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シニアの仕事に関する調査

シニア向け宿泊予約サービスを提供する株式会社ゆこゆこ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:萩原浩二)は、当社運営の宿泊予約サイト「ゆこゆこネット」の50代以上のメールマガジン会員2,509人を対象に、「仕事」に関する調査を実施いたしました。

<調査結果ダイジェスト>
■定年・早期退職した人の【退職後の就労状況】、約4割が何らかの形で働いている
「会社勤めをしている」が24. 9%と最多。「起業して働いている(個人事業主を含む)」が8.0%

■【定年後も働いてよかったと思うこと】、約6割が「社会とのつながり」「健康の維持」の実感
「趣味やレジャーにお金を使える」「定年前と同じ所得を維持」などの金銭面での働きがいは低い

■退職後、起業した人、【現在行っている事業の起業前の経験】は「30年以上」「未経験」それぞれ約3割
「退職後もこれまでのキャリアを生かす人」と、「新たな挑戦をする人」の2極化が見られる

■【仕事による月収】、退職後に起業した人の約4割が「10万円未満」
会社勤めの人に比べ月収の低さがうかがえるが、余暇・レジャー・趣味等への消費に回している金額は同程度

■【現在の仕事の満足度】、退職後に会社勤めの人の約2割は「満足していない」
起業した人では「満足していない」約1割と、満足度に差

■【この先何歳まで働きたいか】、起業した人の約5割が「働けるうちは何歳まででも働きたい」
一方、「働けるうちは何歳まででも働きたい」と回答した会社勤めの人は3割強にとどまり、約2割が「なるべく早くやめたい」と回答。退職後働くシニアの中でも、起業している人の生涯現役願望は特に高い

==有識者の考察==
超高齢社会の持続に不可欠なシニアワーカー。さらなるシェア拡大に向け、仕組みづくりの推進を
(東北大学 特任教授・村田アソシエイツ代表/村田 裕之氏)

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<調査概要>
調査期間:2015年9月8日〜9月17日
調査対象:50代以上のゆこゆこネットメールマガジン会員
調査方法:メールマガジン会員向けインターネット調査
有効回答数:2,509件
-男性:1,952名(50代:545名、60代:993名、70代以上:414名)
-女性:557名(50代:354名、60代:177名、70代以上26名)
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<調査結果>
1.「定年退職」「早期退職」した人
■「定年退職」「早期退職」の実施状況・退職後の就労状況
【定年退職・早期退職の実施状況】について聞いたところ、「定年退職をした」が38.7%、「早期退職をした」が15.2%でした。
【定年退職・早期退職後の就労状況】について聞いたところ、「会社勤めをしている」が24.9%、「起業して働いている(個人事業主を含む)」が8.0%、「NPOやボランティア活動を行っている」が7.4%と、約4割が退職後も何らかの形で働いていることがわかりました。
(図1)(図2)

■定年退職後も働いていてよかったと思うこと
定年退職し、現在も働いている人に【定年退職後も働いていてよかったと思うこと】について聞いたところ、全体でもっとも多かったのは「社会とのつながりを維持できている」と「健康を維持できている」の61.9%でした。一方で「趣味やレジャーなどに使えるお金が増えた」は38.6%、「定年前と同じ所得を維持できている」は3.4%と、金銭面での働きがいは低い結果となりました。
 男女別にみると、「社会とのつながりを維持できている」「世の中の役にたっていると感じられる」では女性が目立ち、また、年代別にみると、「世の中の役にたっていると感じられる」では70代以上が目立ちました。
(図3)

2.退職後、起業した人
■起業前の経験
現在行っている事業に関する【起業する前の経験】について聞いたところ、「30年以上」が26.9%いる一方で「未経験」が36.1%と、これまでのキャリアを生かす人と新たな挑戦をする人の2極化が見られました。
(図4)

3.退職後、会社勤めをしている人・起業した人の比較
■仕事による月収
【現在の1カ月当たりの仕事による収入】について聞いたところ、どちらも約7割が「20万円未満」(「10万円未満」「10万円〜20万円程度」の合計)と回答していますが、「10万円未満」の回答は起業している人の方が多く、会社勤めの人に比べると月収の低さがうかがえました。
(図5)(図6)

■仕事への満足度について
【現在の仕事への満足度】について聞いたところ、「満足している」はどちらも約7割いるものの、会社勤めでは「満足していない」が約2割と、満足度に差が見られました。
(図7)(図8)

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【仕事への満足度 理由】
満足している
>会社勤めをしている人
正規社員と同様の業務内容で、スムーズに仕事ができている(行政事務 契約・嘱託社員/60代男性 )
利用者の皆さんに感謝される(病院の外来送迎バス運転手 パート・アルバイト/60代男性)
>起業した人
自分の趣味を生かせて収入になる(製造業/70代以上男性)
時間に追われることなく、充実のときを過ごせている(経営コンサルタント/60代男性)
満足していない
>会社勤めをしている人
業務内容は定年前と一緒であるにも関わらず、給与は半額以下(倉庫業 契約・嘱託社員/60代男性)
権限、収入とも大幅に低下した(販売職 パート・アルバイト/60代男性)
>起業した人
組織の中の仕事と違い個人活動のため、助力者がいない(輸入販売業/60代男性)
夜逃げや空き部屋対策など、想像以上に大変な思いをしている(不動産業/50代男性)
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■この先何歳まで働きたいか
【この先何歳まで働き続けたいか】について聞いたところ、会社勤めをしている人では「働けるうちは何歳まででも働きたい」は36.0%で、「なるべく早くやめたい」は20.5%でした。一方、起業した人では「働けるうちは何歳まででも働きたい」が51.9%で、「なるべく早くやめたい」は6.5%にとどまりました。定年後働くシニアの中でも、起業している人の生涯現役願望は特に高いといえます。
(図9)(図10)

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【調査結果を受けて】
超高齢社会の持続に不可欠なシニアワーカー。さらなるシェア拡大に向け、仕組みづくりの推進を
東北大学特任教授・村田アソシエイツ代表 / 村田裕之氏

定年・早期退職者の約4割が何らかの形で働いているとの結果が出ている。総務省の労働力調査(2015年9月)によれば、65歳以上の就業率は2004年の19.3%から22%まで増加しているが、4割には満たない。今回の調査結果の数値が高めなのは、調査対象が50代以上になっているためだ。対象を65歳以上に絞り、総務省調査との対比をすれば、より正確な傾向が分かるだろう。
定年後も働いてよかったと思うこととして、約6割が「社会とのつながり」「健康の維持」を挙げている。これは他の調査結果と同様であり、定年後に働く場合の主な意義となっている。
また、70代以上で「世の中の役にたっていると感じられる」が目立つのは、70代前後に「まとめ段階」という心理的発達段階がしばしば見られることと一致している。米国の心理学者コーエンによれば、まとめ段階には世の中に恩返しをしたくなる傾向が見られることがわかっている。
起業した業種でサービス業の次に農業が挙がっていることが目を引く。ただし、一般には高齢になると生業としての農業は体力的に厳しいため、これが本当に収入を得るために農業で起業したのか、単に家庭菜園を始めたのかが不明だ。仮に、退職後に生業としての農業で起業したのであれば、近年増えつつある「農業女子」などと並ぶ新たな傾向と言えよう。
起業した人には、これまでのキャリアを生かす人と新たな挑戦をする人の2極化が見られる。これまでのキャリア・経験は強みにもなる反面、先入観に縛られたり、レッテルを張られたり、足かせになる場合もある。一方、新たな挑戦をする場合も、これまでの業務で培った職業人としてのノウハウが生きることも多々ある。重要なのは、これまでのキャリア・経験が起業のどの段階でどのように生きたのかである。換言すれば、起業成功のカギは、これまでのキャリアの生かし方にあると言える。
現在の仕事への満足度については、会社勤めの人・起業した人のどちらも「満足している」人が約7割いるものの、「満足していない」人の割合では、会社勤めの人が約2割と、起業した人では約1割と差が見られる。会社勤めの人で「満足していない」理由のほとんどが、それまでに比べて収入が大幅に減ったことを挙げている。
一方、起業した人は、仕事による収入が会社勤めの人よりも少なめにも関わらず、「満足していない」人の割合も少ない。起業した人は「自分の裁量で仕事ができること」を起業のメリットとして最も挙げていることからも、他人に雇われない働き方が、多少給料が安くても自分が納得できるスタイルだと言えよう。
また、【この先何歳まで働き続けたいか】という設問に対して、起業している人の生涯現役願望が特に高いという結果が出ている。自分の意思で起業したので、他人にクビを切られることもなく、自分の意思と体力さえあれば働き続けられるという安心感がこうした生涯現役願望を後押ししていると考えられる。
人口のシニアシフトが今後ますます進み、高齢者の絶対数が増えるなかで、退職後も適度に仕事を続ける高齢者の割合を増やすことは、超高齢社会を持続可能にするために必要不可欠だ。本調査結果からも適度に仕事をすることが健康によいと実感している人が多いことが示されている。
今後こうした仕事を続ける高齢者の割合をさらに拡大するには、政策的なインセンティブ制度の導入も有効だ。それは例えば、高齢者でも仕事をして納めた税金分と健康維持の結果、他の高齢者よりも節減できた医療費・介護費の貢献分に応じて、本人の健康保険料と介護保険料を割り引く制度の導入だ。
シニアが仕事を続けて税金を納め、健康でいるほど、本人が得する仕組みこそが、よりシニアの社会参加を促し、医療費・介護費の低減につながり、超高齢社会を活気あふれる社会に変えていくことができるだろう。
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