇しました。
*( )内は増減ポイントを示します。

Chart1: http://www.atpress.ne.jp/releases/48540/img_48540_1.png

2.ビール離れは若者世代に顕著
Chart2は、この5年(2010年から2014年)の「日ごろよくお口にするアルコール類」についての結果の中から、ビール、ワイン、日本酒、焼酎の4種を抜粋し、それぞれの飲用率の変化を示したものです。
ビール飲用率の減少が最も顕著なのはヤング世代(20〜34歳)です。2011年の自粛ムードが過ぎた後も、ヤング世代のビールの飲用率は継続的に減少しています。
また、ヤング世代ではビールと焼酎の飲用率が低下し、ワインと日本酒が上昇しています。ヤング世代の飲用率はこの5年でビールは6.9ポイント、焼酎は5.0ポイント減少し、ワインは2.0ポイント、日本酒は1.1ポイント上昇しました。
もしかしたら、居酒屋で「とりあえずビール!」というスタイルはヤング世代では低下し、ワインや日本酒を楽しむという形に変わってきているのかもしれません。居酒屋大手のワタミが2014年3月期の連結最終損益が49.1億円の赤字(同社は1996年の上場以来初めて赤字)と発表するなど、大手居酒屋チェーンの業績低迷は、ヤング世代のアルコールに対する行動様式の変化が影響しているとも考えられます。
また、ミドル世代(35〜49歳)のビールの飲用率は2011年の自粛ムード期が過ぎた後は横ばいです。ワイン、日本酒、焼酎も年度による微増・微減はあってもさほど大きな変化はみられませんでした。
シニア世代(50〜64歳)のビールの飲用率は、2011年の自粛ムード期もあまり関係なく、微減傾向ではあるもののあまり大きな変化はありません。シニア世代では、ワインの飲用率はこの5年で3.3ポイント上昇、日本酒は2010年から2012年までは上昇傾向にありましたがこの1〜2年微減傾向、焼酎の飲用率はこの5年間で(数字的には微増ではあるものの)ほとんど変化していません。

Chart2: http://www.atpress.ne.jp/releases/48540/img_48540_2.png

3.ワイン健闘の要因はワインの大衆化
Chart3は、世帯年収区分別にみたワインの飲用率を2010年と2014年の2地点で比較したものです。
世帯年収が1,000万円以上を含む、世帯年収500万円以上の世帯ではこの5年でワインの飲用率はほぼ変化がありませんでした。一方で、300〜499万円の世帯ではこの5年でワインの飲用率は3.7%上昇、2010年の13.8%から2014年では17.5%に増加し、ワインの大衆化が進行したことが分かります。
データは「ワインはかつてはリッチ層の飲み物だったが、今ではそうではなくなってきた」ということを示しており、良質なワインの低価格化の進行がワインの大衆化を促したと考えられます。
ワインの大衆化はビール市場にも影響を与えるでしょう。「とりあえずビール」という呼び方に代表されるようにビールは大衆のアルコールの代名詞ともいえましたが、ワインの大衆化が進むと、「とりあえずビール」とはいかなくなることが予想されます。さらに、ワインの大衆化は、大袈裟に言えば、低価格を切り口にした様々な業界にも影響を与えます。ワインは「選ぶ」ことが基本です。もし、安くても「(良質の)選択肢がある」という常識が進行すると、ビールや焼酎などの「低価格」を売りにして成功してきたビジネスモデルは、今後見直しが必要になってくるかもしれません。

Chart3: http://www.atpress.ne.jp/releases/48540/img_48540_3.png

4.『インテリ』『ナチュラル』『オタク』の3つのタイプがワイン派に。「ハイライフ」なタイプは少々ワイン離れ。
Chart4は、「価値観」タイプ別にみたワインの飲用率を2010年と2014年の2地点で比較したものです。「価値観」タイプとは、MindVoice(R)データを使ったクラスター分析による日本人(15〜64歳男女)価値観の7つのタイプのことを示します。
Chart4をみると、『インテリ』『ナチュラル』『オタク』の3つの価値観タイプのワインの飲用率がこの5年で上昇したことが分かります。
『インテリ』は知性やテクノロジーを重んじる人たちです。技術系のホワイトカラーに多く、知的好奇心が高い傾向があります。『ナチュラル』はエコや自然を重んじる人たちです。女性全般に多く、美容・健康に気を遣いデザインやエコへの関心も高い傾向があります。また、美味しいものが好きで、食事・デザートに気を配ります。『オタク』は自分の世界にこもっていたい人たちです。生活レベルは中(または中の下)で40代までの男性に多く、アニメやゲームが好きです。彼らはもの静かなキャラですが頼られるキャラを目指しています。
上記は、ワインはワインの大衆化に伴って、上記のように3つの市場が成長していると分析することができます。1つは知的好奇心を刺激する「知的ワイン市場」。『インテリ』なタイプが主要な顧客です。彼らは「テロワールが云々・・・」など、味や価格よりもワインを飲むことで展開できる知識にまず興味を持つ傾向があります。2つめは、おしゃれでエコな「食事にあうワイン市場」。『ナチュラル』なタイプが主要な顧客です。健康に良いイメージと食事との相性が彼らに受けそうです。3つめは、「自分の世界にこもれるワイン市場」。『オタク』なタイプが主要な顧客です。低価格のワインであってもそれなりに自分のこだわりが実感できるのが彼らが感じるワインの魅力だと考えられます。一人で、または気のあった仲間たちと、自宅やワインバーなどでワインを楽しんでいるのかもしれません。
一方で、『ハイライフ』という価値観タイプの人のワインの飲用率は低下しています。『ハイライフ』は、提案力と高品質を重んじる人たちです。彼らは経済的に恵まれたリッチ層男女。ホワイトカラーに多く、よく働き、よく遊びます。情報感度並びに自分の過ごす時間への関心が高い傾向があります。
かつては『ハイライフ』はワインの最大の顧客でしたが、今ではその支持は少し低下しているようです。もしかしたらワインの大衆化は、彼らにとってはマイナスの影響を与えたのかもしれません。
ワインの大衆化は、ワインの市場を拡大したといえますが、かつての主要顧客のハートを掴み続けないと成長に限界が生じてくるかもしれません。商品企画やブランディング施策など、ワインの供給者はもう一度『ハイライフ』のハートを掴む努力が必要だといえるでしょう。

Chart4: http://www.atpress.ne.jp/releases/48540/img_48540_4.png

なお、MindVoice(R)による価値観の7つのタイプの概要は下記の通りです。
A. ハイライフ(10%) 提案力と高品質を重んじる人たち。
B. コンサバ (18%) 伝統とクオリティを重んじる人たち。
C. インテリ  (8%) 知性やテクノロジーを重んじる人たち。
D. トレンド (12%) 流行を重んじる人たち。
E. ナチュラル (9%) エコや自然を重んじる人たち。
F. ヒカエメ (29%) 値段を重視し控え目な消費を行う人たち。
G. オタク  (14%) 自分の世界にこもっていたい人たち。

*( )内の数字は2014年の人口構成比です。
*詳細: http://www.riskybrand.com/mindvoice/segmentation/type/


【MindVoice(R)とは】
MindVoice(R)は、ブランド戦略コンサルティングを行う株式会社リスキーブランドと、ネットリサーチの大手マイボイスコム株式会社との共同調査です。毎年約4,000サンプルの定量調査から得たデータベースを基に、商品企画やコミュニケーションなど企業のマーケティング戦略を支援するプログラムです。
調査地域:全国
調査対象:15〜64歳の日本人男女(世帯年収300万円以上)
調査手法:インターネット調査
調査時期:毎年5月
有効回答:約4,000サンプル/年

*MindVoice(R)は株式会社リスキーブランドの登録商標です。


【株式会社リスキーブランドについて】
株式会社リスキーブランドは、市場調査、商品企画、デザイン開発などの企業のブランド戦略を支援する『ブランドコンサルティング会社』です。商品を軸にしたマーケティング戦略から、CIやビジョン開発など企業のイメージ戦略まで企業のブランド施策をワンストップでお手伝いします。

ホームページ: http://www.riskybrand.com/
Facebook  : http://www.facebook.com/riskybrand


【マイボイスコム株式会社について】
マイボイスコム株式会社は、ネットリサーチ、行動付随型リサーチ、従来型リサーチ等で、調査設計から、集計・分析、レポート作成までトータルに提供している『ネットリサーチ会社』です。また、独自のテキストマイニングや、約2,000テーマの1万人規模の自主調査を「アンケートデータベース」として広く公表もしています。

ホームページ     : http://www.myvoice.co.jp/
アンケートデータベース: http://myel.myvoice.jp/
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