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日経平均は3日ぶり反発、「市場ムードはむしろ改善?」の理由

ランチタイムコメント
 日経平均は3日ぶり反発。50.68円高の23101.76円(出来高概算4億5000万株)で前場の取引を終えている。

 18日の米株式市場でNYダウは続落し、66ドル安となった。与野党が追加経済対策で速やかに合意する兆候が見られず、第3四半期(7-9月)の消費鈍化懸念が広がった。
ただ、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は続伸し、連日で過去最高値を更新。機関投資家が運用指標として用いることが多いS&P500指数も半年ぶりに過去最高値を更新した。NYダウの下落とともに、円相場が一時1ドル=105.10円近辺まで上昇したことが重しとなり、本日の日経平均は53円安と小安くスタート。しかし、米国株がまちまちだったこともあって節目の23000円を大きく割り込む流れとはならず、朝方の売りが一巡するとプラス圏に浮上した。

 個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が4日ぶりに反発し、2%近い上昇。任天堂<7974>とZHD<4689>は6日続伸。ゲームやインターネットサービスの需要増加への期待が続いているようだ。NEC<6701>は4%近く上昇しているが、米中ハイテク戦争を巡る思惑などがあるもよう。中小型株ではオンライン会議システムのブイキューブ<3681>が賑わい、ソフトブレーン<4779>などとともに東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、米ファンドによる株式売却が伝わったソニー<6758>は2%超の下落。半導体関連などでは米中対立への懸念がくすぶり、東エレク<8035>やレーザーテック<6920>も軟調なほか、アドバンテス<6857>は4%近い下落となっている。時価総額上位ではトヨタ自<7203>や三菱UFJ<8306>が小安い。

 セクターでは、不動産業、その他金融業、保険業などが上昇率上位。半面、パルプ・紙、機械、金属製品などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の42%、対して値下がり銘柄は51%となっている。

 本日の東京株式市場の動向も前日までと大差ない。ここまでの東証1部売買代金は8000億円あまりで、前日よりやや増えたとはいえ低調。景気敏感株を中心に小口の売りが出ており、半導体関連や電子部品関連は米中対立への懸念から軟調ぶりが目立つ。
一方で、堅調なのはコロナ禍中でも需要増加が見込めるゲームやネットサービスの関連銘柄だ。このあたりの物色動向は米株式市場の流れを引き継いでいるとみられる。

 新興市場ではマザーズ指数が大幅に5日続伸し、2018年6月以来、およそ2年2カ月ぶりに1100pt台を回復している。個人投資家の物色は成長期待の高い新興株に集中しており、直近上場のモダリス<4883>が大幅続伸するなど、需給状況は極めて良好な印象。資金の回転が利き、循環物色が続いているのだろう。直近の決算で躍進ぶりが目立ったBASE<4477>やAIinside<4488>も改めて大きく買われている。

 アジア株式市場では中国・上海総合指数がさえないが、懸念材料となっている為替相場の円高進行には足元歯止めがかかり、1ドル=105円台半ばで推移している。後場の日経平均もしっかりか。

 さて、国内外の株式市場では、新型コロナウイルスの感染再拡大のみならず、米中対立の激化、米大統領選で民主党候補となるバイデン前副大統領が掲げる増税策など、警戒材料が数多く挙げられている。日本株にとっては米長期金利の上昇一服に伴う円高進行も重しだろう。しかし、前の週に節目の23000円台を回復した日経平均は調整らしい調整を見せていない。前日の当欄で述べたとおり、中長期志向の海外投資家から従前ほど売りが出ていないことが背景にあるのかもしれない。実際、今週に入ってからの先物手口を見ると、外資系証券による売り越しはドイツ証券やクレディ・スイス証券といった一部にとどまっている。

 その理由として、第1に経済や企業業績の底打ち観測が強まり、従前より「二番底」懸念が後退していることが挙げられるだろう。周知のとおり、11日に発表された日本の4-6月期実質国内総生産(GDP)は戦後最大の落ち込みとなったが、市場では緊急事態宣言が解除された6月以降は持ち直しているとの受け止め方が大勢のようだ。また、同期間の企業業績についても、決算発表シーズン中盤までネガティブサプライズの方が多く、比較的ポジティブサプライズが多かった米企業との格差が鮮明だった。しかし、シーズン終盤にはこうした傾向が大きく改善。利益予想の下方修正に歯止めがかかりつつあるとみられている。これらを踏まえ、一部外資系証券では日経平均の二番底シナリオを修正しているようだ。

 第2に、海外投資家はさほど弱気に傾いているわけでないことが挙げられる。米バンク・オブ・アメリカが実施したファンドマネージャー調査によれば、2月以降で最も強気と回答する投資家が多いもよう。一方で、現金比率はなおニュートラル(中立)水準にとどまっているようだ。今後買い持ちに傾く余地が大きいとも考えられる。

 巷間で取りざたされる警戒材料に目を奪われがちだが、株式市場のムードはじわり改善していると受け止めた方がいいのかもしれない。日経平均が思いのほか底堅いこともうなずけるだろう。
(小林大純)


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