機械的強度の飛躍的な向上が期待できる炭素添加アルミニウム銅合金材料の作製に成功 〜炭素添加による結晶組織の微細化を確認〜
[16/04/19]
提供元:@Press
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メタル・アンド・テクノロジー株式会社(本社:栃木県那須烏山市、代表取締役:伊藤 修一)は、株式会社白金(本社:栃木県那須烏山市、代表取締役社長:伊地知 基義)との共同開発により、今まで困難とされていたアルミニウム銅合金に炭素粒子を添加し、均質に分散させることに成功しました。この新材料では結晶組織の微細化を確認し、機械的強度の飛躍的な向上が期待できます。現在、両社の共願で「炭素添加アルミニウム銅合金」に関する特許を出願中です。今後、「炭素添加アルミニウム銅合金材料」の市場導入のための研究開発を行います。なお、今回の研究事業は日本政府、中小企業庁が公募した「平成27年度戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択されています。
【「炭素添加アルミニウム銅合金材料」開発の背景】
●結晶組織の微細化による機械的強度の向上の取り組み
一般に、合金の結晶粒が小さくなると、金属材料の強度は結晶粒径の2分の1乗に反比例して上昇することがHall-Petchの法則として知られています。そのため、近年、アルミニウム合金など非鉄金属の分野でも結晶組織の微細化による機械的強度の向上への取り組みが盛んに行われています。
従来、鉄以外の非鉄金属に炭素を添加することは困難でありましたが、株式会社白金は30年以上にわたり蓄積されました金属精錬のノウハウを活用し、「鉛フリーハンダ合金」、「純銅」への炭素添加に成功しました。その結果、結晶組織の構造を微細化させることで機械的強度の向上を実現させ、その成果をもとに特許を取得しました。これらの研究事業は筑波大学との産学連携事業として実施され、さらには日本政府文部科学省の外郭団体「科学技術振興機構」から特許申請費用の補助を受けました。
当社は株式会社白金の非鉄金属に炭素を添加する技術に着目し、共同でこの技術を発展させ「アルミニウム銅合金材料」に炭素粒子を添加し均質に分散させることにより結晶組織を微細化させることに成功し、実用材料としての機械的強度の向上の道を開きました。
【「炭素添加アルミニウム銅合金」の特徴】
●走査電子顕微鏡(SEM)を用いたAl-5wt.%CuおよびAl-5wt.%Cu+0.3wt.%C合金の結晶組織の観察。
炭素無添加Al-5wt.%Cu合金と、炭素を添加したAl-5wt.%Cu+0.3wt.%C合金の結晶組織の相違を調べるために、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて観察しました。図1(a)は炭素無添加Al-5wt.%Cu合金試料からの、図1(b)は炭素を添加したAl-5wt.%Cu+0.3wt.%C合金試料から得られた写真を示します。両者を比較して、(b)では共晶相の薄白色の領域が増加し、組織の微細化が確認できます。
■図1 炭素添加の有無による合金組織の比較写真
炭素を添加することで、薄白色の領域が増加し、組織の微細化が観察されました。
https://www.atpress.ne.jp/releases/98828/img_98828_1.jpg
左から:(a)Al-5wt.%Cu(炭素なし)、(b)Al-5wt.%Cu+0.3wt.%C(炭素あり)
●炭素添加アルミニウム銅合金の結晶構造のメカニズム。
図1(b)で示した炭素添加Al-5wt.%Cu+0.3wt.%C合金試料の各元素分布の様子を調べるためにX線マイクロアナライザー(XMA)を用いました。図2(a)、(b)、(c)はそれぞれ銅(Cu)、アルミニウム(Al)、炭素(C)元素の位置と存在量を示すカラーマッピング像を示します。図2(c)より炭素が組織全体に均一に分散していることが観測できました。このことは炭素が合金の結晶組織の成長を妨げ、結晶組織の微細化を引き起こしていると推測されます。
■図2 炭素添加Al-5wt.%Cu+0.3wt.%C合金のカラーマッピング像
https://www.atpress.ne.jp/releases/98828/img_98828_2.jpg
左から:(a)銅(Cu)、(b)アルミニウム(Al)、(c)炭素(C)
※その他の炭素添加アルミニウム銅合金の電子顕微鏡写真は下記URLを参照ください。
http://metal-techno.jp/alloys/
●炭素添加アルミニウム銅合金の機械的強度。
炭素添加によるアルミニウム銅合金の機械的強度の変化を調べるために、引張強度試験機を用いて、引張応力を測定しました。この結果、炭素添加アルミニウム銅合金の引張強度は炭素なしの場合に比べて向上し、炭素添加量および熱処理温度条件に依存しますが、2倍以上の値が得られましたので、炭素添加アルミニウム銅合金は実用材料として供される可能性を示しました。
【「炭素添加アルミニウム銅合金」の想定される利用範囲】
省エネルギー、省資源、環境調和性等の社会的要請により、金属材料の軽量化、高強度化が急務であるとされています。また、自動車や鉄道車両などの輸送機械分野でも構造材の高硬度化による軽量化の試みが進んでいます。当社が開発した「炭素添加アルミニウム銅合金材料」の高強度、高伸展性の特徴を活かし自動車や鉄道車両、船舶の構造材での軽量化、高強度化に貢献することを目指しています。現在、日本の有力なアルミ関連製造業と協力して製品化に向けた共同研究を行う予定となっております。さらに、今後は海外のアルミ関連企業との連携を模索し研究開発・製品化のプロセスの進捗を加速化させていくことを計画しています。
<当社代表伊藤(左)と筑波大学大嶋名誉教授(当社取締役、右)筑波大学にて>
https://www.atpress.ne.jp/releases/98828/img_98828_3.jpg
◆メタル・アンド・テクノロジー株式会社について
1.商号 : メタル・アンド・テクノロジー株式会社
2.代表者 : 代表取締役 伊藤 修一
取締役:伊地知 基義(株式会社白金 代表)
取締役技術顧問:大嶋 建一(筑波大学 名誉教授)
3.所在地 : 本社 :栃木県那須烏山市中央1丁目5-32
東京営業所:東京都新宿区西新宿7-5-9
ファーストリアルタワー新宿301
4.設立 : 2009年7月
5.URL : http://metal-techno.jp/
◆株式会社白金について
1.商号 :株式会社白金
2.代表者:代表取締役社長 伊地知 基義
3.所在地:栃木県那須烏山市中央1丁目5-32
4.設立 :1985年12月
【「炭素添加アルミニウム銅合金材料」開発の背景】
●結晶組織の微細化による機械的強度の向上の取り組み
一般に、合金の結晶粒が小さくなると、金属材料の強度は結晶粒径の2分の1乗に反比例して上昇することがHall-Petchの法則として知られています。そのため、近年、アルミニウム合金など非鉄金属の分野でも結晶組織の微細化による機械的強度の向上への取り組みが盛んに行われています。
従来、鉄以外の非鉄金属に炭素を添加することは困難でありましたが、株式会社白金は30年以上にわたり蓄積されました金属精錬のノウハウを活用し、「鉛フリーハンダ合金」、「純銅」への炭素添加に成功しました。その結果、結晶組織の構造を微細化させることで機械的強度の向上を実現させ、その成果をもとに特許を取得しました。これらの研究事業は筑波大学との産学連携事業として実施され、さらには日本政府文部科学省の外郭団体「科学技術振興機構」から特許申請費用の補助を受けました。
当社は株式会社白金の非鉄金属に炭素を添加する技術に着目し、共同でこの技術を発展させ「アルミニウム銅合金材料」に炭素粒子を添加し均質に分散させることにより結晶組織を微細化させることに成功し、実用材料としての機械的強度の向上の道を開きました。
【「炭素添加アルミニウム銅合金」の特徴】
●走査電子顕微鏡(SEM)を用いたAl-5wt.%CuおよびAl-5wt.%Cu+0.3wt.%C合金の結晶組織の観察。
炭素無添加Al-5wt.%Cu合金と、炭素を添加したAl-5wt.%Cu+0.3wt.%C合金の結晶組織の相違を調べるために、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて観察しました。図1(a)は炭素無添加Al-5wt.%Cu合金試料からの、図1(b)は炭素を添加したAl-5wt.%Cu+0.3wt.%C合金試料から得られた写真を示します。両者を比較して、(b)では共晶相の薄白色の領域が増加し、組織の微細化が確認できます。
■図1 炭素添加の有無による合金組織の比較写真
炭素を添加することで、薄白色の領域が増加し、組織の微細化が観察されました。
https://www.atpress.ne.jp/releases/98828/img_98828_1.jpg
左から:(a)Al-5wt.%Cu(炭素なし)、(b)Al-5wt.%Cu+0.3wt.%C(炭素あり)
●炭素添加アルミニウム銅合金の結晶構造のメカニズム。
図1(b)で示した炭素添加Al-5wt.%Cu+0.3wt.%C合金試料の各元素分布の様子を調べるためにX線マイクロアナライザー(XMA)を用いました。図2(a)、(b)、(c)はそれぞれ銅(Cu)、アルミニウム(Al)、炭素(C)元素の位置と存在量を示すカラーマッピング像を示します。図2(c)より炭素が組織全体に均一に分散していることが観測できました。このことは炭素が合金の結晶組織の成長を妨げ、結晶組織の微細化を引き起こしていると推測されます。
■図2 炭素添加Al-5wt.%Cu+0.3wt.%C合金のカラーマッピング像
https://www.atpress.ne.jp/releases/98828/img_98828_2.jpg
左から:(a)銅(Cu)、(b)アルミニウム(Al)、(c)炭素(C)
※その他の炭素添加アルミニウム銅合金の電子顕微鏡写真は下記URLを参照ください。
http://metal-techno.jp/alloys/
●炭素添加アルミニウム銅合金の機械的強度。
炭素添加によるアルミニウム銅合金の機械的強度の変化を調べるために、引張強度試験機を用いて、引張応力を測定しました。この結果、炭素添加アルミニウム銅合金の引張強度は炭素なしの場合に比べて向上し、炭素添加量および熱処理温度条件に依存しますが、2倍以上の値が得られましたので、炭素添加アルミニウム銅合金は実用材料として供される可能性を示しました。
【「炭素添加アルミニウム銅合金」の想定される利用範囲】
省エネルギー、省資源、環境調和性等の社会的要請により、金属材料の軽量化、高強度化が急務であるとされています。また、自動車や鉄道車両などの輸送機械分野でも構造材の高硬度化による軽量化の試みが進んでいます。当社が開発した「炭素添加アルミニウム銅合金材料」の高強度、高伸展性の特徴を活かし自動車や鉄道車両、船舶の構造材での軽量化、高強度化に貢献することを目指しています。現在、日本の有力なアルミ関連製造業と協力して製品化に向けた共同研究を行う予定となっております。さらに、今後は海外のアルミ関連企業との連携を模索し研究開発・製品化のプロセスの進捗を加速化させていくことを計画しています。
<当社代表伊藤(左)と筑波大学大嶋名誉教授(当社取締役、右)筑波大学にて>
https://www.atpress.ne.jp/releases/98828/img_98828_3.jpg
◆メタル・アンド・テクノロジー株式会社について
1.商号 : メタル・アンド・テクノロジー株式会社
2.代表者 : 代表取締役 伊藤 修一
取締役:伊地知 基義(株式会社白金 代表)
取締役技術顧問:大嶋 建一(筑波大学 名誉教授)
3.所在地 : 本社 :栃木県那須烏山市中央1丁目5-32
東京営業所:東京都新宿区西新宿7-5-9
ファーストリアルタワー新宿301
4.設立 : 2009年7月
5.URL : http://metal-techno.jp/
◆株式会社白金について
1.商号 :株式会社白金
2.代表者:代表取締役社長 伊地知 基義
3.所在地:栃木県那須烏山市中央1丁目5-32
4.設立 :1985年12月