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日経平均は反落、移動量増加とともにコロナ拡大の循環続くか

ランチタイムコメント
 日経平均は反落。139.97円安の23220.33円(出来高概算7億7000万株)で前場の取引を終えている。

 日本の4連休中、米株式市場ではNYダウが18日から22日までの3営業日で計613ドルの下落となった。欧州で新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて規制再強化への警戒感が強まったほか、米中関係の悪化や米議会における与野党対立への懸念も増した。
この間、為替市場でも一時1ドル=104円台まで円高が進行し、連休明けの日経平均はこうした流れを嫌気して114円安からスタート。その後も軟調もみ合いが続き、前場中ごろには23154.45円(205.85円安)まで下落する場面があった。景気敏感株を中心に売りが出る一方、22日の米国株がハイテク関連を中心に反発したことを受け、値がさグロース(成長)株の一角には買いが入った。


 個別では、ソフトバンクG<9984>が3%近い下落となり、ソニー<6758>もさえない。
ホンダ<7267>が3%超下落するなど、シクリカルバリュー株(景気敏感系の割安株)の一角は軟調ぶりが目立つ。また、稀元素<4082>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、ソフトバンク<9434>が売買代金トップで小幅に上昇。売出株の受渡日で換金売りが出る一方、中間配当の権利確定や日経平均への採用を前に買いも入っているようだ。エムスリー<2413>が2%超上昇しているほか、任天堂<7974>や東エレク<8035>といった値がさグロース株がしっかり。自動車株でもトヨタ自<7203>は小高い。島忠<8184>はDCM<3050>による株式公開買付け(TOB)実施観測を受けて買い気配が続き、DCMも業績上方修正を発表して大幅高となっている。

 セクターでは、鉱業、鉄鋼、不動産業などが下落率上位。半面、海運業、小売業、陸運業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の68%、対して値上がり銘柄は29%となっている。

 日本の連休中、海外株式市場では新型コロナが再拡大している欧州を中心に株価下落し、本日の東京市場でも売りが先行する展開となった。欧州での新型コロナ再拡大は夏場のバカンスなどが背景にあるとみられており、かねて当欄で指摘しているとおり、移動量の増加と感染抑制を両立することの難しさが改めてわかる。また、米国では最高裁人事を巡り与野党対立が激化し、追加経済対策を巡る協議に悪影響を及ぼすことが懸念されている。大手銀行が資金洗浄(マネーロンダリング)に関与した疑惑が浮上したほか、電気自動車(EV)の米ニコラの創業者が誇大宣伝疑惑などから突如退任するなど、企業不祥事が相次いだこともネガティブな材料だ。

 一方、日本では4連休中、観光地を中心にかなり人出が増えたといい、景気回復に期待する向きもある。とはいえ、今般の欧州における状況のみならず、7月の4連休後の状況を振り返っても、新型コロナ再拡大の懸念がくすぶると言わざるを得ない。「ウィズコロナ」に絡んだ値がさグロース株物色が息を吹き返しつつあるのは、国内外で新型コロナとの戦いが続くことを投資家が意識しているのにほかならない。

 なお、米国ではファンドが決算期末に向けて利益の出ているハイテク株を売っているとの見方があり、ファンドの決算通過後はハイテク株も本格的に復調するとの見方が多い。国内に目を向けると、マザーズ指数が本日、2018年4月以来およそ2年半ぶりに1200pt台を回復した。先週末の当欄でも述べたが、米ハイテク株と異なって個人投資家が取引主体であることが強さの一因であると考えられる。マザーズ指数は日経平均や米ハイテク株に追随するばかりでなく、個人投資家が社会変化に敏感なためか時おり先行性を発揮することも付記しておきたい。

 日経平均はと言えば、シクリカルバリュー株の売りと値がさグロース株の買いが交錯し、必ずしも大幅な調整を強いられるわけでないだろう。主要中央銀行が大規模な金融緩和を続けていることも相場の支えとなり、本日も東証株価指数(TOPIX)が0.54%の下落で前場を折り返しており、日銀による上場投資信託(ETF)買い実施が見込まれる。物色の矛先を変えながら、日経平均は23000円近辺でのもみ合いが続くとみておきたい。
(小林大純)


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