<外食・中食 調査レポート>贅沢&節約志向の混合と二極化 〜50代以上の消費行動に変化〜
[15/06/24]
提供元:@Press
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外食・中食市場情報サービス『CREST(R) *1』を提供するエヌピーディー・ジャパン株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役社長:アーサー・ブラントリー)は、この度、外食・中食市場のトレンドについて調査・分析しました。
2015年春闘で、円安を追い風に大手企業が過去最高のベアを提示するなど、一部では景気は快方へシフトしているようにみえます。しかしその一方で、消費税増税・円安による原材料費高騰などを背景に、強い向かい風を受けている外食・中食市場において、消費者はどのような反応を示しているのか、消費税増税前の2014年Q1(第1四半期)との比較でどのような変化があったのかを、エヌピーディー・ジャパン(株)が提供する外食・中食市場情報サービス『CREST(R)』を用いて探っていきます。
■外食・中食市場全体の市場規模は、増税も寄与して成長
『CREST(R)』によると、外食・中食市場では、2015年Q1と2014年Q1の比較で食機会数 *2(客数)は-0.8%と微減も、金額市場規模が5.5%伸長。これには客単価の伸び(+6.3%)が大きく影響した(図表1)。消費税増税前の2014年1-3月との比較ということもあり、特に客単価に上昇の動き。ただし、+6%は増税分を上回る伸び率であることから、その要因がどこにあるのかが興味深いポイントだ。
【図表1】外食・中食市場 対前年同期比 成長率
https://www.atpress.ne.jp/releases/65095/img_65095_1.png
■50代以上の伸びが、市場全体の成長を牽引
2014年Q1からの伸び率を年代別にみてみると、食機会数は0〜40代のどの年齢層においてもマイナス成長なのに対し、50代以上の年齢層においては一様に伸びがみられる(図表2)。そして、そのなかでも特に女性が伸びた(男性50代以上:+7.9%、女性50代以上:+16.8%)。
【図表2】年代別 対前年同期比 食機会数成長率
https://www.atpress.ne.jp/releases/65095/img_65095_2.png
■対極にある、高価格業態と低価格業態がともに成長
この50代以上の食機会数が伸びた業態は、FR(ファミリーレストラン)や居酒屋以外のFSR(フルサービスレストラン)の「その他FSR」(すし屋などの和風レストラン、イタリアンなどの洋風レストラン、中華料理専門店、バー・エンタテイメントなど)で25%伸びており、男性に比べ女性の伸び率が高い(+40.2%)(図表3)。そして、FF(ファストフード)とセルフサービス型カフェ以外のQSR(クイックサービスレストラン)の「その他QSR」(ベーカリー、従来型喫茶店、洋菓子店)も大きく伸びて、+16.8%(こちらは男性の伸び率が高く+21.6%)。このように、他業態に比べて客単価の高い業態が、前年同期比で市場の成長を牽引した50代以上により利用されている。さらに、これらの業態においては客単価も大きく伸びており、市場規模の成長を後押ししたことは間違いなく、贅沢志向へのシフトも垣間見える。
しかし一方で、この50代以上においてCVS(コンビニエンスストア)やスーパーなど低価格業態の利用も伸びており、そこでは客単価が下がっていることも見逃せない(どちらも女性において大きく下落した)。上記で言及した贅沢志向のために、節約も欠かせないということが考えられる。また、その他FSRにおいて特に伸びた女性のこの年代が、CVSとSMにおいて消費税増税後にも関わらず出費を抑えているという現状は、家事を担う主婦等の節約に対する意識の高さを表している。
【図表3】業態 *3別 対前年同期比 食機会数成長率
https://www.atpress.ne.jp/releases/65095/img_65095_3.png
景気回復への風潮が快方へシフトしつつあるなか、食シーンでも高級志向、贅沢志向が見られ、市場を押し上げている。一方で、このQ1における成長のドライバーとなった50代以上においては、中食シーンでは特に女性が価格を抑え、節約しているという現状も見えた。これら2つの傾向が如実に表れたのは、「贅沢をするためには節約も辞さない」という姿勢が出ているとも捉えられ、また贅沢層と節約層の「二極化」が表れ始めているともいえる。今後、二極化はさらに進むのか、どちらか一方に振れていくのかも含めて、外食・中食シーンにおける業態間の使われ方、客単価の変化には、引き続き注目する必要がある。
*1:CREST(R)
外食・中食市場において「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを、1年365日、直接消費者から収集し、年間13万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービスです。(海外各国版もご用意)
詳細URL: http://www.npdjapan.com/service/food.html
*2:食機会数
外食・中食を利用した延べ食機会(朝/午前間食/昼/午後間食/夕/夜間食)数
*3:業態区分
・QSR(クイックサービスレストラン):ファストフード業態および、パン屋・ベーカリー・カフェ業態など
・FSR(フルサービスレストラン):居酒屋業態、ファミリーレストラン業態および、その他レストラン業態
2015年春闘で、円安を追い風に大手企業が過去最高のベアを提示するなど、一部では景気は快方へシフトしているようにみえます。しかしその一方で、消費税増税・円安による原材料費高騰などを背景に、強い向かい風を受けている外食・中食市場において、消費者はどのような反応を示しているのか、消費税増税前の2014年Q1(第1四半期)との比較でどのような変化があったのかを、エヌピーディー・ジャパン(株)が提供する外食・中食市場情報サービス『CREST(R)』を用いて探っていきます。
■外食・中食市場全体の市場規模は、増税も寄与して成長
『CREST(R)』によると、外食・中食市場では、2015年Q1と2014年Q1の比較で食機会数 *2(客数)は-0.8%と微減も、金額市場規模が5.5%伸長。これには客単価の伸び(+6.3%)が大きく影響した(図表1)。消費税増税前の2014年1-3月との比較ということもあり、特に客単価に上昇の動き。ただし、+6%は増税分を上回る伸び率であることから、その要因がどこにあるのかが興味深いポイントだ。
【図表1】外食・中食市場 対前年同期比 成長率
https://www.atpress.ne.jp/releases/65095/img_65095_1.png
■50代以上の伸びが、市場全体の成長を牽引
2014年Q1からの伸び率を年代別にみてみると、食機会数は0〜40代のどの年齢層においてもマイナス成長なのに対し、50代以上の年齢層においては一様に伸びがみられる(図表2)。そして、そのなかでも特に女性が伸びた(男性50代以上:+7.9%、女性50代以上:+16.8%)。
【図表2】年代別 対前年同期比 食機会数成長率
https://www.atpress.ne.jp/releases/65095/img_65095_2.png
■対極にある、高価格業態と低価格業態がともに成長
この50代以上の食機会数が伸びた業態は、FR(ファミリーレストラン)や居酒屋以外のFSR(フルサービスレストラン)の「その他FSR」(すし屋などの和風レストラン、イタリアンなどの洋風レストラン、中華料理専門店、バー・エンタテイメントなど)で25%伸びており、男性に比べ女性の伸び率が高い(+40.2%)(図表3)。そして、FF(ファストフード)とセルフサービス型カフェ以外のQSR(クイックサービスレストラン)の「その他QSR」(ベーカリー、従来型喫茶店、洋菓子店)も大きく伸びて、+16.8%(こちらは男性の伸び率が高く+21.6%)。このように、他業態に比べて客単価の高い業態が、前年同期比で市場の成長を牽引した50代以上により利用されている。さらに、これらの業態においては客単価も大きく伸びており、市場規模の成長を後押ししたことは間違いなく、贅沢志向へのシフトも垣間見える。
しかし一方で、この50代以上においてCVS(コンビニエンスストア)やスーパーなど低価格業態の利用も伸びており、そこでは客単価が下がっていることも見逃せない(どちらも女性において大きく下落した)。上記で言及した贅沢志向のために、節約も欠かせないということが考えられる。また、その他FSRにおいて特に伸びた女性のこの年代が、CVSとSMにおいて消費税増税後にも関わらず出費を抑えているという現状は、家事を担う主婦等の節約に対する意識の高さを表している。
【図表3】業態 *3別 対前年同期比 食機会数成長率
https://www.atpress.ne.jp/releases/65095/img_65095_3.png
景気回復への風潮が快方へシフトしつつあるなか、食シーンでも高級志向、贅沢志向が見られ、市場を押し上げている。一方で、このQ1における成長のドライバーとなった50代以上においては、中食シーンでは特に女性が価格を抑え、節約しているという現状も見えた。これら2つの傾向が如実に表れたのは、「贅沢をするためには節約も辞さない」という姿勢が出ているとも捉えられ、また贅沢層と節約層の「二極化」が表れ始めているともいえる。今後、二極化はさらに進むのか、どちらか一方に振れていくのかも含めて、外食・中食シーンにおける業態間の使われ方、客単価の変化には、引き続き注目する必要がある。
*1:CREST(R)
外食・中食市場において「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを、1年365日、直接消費者から収集し、年間13万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービスです。(海外各国版もご用意)
詳細URL: http://www.npdjapan.com/service/food.html
*2:食機会数
外食・中食を利用した延べ食機会(朝/午前間食/昼/午後間食/夕/夜間食)数
*3:業態区分
・QSR(クイックサービスレストラン):ファストフード業態および、パン屋・ベーカリー・カフェ業態など
・FSR(フルサービスレストラン):居酒屋業態、ファミリーレストラン業態および、その他レストラン業態