アジアで初の公式記録 幻の巨大ザメ「メガマウス」の化石を沖縄で発見
[15/01/21]
提供元:@Press
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一般財団法人 沖縄美ら島財団(沖縄県本部町)で研究を行っている冨田 武照らの研究グループは、沖縄県の新生代新第三期の地層からメガマウスザメの歯の化石を発見しました。この発見は、アジア地域で初めての、メガマウスザメ化石の公式記録です。本研究の論文は、日本古生物学会の英文学術雑誌『Paleontological Research』に掲載予定です。
■発表雑誌■
雑誌名:Paleontological Research
論文名:The first Cenozoic record of a fossil megamouth shark
(Lamniformes, Megachasmidae) from Asia
著者名:北海道大学 総合博物館研究員 冨田 武照
※現在、一般財団法人 沖縄美ら島財団 総合研究センターに在籍
一般財団法人 沖縄美ら島財団 水族館事業部 魚類チーム 横山 季代子
掲載日:未定
■発見された化石■
http://www.atpress.ne.jp/releases/56221/img_56221_1.jpg
http://www.atpress.ne.jp/releases/56221/img_56221_2.jpg
■ポイント■
●メガマウスザメの歯の化石が、沖縄県の新生代新第三期の地層(約1000万年前〜300万年前)から発見された。
●今回の発見は、アジア地域で初めての、メガマウスザメ化石の公式記録である。
●この発見により、新生代後期にはメガマウスザメが全世界的に分布していたことが明らかになった。
●発見された化石をより古い時代の化石と比較したところ、現生のメガマウスザメに近い特徴を持っていた。化石の形の変遷を追うことで、メガマウスザメの進化の歴史の解明につながる。
<謎につつまれた進化>
メガマウスザメは、1976年に発見された全長6メートルに達する大型のプランクトン食のサメで、世界でも目撃例・捕獲例がきわめて少ないことから「幻のサメ」とも言われています。その化石記録もきわめて乏しく、これまで北米、ヨーロッパの約10地域で歯の化石が発見されているにすぎません。
今回、沖縄県の新生代新第三期の地層(約1000万年前から300万年前)から発見された1cmほどの小さいサメの歯の化石が、メガマウスザメのものであることが明らかになりました。今回の発見はアジア初のメガマウスザメ化石の公式記録となるだけでなく、謎につつまれたメガマウスザメの進化の過程を解明するうえでも非常に重要なものです。
<発見の経緯>
2014年2月、化石の採集と研究をしている岩瀬 暖花さん(那覇市立天久小学校、当時3年生)がこれまで沖縄で採集した化石を持って沖縄美ら海水族館を訪れました。そのとき暖花さんと知り合いになった当財団職員(横山 季代子)が、後日暖花さんから教えてもらった化石産地を訪れ、小さい歯の化石を発見しました。その化石を沖縄美ら島財団総合研究センターで研究を行っている北海道大学総合博物館研究員の冨田 武照氏と調べたところ、メガマウスザメのものであることが判明しました。
<アジア初の確実な記録>
現生のメガマウスザメは全世界の熱帯から温帯の海に分布していると考えられていますが、その発見例の約8割はアジア地域(日本、台湾、フィリピンなど)に集中しています。一方、メガマウスザメの化石は、主に北米とヨーロッパの新生代の地層から発見されており、なぜかアジア地域からはほとんど発見例がありませんでした。
これまでにも日本でメガマウスザメの化石を発見した記録はあるのですが、これは個人標本にもとづいており、公的な機関に登録されたものではありません。よって今回の発見はアジア地域で初めての、メガマウスザメ化石の確実な記録となります。
この発見により、メガマウスザメの化石は、大西洋、北西太平洋、北東太平洋から発見されていることになり、現生種と同様、新生代後期にはメガマウスザメが全世界的に分布していたことが明らかになりました。
<進化の解明に期待>
さらに、今回発見された化石を詳細に調べた結果、現生のメガマウスザメに近い特徴を多く持っていることが明らかになりました。
北米から発見される、より古い時代(新生代古第三期)のメガマウスザメの化石には、現生種には見られない特徴(大きいサイズ、幅広い歯根、歯の脇に一対の突起がある、など)が見られます。今回発見された化石は、より現生種に近い特徴を持っており、メガマウスザメの歯の形が時代とともに変遷してきた様子が分かります。
今後、化石証拠が増えることで、謎に満ちたメガマウスザメの進化の歴史が解明されることが期待されます。
■研究者プロフィール■
冨田 武照(とみた たけてる)
2011年東京大学大学院博士課程修了、同年北海道大学 総合博物館にて学術振興会特別研究員(PD)。2014年から一般財団法人 沖縄美ら島財団 総合研究センターに在籍し、サメ類の胎児の研究を行っている。専門は軟骨魚類の進化、機能形態学など。
横山 季代子(よこやま きよこ)
1995年宮崎大学大学院修士課程修了、同年 社団法人 沖縄海洋生物飼育技術センター(国営沖縄記念公園水族館)入社、2002年 一般財団法人 沖縄美ら島財団入社。沖縄美ら海水族館教育普及担当。専門は魚類分類学など。
■発表雑誌■
雑誌名:Paleontological Research
論文名:The first Cenozoic record of a fossil megamouth shark
(Lamniformes, Megachasmidae) from Asia
著者名:北海道大学 総合博物館研究員 冨田 武照
※現在、一般財団法人 沖縄美ら島財団 総合研究センターに在籍
一般財団法人 沖縄美ら島財団 水族館事業部 魚類チーム 横山 季代子
掲載日:未定
■発見された化石■
http://www.atpress.ne.jp/releases/56221/img_56221_1.jpg
http://www.atpress.ne.jp/releases/56221/img_56221_2.jpg
■ポイント■
●メガマウスザメの歯の化石が、沖縄県の新生代新第三期の地層(約1000万年前〜300万年前)から発見された。
●今回の発見は、アジア地域で初めての、メガマウスザメ化石の公式記録である。
●この発見により、新生代後期にはメガマウスザメが全世界的に分布していたことが明らかになった。
●発見された化石をより古い時代の化石と比較したところ、現生のメガマウスザメに近い特徴を持っていた。化石の形の変遷を追うことで、メガマウスザメの進化の歴史の解明につながる。
<謎につつまれた進化>
メガマウスザメは、1976年に発見された全長6メートルに達する大型のプランクトン食のサメで、世界でも目撃例・捕獲例がきわめて少ないことから「幻のサメ」とも言われています。その化石記録もきわめて乏しく、これまで北米、ヨーロッパの約10地域で歯の化石が発見されているにすぎません。
今回、沖縄県の新生代新第三期の地層(約1000万年前から300万年前)から発見された1cmほどの小さいサメの歯の化石が、メガマウスザメのものであることが明らかになりました。今回の発見はアジア初のメガマウスザメ化石の公式記録となるだけでなく、謎につつまれたメガマウスザメの進化の過程を解明するうえでも非常に重要なものです。
<発見の経緯>
2014年2月、化石の採集と研究をしている岩瀬 暖花さん(那覇市立天久小学校、当時3年生)がこれまで沖縄で採集した化石を持って沖縄美ら海水族館を訪れました。そのとき暖花さんと知り合いになった当財団職員(横山 季代子)が、後日暖花さんから教えてもらった化石産地を訪れ、小さい歯の化石を発見しました。その化石を沖縄美ら島財団総合研究センターで研究を行っている北海道大学総合博物館研究員の冨田 武照氏と調べたところ、メガマウスザメのものであることが判明しました。
<アジア初の確実な記録>
現生のメガマウスザメは全世界の熱帯から温帯の海に分布していると考えられていますが、その発見例の約8割はアジア地域(日本、台湾、フィリピンなど)に集中しています。一方、メガマウスザメの化石は、主に北米とヨーロッパの新生代の地層から発見されており、なぜかアジア地域からはほとんど発見例がありませんでした。
これまでにも日本でメガマウスザメの化石を発見した記録はあるのですが、これは個人標本にもとづいており、公的な機関に登録されたものではありません。よって今回の発見はアジア地域で初めての、メガマウスザメ化石の確実な記録となります。
この発見により、メガマウスザメの化石は、大西洋、北西太平洋、北東太平洋から発見されていることになり、現生種と同様、新生代後期にはメガマウスザメが全世界的に分布していたことが明らかになりました。
<進化の解明に期待>
さらに、今回発見された化石を詳細に調べた結果、現生のメガマウスザメに近い特徴を多く持っていることが明らかになりました。
北米から発見される、より古い時代(新生代古第三期)のメガマウスザメの化石には、現生種には見られない特徴(大きいサイズ、幅広い歯根、歯の脇に一対の突起がある、など)が見られます。今回発見された化石は、より現生種に近い特徴を持っており、メガマウスザメの歯の形が時代とともに変遷してきた様子が分かります。
今後、化石証拠が増えることで、謎に満ちたメガマウスザメの進化の歴史が解明されることが期待されます。
■研究者プロフィール■
冨田 武照(とみた たけてる)
2011年東京大学大学院博士課程修了、同年北海道大学 総合博物館にて学術振興会特別研究員(PD)。2014年から一般財団法人 沖縄美ら島財団 総合研究センターに在籍し、サメ類の胎児の研究を行っている。専門は軟骨魚類の進化、機能形態学など。
横山 季代子(よこやま きよこ)
1995年宮崎大学大学院修士課程修了、同年 社団法人 沖縄海洋生物飼育技術センター(国営沖縄記念公園水族館)入社、2002年 一般財団法人 沖縄美ら島財団入社。沖縄美ら海水族館教育普及担当。専門は魚類分類学など。