腸管の炎症を抑える脂肪酸「HYA」の大量生産に向け、京都本社にて研究棟を新たに稼働
[15/02/05]
提供元:@Press
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OTC医薬品の製造販売を手がける日東薬品工業株式会社(本社:京都府向日市、代表取締役社長:北尾 哲郎、以下「日東薬品」)は、機能性脂肪酸10-ヒドロキシ-シス-12-オクタデセン酸(以下「HYA」)の研究棟(日東薬品 京都本社)を2015年1月から新たに稼働しました。
HYAは脂質代謝の異常を改善する効果や、腸管の炎症を抑える効果を持つことから、肥満防止や潰瘍性大腸炎[*1]、クローン病[*2]などの治療に役立つ可能性があると考えられます。今後、HYAの大量生産技術を確立し、2018年度までの実用化を目指します。
この研究は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構[*3](以下「NEDO」)の支援を受けたものであり、京都大学大学院農学研究科 小川 順教授(以下「京都大学大学院」)と日東薬品とで実用化を目指し共同研究を行っています。
■腸管の炎症を抑える「HYA」 ― 潰瘍性大腸炎、クローン病などの難病治療の可能性
HYAは、植物油に含まれるリノール酸を乳酸菌で反応させることで作られる脂肪酸です。日東薬品は、京都大学大学院との共同研究をとおして、HYAが脂質代謝異常を改善する効果や、腸管の免疫力を高める効果を持つことを明らかにしています。
さらに、広島大学大学院生物圏科学研究科 田辺 創一教授との研究により、HYAが腸管の炎症を抑える効果を持つことが新たにわかりました。これにより、潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸管の炎症が原因となる難病の治療にHYAが役立つ可能性があると考えられます。この結果については、The Journal of Biological Chemistryに1月30日に掲載されました[*4]。
■HYA製造に必要な設備を全て備えた研究棟
これまで、日東薬品は京都大学大学院と、HYAの実用化に向け小規模で試作を進めてきました。この度、NEDOからの支援を受け、量産化の検討を始めるため日東薬品 京都本社でパイロットスケール[*5]の研究棟を稼働しました。
この研究棟は実用プラントとほぼ同じ機能を持ち、HYAの製造工程で必要となる培養タンク、発酵タンク、抽出・精製装置などの設備を備えています。また、1回の生産で数十〜数百kgの植物油を変換する能力を持ち、商用生産により近いスケールで検討を行うことができます。
この研究棟で商用生産に向けた検討を行い、大量生産技術の確立を目指します。
この成果は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得られたものです。
[*1] 潰瘍性大腸炎
炎症性腸疾患の一種で、指定難病。大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患。これまで原因として、腸内細菌の関与や自己免疫反応の異常、食生活の変化などが考えられていますが、まだ完全にはわかっていません。患者数は日本国内に16万人以上。
[*2] クローン病
炎症性腸疾患の一種で、指定難病。主に若年者にみられ、小腸の末端部のほか、口腔から肛門にいたるまで、消化管のさまざまな部位に炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)が起こります。これまで原因として、遺伝的要因、結核菌類似の細菌や麻疹ウイルスによる感染、食事成分が腸管粘膜に異常な反応をひきおこしていることなどが考えられていますが、まだ完全にはわかっていません。患者数は日本国内に3万人以上。
[*3] 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
「エネルギー・地球環境問題の解決」と「産業技術の国際競争力の強化」の実現を目指し、大学、企業などに技術開発支援を行う独立行政法人。「研究開発型新事業創出支援プラットフォーム」の一環として、「イノベーション実用化ベンチャー支援事業(研究開発型ベンチャー企業等の有する優れた先端技術シーズや有望な未利用技術を活用した実用化開発を支援する制度)」を実施しています。京都大学大学院と日東薬品は、平成25年度のイノベーション実用化ベンチャー支援事業に採択されました。
[*4] 出典
Junki Miyamoto, Taichi Mizukure, Si-Bum Park, Shigenobu Kishino, Ikuo Kimura, Kanako Hirano, Paolo Bergamo, Mauro Rossi, Takuya Suzuki, Makoto Arita, Jun Ogawa and Soichi Tanabe (2015) A Gut Microbial Metabolite of Linoleic Acid, 10-Hydroxy-cis-12-octadecenoic Acid, Ameliorates Intestinal Epithelial Barrier Impairment Partially via GPR40-MEK-ERK Pathway. The Journal of Biological Chemistry, 290(5), 2902-2918
[*5] パイロットスケール
商用生産の10分の1以上の規模。
■会社概要
名称 : 日東薬品工業株式会社
本社所在地: 京都府向日市上植野町南開35-3
代表者 : 代表取締役社長 北尾 哲郎
事業内容 : 医薬品の研究開発、製造販売、機能性食品の研究開発
URL : http://www.nitto-pharma.co.jp/
HYAは脂質代謝の異常を改善する効果や、腸管の炎症を抑える効果を持つことから、肥満防止や潰瘍性大腸炎[*1]、クローン病[*2]などの治療に役立つ可能性があると考えられます。今後、HYAの大量生産技術を確立し、2018年度までの実用化を目指します。
この研究は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構[*3](以下「NEDO」)の支援を受けたものであり、京都大学大学院農学研究科 小川 順教授(以下「京都大学大学院」)と日東薬品とで実用化を目指し共同研究を行っています。
■腸管の炎症を抑える「HYA」 ― 潰瘍性大腸炎、クローン病などの難病治療の可能性
HYAは、植物油に含まれるリノール酸を乳酸菌で反応させることで作られる脂肪酸です。日東薬品は、京都大学大学院との共同研究をとおして、HYAが脂質代謝異常を改善する効果や、腸管の免疫力を高める効果を持つことを明らかにしています。
さらに、広島大学大学院生物圏科学研究科 田辺 創一教授との研究により、HYAが腸管の炎症を抑える効果を持つことが新たにわかりました。これにより、潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸管の炎症が原因となる難病の治療にHYAが役立つ可能性があると考えられます。この結果については、The Journal of Biological Chemistryに1月30日に掲載されました[*4]。
■HYA製造に必要な設備を全て備えた研究棟
これまで、日東薬品は京都大学大学院と、HYAの実用化に向け小規模で試作を進めてきました。この度、NEDOからの支援を受け、量産化の検討を始めるため日東薬品 京都本社でパイロットスケール[*5]の研究棟を稼働しました。
この研究棟は実用プラントとほぼ同じ機能を持ち、HYAの製造工程で必要となる培養タンク、発酵タンク、抽出・精製装置などの設備を備えています。また、1回の生産で数十〜数百kgの植物油を変換する能力を持ち、商用生産により近いスケールで検討を行うことができます。
この研究棟で商用生産に向けた検討を行い、大量生産技術の確立を目指します。
この成果は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得られたものです。
[*1] 潰瘍性大腸炎
炎症性腸疾患の一種で、指定難病。大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患。これまで原因として、腸内細菌の関与や自己免疫反応の異常、食生活の変化などが考えられていますが、まだ完全にはわかっていません。患者数は日本国内に16万人以上。
[*2] クローン病
炎症性腸疾患の一種で、指定難病。主に若年者にみられ、小腸の末端部のほか、口腔から肛門にいたるまで、消化管のさまざまな部位に炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)が起こります。これまで原因として、遺伝的要因、結核菌類似の細菌や麻疹ウイルスによる感染、食事成分が腸管粘膜に異常な反応をひきおこしていることなどが考えられていますが、まだ完全にはわかっていません。患者数は日本国内に3万人以上。
[*3] 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
「エネルギー・地球環境問題の解決」と「産業技術の国際競争力の強化」の実現を目指し、大学、企業などに技術開発支援を行う独立行政法人。「研究開発型新事業創出支援プラットフォーム」の一環として、「イノベーション実用化ベンチャー支援事業(研究開発型ベンチャー企業等の有する優れた先端技術シーズや有望な未利用技術を活用した実用化開発を支援する制度)」を実施しています。京都大学大学院と日東薬品は、平成25年度のイノベーション実用化ベンチャー支援事業に採択されました。
[*4] 出典
Junki Miyamoto, Taichi Mizukure, Si-Bum Park, Shigenobu Kishino, Ikuo Kimura, Kanako Hirano, Paolo Bergamo, Mauro Rossi, Takuya Suzuki, Makoto Arita, Jun Ogawa and Soichi Tanabe (2015) A Gut Microbial Metabolite of Linoleic Acid, 10-Hydroxy-cis-12-octadecenoic Acid, Ameliorates Intestinal Epithelial Barrier Impairment Partially via GPR40-MEK-ERK Pathway. The Journal of Biological Chemistry, 290(5), 2902-2918
[*5] パイロットスケール
商用生産の10分の1以上の規模。
■会社概要
名称 : 日東薬品工業株式会社
本社所在地: 京都府向日市上植野町南開35-3
代表者 : 代表取締役社長 北尾 哲郎
事業内容 : 医薬品の研究開発、製造販売、機能性食品の研究開発
URL : http://www.nitto-pharma.co.jp/