IEEEがプレスセミナーを開催 『スマートコミュニティの最新トレンド』
[16/01/06]
提供元:@Press
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IEEE(アイ・トリプル・イー)は、都市問題の解決や新産業創出策として期待されるスマートコミュニティを紹介する『スマートコミュニティの最新トレンド』と題したプレスセミナーを、2015年12月10日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催いたしました。今回は、スマートコミュニティ関連の研究で知られる西 宏章先生(慶應義塾大学理工学部 システムデザイン工学科 教授)にご登壇いただきました。
今回のセミナーでは、エネルギーとICT(情報通信技術)を結びつけ、地域や都市の消費電力を減らすなど「賢く(スマート化)」するというスマートコミュニティ、スマートシティー関連の世界的な取り組みについて、西先生が、IEEEが関わる事柄を中心に最新事例を紹介しました。
【IEEEスマートイニシアチブを紹介】
IEEEは通信関連を中心に、技術・製品の互換性を高めるなどを目的とした技術標準を進めており、スマートコミュニティ関連でも多数の技術標準を策定しています。こうした貢献に加えて、近年は、都市のスマート化に対し、IEEEが主導的に関わり、コンサルタント的な立場で市政機関の都市化を支援する「IEEEスマートイニシアチブ」の取り組みも進めています。
西教授はメキシコのグアダラハラでのスマートシティーの事例を取り上げ、IEEEスマートイニシアチブの利点について「この試みに多くの都市が参加することで、各都市でのスマート化に向けた事例を経験値として皆で共有できる」ことを挙げました。ワークショップや白書の取りまとめ都市の予算が制限される中でも、IEEEによる適切な技術利用の指南や、都市化への家庭管理サポート、IEEEボランティアを取り込んだ人的支援などを活用すれば、円滑なスマートシティー化を図ることが期待できます。
【各種技術標準を提示】
スマートシティーにおけるIEEEの技術標準についても最新の状況が提示されました。シームレスな接続性につながるIEEE802シリーズは、活用するデバイスが2007年の1日あたり100万ユニットから、2017年には1日あたり1,000万ユニットに増大するとされています。スマートシティーでは、高効率なワイヤレスLANなど各種標準化技術を使った試みも多くあります。例えば、スタジアムでスマートフォンなどの小型端末を使って見たいポイントを観戦する、建物内で的確に現在位置や行きたい場所を把握する、ウエアラブル端末を活用する、といったものです。
交通でも、IEEE802.11pは5GHzのバンドを利用し、1,000メートルの範囲を時速200キロメートルの移動速度まで対応する車間道や、車々間通信をサポートすることができます。特に北米では、列車や海洋を含むあらゆる地上交通網の移動性と安全性を高めるために5.850-5.925Ghzの帯域を活用しています。
さらに、スマートシティーを構成する要素技術の標準として、電気自動車インフラを含むスマートグリッドに関する技術標準「IEEE2030シリーズ」、電力システムにおける分散リソース管理に関する技術標準「IEEE1547シリーズ」なども紹介されました。西教授は各種技術標準に加え、それらドメインをつなげるドメイン間通信の重要性にも触れました。ヘテロな(異なる)技術のためのデジタルホームネットワーク統合標準「IEEE1905.1-2013」はどのインターフェースでも安全性、信頼性の高い通信を可能にします。西教授は「技術標準を取り入れてもバラバラでつながらない、といったトラブルをなくすことは重要」と唱えています。
【日本の取り組みも紹介】
西教授は日本でのスマートコミュニティに関する最新の取り組みも紹介しました。まず、用語の整理として、電力に限ったICTとの融合をスマートグリッドと呼び、特にあるインフラをICTと融合させスマート化した場合にスマートインフラ、さらにこれらをある地域に集中導入した場合、スマートシティー、スマートタウンといった呼び名になると説明しました。経済産業省などが進めるスマートコミュニティは、場所の特定を避ける場合に用いるとのことです。
日本では、エネルギーだけでなく、健康・医療や農業、災害関連やセキュリティーなど多彩な連携が模索され、多彩な技術標準を持ち、統一プラットフォーム(API)によりそれらを統一的に扱うことができるIEEEが貢献できる余地は大きいとしています。
取り組みの事例として宮城県栗原市のソーシャル・キャピタル(地域参加・つながり)の調査結果が出されました。栗原市では災害発生時の早期情報通信システムの構築や、市民への情報提供としての放送実験などが行われました。その結果、ソーシャル・キャピタルと健康度が低かった地域ほど、改善度が高かったとのことです。
そのほか、武蔵小杉スマートコミュニティでのホームエネルギーマネジメントや、さいたま市美園地区の「UDCMi」などの事例も紹介されました。美園地区では、約320ヘクタールの大規模区画整理事業が進行中で、市の副都心としての拠点形成を目指しています。ここでは、少子高齢化対策、環境負荷低減、地域経済活性化などをテーマに、大企業も参画したスマートコミュニティ作りが企画されています。西教授は「まちのデザイン、メンテナンス、プロモーション、サービス、という4つの観点をうまく進めることが成功につながる」と述べています。
最後に、プライバシーの管理やデータの2次利用といったスマートコミュニティを進める中での課題を提示。そうした課題の解決に加え「市場規模が累計1,000兆円と言われるスマートコミュニティの成功には、地域に対する、生活の質(QoL)向上に向けたフィードバックも大切」と指摘しています。
【IEEEについて】
IEEEは、世界最大の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。160カ国、40万人以上のエンジニアや技術専門会の会員を擁する非営利団体で、論文誌の発行、国際会議の開催、技術標準化などを行うとともに、諸活動を通じて世界中の工学やその他専門技術職のための信用性の高い「声」として役立っています。
IEEEは、電気・電子工学およびコンピューターサイエンス分野における世界の文献の30%を出版、2,000以上の現行標準を策定し、年間1,300を超える国際会議を開催しています。
詳しくは http://www.ieee.org をご覧ください。
今回のセミナーでは、エネルギーとICT(情報通信技術)を結びつけ、地域や都市の消費電力を減らすなど「賢く(スマート化)」するというスマートコミュニティ、スマートシティー関連の世界的な取り組みについて、西先生が、IEEEが関わる事柄を中心に最新事例を紹介しました。
【IEEEスマートイニシアチブを紹介】
IEEEは通信関連を中心に、技術・製品の互換性を高めるなどを目的とした技術標準を進めており、スマートコミュニティ関連でも多数の技術標準を策定しています。こうした貢献に加えて、近年は、都市のスマート化に対し、IEEEが主導的に関わり、コンサルタント的な立場で市政機関の都市化を支援する「IEEEスマートイニシアチブ」の取り組みも進めています。
西教授はメキシコのグアダラハラでのスマートシティーの事例を取り上げ、IEEEスマートイニシアチブの利点について「この試みに多くの都市が参加することで、各都市でのスマート化に向けた事例を経験値として皆で共有できる」ことを挙げました。ワークショップや白書の取りまとめ都市の予算が制限される中でも、IEEEによる適切な技術利用の指南や、都市化への家庭管理サポート、IEEEボランティアを取り込んだ人的支援などを活用すれば、円滑なスマートシティー化を図ることが期待できます。
【各種技術標準を提示】
スマートシティーにおけるIEEEの技術標準についても最新の状況が提示されました。シームレスな接続性につながるIEEE802シリーズは、活用するデバイスが2007年の1日あたり100万ユニットから、2017年には1日あたり1,000万ユニットに増大するとされています。スマートシティーでは、高効率なワイヤレスLANなど各種標準化技術を使った試みも多くあります。例えば、スタジアムでスマートフォンなどの小型端末を使って見たいポイントを観戦する、建物内で的確に現在位置や行きたい場所を把握する、ウエアラブル端末を活用する、といったものです。
交通でも、IEEE802.11pは5GHzのバンドを利用し、1,000メートルの範囲を時速200キロメートルの移動速度まで対応する車間道や、車々間通信をサポートすることができます。特に北米では、列車や海洋を含むあらゆる地上交通網の移動性と安全性を高めるために5.850-5.925Ghzの帯域を活用しています。
さらに、スマートシティーを構成する要素技術の標準として、電気自動車インフラを含むスマートグリッドに関する技術標準「IEEE2030シリーズ」、電力システムにおける分散リソース管理に関する技術標準「IEEE1547シリーズ」なども紹介されました。西教授は各種技術標準に加え、それらドメインをつなげるドメイン間通信の重要性にも触れました。ヘテロな(異なる)技術のためのデジタルホームネットワーク統合標準「IEEE1905.1-2013」はどのインターフェースでも安全性、信頼性の高い通信を可能にします。西教授は「技術標準を取り入れてもバラバラでつながらない、といったトラブルをなくすことは重要」と唱えています。
【日本の取り組みも紹介】
西教授は日本でのスマートコミュニティに関する最新の取り組みも紹介しました。まず、用語の整理として、電力に限ったICTとの融合をスマートグリッドと呼び、特にあるインフラをICTと融合させスマート化した場合にスマートインフラ、さらにこれらをある地域に集中導入した場合、スマートシティー、スマートタウンといった呼び名になると説明しました。経済産業省などが進めるスマートコミュニティは、場所の特定を避ける場合に用いるとのことです。
日本では、エネルギーだけでなく、健康・医療や農業、災害関連やセキュリティーなど多彩な連携が模索され、多彩な技術標準を持ち、統一プラットフォーム(API)によりそれらを統一的に扱うことができるIEEEが貢献できる余地は大きいとしています。
取り組みの事例として宮城県栗原市のソーシャル・キャピタル(地域参加・つながり)の調査結果が出されました。栗原市では災害発生時の早期情報通信システムの構築や、市民への情報提供としての放送実験などが行われました。その結果、ソーシャル・キャピタルと健康度が低かった地域ほど、改善度が高かったとのことです。
そのほか、武蔵小杉スマートコミュニティでのホームエネルギーマネジメントや、さいたま市美園地区の「UDCMi」などの事例も紹介されました。美園地区では、約320ヘクタールの大規模区画整理事業が進行中で、市の副都心としての拠点形成を目指しています。ここでは、少子高齢化対策、環境負荷低減、地域経済活性化などをテーマに、大企業も参画したスマートコミュニティ作りが企画されています。西教授は「まちのデザイン、メンテナンス、プロモーション、サービス、という4つの観点をうまく進めることが成功につながる」と述べています。
最後に、プライバシーの管理やデータの2次利用といったスマートコミュニティを進める中での課題を提示。そうした課題の解決に加え「市場規模が累計1,000兆円と言われるスマートコミュニティの成功には、地域に対する、生活の質(QoL)向上に向けたフィードバックも大切」と指摘しています。
【IEEEについて】
IEEEは、世界最大の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。160カ国、40万人以上のエンジニアや技術専門会の会員を擁する非営利団体で、論文誌の発行、国際会議の開催、技術標準化などを行うとともに、諸活動を通じて世界中の工学やその他専門技術職のための信用性の高い「声」として役立っています。
IEEEは、電気・電子工学およびコンピューターサイエンス分野における世界の文献の30%を出版、2,000以上の現行標準を策定し、年間1,300を超える国際会議を開催しています。
詳しくは http://www.ieee.org をご覧ください。