日経平均は大幅続伸、経済不安あれど日米緩和強化は強烈
[20/03/24]
提供元:株式会社フィスコ
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ランチタイムコメント
日経平均は大幅続伸。1138.95円高の18026.73円(出来高概算10億8000万株)で前場の取引を終えている。
23日の米株式市場でNYダウは大幅続落し、582ドル安となった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策を巡り政府・与党と野党の協議が難航し、失望感から売りが出た。ただ、連邦準備理事会(FRB)が国債などの購入を無制限に実施すると発表し、フィラデルフィア半導体指数(SOX)などは大きく上昇。本日の東京市場では前日ストップ高を付けたソフトバンクG<9984>や半導体関連等の値がさ株に買いが先行し、日経平均は319円高からスタートすると上げ幅を大きく広げる展開となった。アジア株も総じて堅調で、日経平均は前場中ごろを過ぎると18081.24円(1193.46円高)まで上昇する場面があった。
個別では、前述のソフトバンクGが売買代金トップで大幅続伸。市場では前日の取引時間中に発表した資産売却プログラムを評価する声が多い。半導体関連の東エレク<
8035>のほか、ファーストリテ<9983>やファナック<6954>といった日経平均への寄与が大きい値がさ株は揃って10%を超える上昇となった。その他売買代金上位もトヨタ自<
7203>、ソニー<6758>、任天堂<7974>など全般堅調。また、ラクーンHD<3031>などはストップ高水準で前場を折り返した。一方、NTTドコモ<9437>が2%超下落したほか、日本電産<6594>、キーエンス<6861>、NTT<9432>、ソフトバンク<9434>も軟調。また、東邦瓦斯<9533>などが東証1部下落率上位に顔を出した。
セクターでは、鉱業、不動産業、証券などが上昇率上位で、その他も全般堅調。パルプ・紙、陸運業、電気・ガス業の3業種のみ下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の77%、対して値下がり銘柄は21%となっている。
本日の日経平均は大幅続伸してスタートすると上げ幅を大きく広げ、1100円を超える上昇で前場を折り返した。取引時間中としては6営業日ぶりに18000円台を回復している。新型コロナによる市場混乱を受け、日米の金融当局が講じた緩和策の効果は非常に大きい。日銀は19日以降、1日の上場投資信託(ETF)買い入れ額を2004億円に増やした。東証株価指数(TOPIX)の前引け騰落率に基づく従来の買い入れ実施基準も変更した公算が大きい。ここまで19日、23日と連続して2004億円の買い入れが実施されているが、1週間通してとなれば1兆円規模と、海外投資家の売りを十分吸収しうるものとなる。
外資系証券のレポートでは従前まで日銀保有のETFの簿価割れ、さらに進んで日銀の債務超過に関する議論が活発だった。筆者は短期的に通貨危機等に発展する可能性は乏しいとみているが、異例の事態だけに市場の反応は読みづらい。邪推と言われようが、金融当局にとって日経平均17000円水準が事実上の防衛ラインとなっている可能性はある。株価指数先物を大きく売り越していた海外勢もひとまず買い戻しに動かざるを得ない。
また、米国でもFRBが資産買い入れプログラムを実質無制限とした。こうした金融緩和強化は目先の信用不安を和らげるだけでなく、ハイテク関連を中心としたグロース
(成長)株の戻りを大きく後押ししているようだ。特に先週はファンドの資金流出に伴う持ち高解消でTOPIX型のバリュー(割安)株買い戻し、日経平均型のグロース株売りが強烈だったため、その反動も大きくなっている。
とはいえ、市場では世界的な経済成長見通しの下方修正が相次いでおり、日本は欧州などとともに2020年通年で2%超のマイナスになるとの見方が増えてきた。東京都の小池百合子知事が首都封鎖の可能性を示唆するなど、新型コロナとの戦いもまだ途上。経済や企業業績の先行きには懸念が残ることを念頭に置いておきたい。
(小林大純)
<AK>
23日の米株式市場でNYダウは大幅続落し、582ドル安となった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策を巡り政府・与党と野党の協議が難航し、失望感から売りが出た。ただ、連邦準備理事会(FRB)が国債などの購入を無制限に実施すると発表し、フィラデルフィア半導体指数(SOX)などは大きく上昇。本日の東京市場では前日ストップ高を付けたソフトバンクG<9984>や半導体関連等の値がさ株に買いが先行し、日経平均は319円高からスタートすると上げ幅を大きく広げる展開となった。アジア株も総じて堅調で、日経平均は前場中ごろを過ぎると18081.24円(1193.46円高)まで上昇する場面があった。
個別では、前述のソフトバンクGが売買代金トップで大幅続伸。市場では前日の取引時間中に発表した資産売却プログラムを評価する声が多い。半導体関連の東エレク<
8035>のほか、ファーストリテ<9983>やファナック<6954>といった日経平均への寄与が大きい値がさ株は揃って10%を超える上昇となった。その他売買代金上位もトヨタ自<
7203>、ソニー<6758>、任天堂<7974>など全般堅調。また、ラクーンHD<3031>などはストップ高水準で前場を折り返した。一方、NTTドコモ<9437>が2%超下落したほか、日本電産<6594>、キーエンス<6861>、NTT<9432>、ソフトバンク<9434>も軟調。また、東邦瓦斯<9533>などが東証1部下落率上位に顔を出した。
セクターでは、鉱業、不動産業、証券などが上昇率上位で、その他も全般堅調。パルプ・紙、陸運業、電気・ガス業の3業種のみ下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の77%、対して値下がり銘柄は21%となっている。
本日の日経平均は大幅続伸してスタートすると上げ幅を大きく広げ、1100円を超える上昇で前場を折り返した。取引時間中としては6営業日ぶりに18000円台を回復している。新型コロナによる市場混乱を受け、日米の金融当局が講じた緩和策の効果は非常に大きい。日銀は19日以降、1日の上場投資信託(ETF)買い入れ額を2004億円に増やした。東証株価指数(TOPIX)の前引け騰落率に基づく従来の買い入れ実施基準も変更した公算が大きい。ここまで19日、23日と連続して2004億円の買い入れが実施されているが、1週間通してとなれば1兆円規模と、海外投資家の売りを十分吸収しうるものとなる。
外資系証券のレポートでは従前まで日銀保有のETFの簿価割れ、さらに進んで日銀の債務超過に関する議論が活発だった。筆者は短期的に通貨危機等に発展する可能性は乏しいとみているが、異例の事態だけに市場の反応は読みづらい。邪推と言われようが、金融当局にとって日経平均17000円水準が事実上の防衛ラインとなっている可能性はある。株価指数先物を大きく売り越していた海外勢もひとまず買い戻しに動かざるを得ない。
また、米国でもFRBが資産買い入れプログラムを実質無制限とした。こうした金融緩和強化は目先の信用不安を和らげるだけでなく、ハイテク関連を中心としたグロース
(成長)株の戻りを大きく後押ししているようだ。特に先週はファンドの資金流出に伴う持ち高解消でTOPIX型のバリュー(割安)株買い戻し、日経平均型のグロース株売りが強烈だったため、その反動も大きくなっている。
とはいえ、市場では世界的な経済成長見通しの下方修正が相次いでおり、日本は欧州などとともに2020年通年で2%超のマイナスになるとの見方が増えてきた。東京都の小池百合子知事が首都封鎖の可能性を示唆するなど、新型コロナとの戦いもまだ途上。経済や企業業績の先行きには懸念が残ることを念頭に置いておきたい。
(小林大純)
<AK>