日経平均は反落、市場エネルギー低下進み1部銘柄で幕間つなぎの物色
[20/10/20]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
ランチタイムコメント
日経平均は反落。74.64円安の23596.49円(出来高概算4億4000万株)で前場の取引を終えている。
週明け19日の米株式市場でNYダウは反落し、410ドル安となった。週末に民主党のペロシ下院議長が追加経済対策について大統領選前の合意に楽観的な見通しを示したため、期待感から上昇して寄り付いた。しかし、新型コロナ感染者数の増加や連邦準備理事会(FRB)高官の景気や雇用に対する悲観的な見方が嫌気され、経済対策での合意は遠いとの観測も伝わって売りが広がった。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで83円安からスタート。寄り付き後は時間外取引でのNYダウの上昇とともにプラス圏へ浮上する場面もあったが、引き続き米政治情勢や企業決算を見極めたいとのムードが強く、下値が堅い一方で戻りも鈍かった。
個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>や任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、NTT<9432>がさえない。ソフトバンクGは新設する上場株投資部門で200億ドル超の投資を目指すなどと報じられたが、米ハイテク株安を受けた売りが優勢となっている。JR東<9020>が4%の下落となるなど、新型コロナの影響を受けやすい陸運株や百貨店株の軟調ぶりが目立つ。また、Gunosy<6047>は一部証券会社の投資判断引き下げを受け下落率トップとなり、三越伊勢丹<3099>やJフロント<3086>、高島屋<8233>も上位に顔を出している。一方、ソニー<6758>や東エレク<8035>が堅調で、良品計画<7453>は商いを伴って7%超の上昇。中小型株ではオンライン会議システムのブイキューブ<3681>が賑わい、サイバリンクス<3683>が東証1部上昇率トップとなっている。
セクターでは、陸運業、鉱業、石油・石炭製品などが下落率上位で、その他も全般軟調。半面、小売業、電気機器、繊維製品の3業種が上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の60%、対して値上がり銘柄は35%となっている。
前日の米国株は追加経済対策を巡るニュースフローに一喜一憂し、NYダウも大きく振らされる展開となった。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)が29.18(+1.77)と、再び30手前まで上昇してきている点はやや気掛かり。ただ、日経平均はと言えば従前からの当欄の見立てどおり、23000円台後半での高値もみ合いが続いている。与野党両陣営の候補が激しいデッドヒートを繰り広げる大統領選を前に、追加経済対策での合意が難しいのはある程度想定されたところだろう。野党・民主党が大統領選、議会選のいずれも制する「トリプルブルー」で将来的に大規模な財政出動が実現するとの期待も今のところ変わっていない。
また、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れが14日、16日と相次ぎ実施されていることも相場の下支え要因としては大きいだろう。1回当たりの金額は701億円と9月までの801億円から減額されているが、現物株・先物とも薄商いとなっているだけに下支え効果は大きいと考えられる。それに16日は東証株価指数(TOPIX)が0.28%の下落で前場を折り返したにもかかわらず、ETF買い入れが実施された。既に一部で報じられていたが、通常0.5%という実施ラインが続落なら引き下げられるのかもしれない。調整局面での実施頻度が高まるとの期待も持てる。
とはいえ、株式市場全体としてエネルギー不足という印象は足元さらに強まってきた。前日は日経平均が260円高と比較的大きく上昇したにもかかわらず、東証1部売買代金は1兆6853億円と8月26日以来の低水準。先物手口を見ても買い越しが目立ったのは日経平均先物でJPモルガン証券、TOPIX先物でクレディ・スイス証券くらいのものだった。薄商いのなか値が動きやすくなっているだろうが、高値警戒感も根強くあることから、日経平均が24000円台を目指すには盛り上がりに欠けると言わざるを得ない。
日経平均は当面、高値もち合いが続くとの見方を維持したい。
本日もここまでの東証1部売買代金は8000億円弱と非常に低調。TOPIXは0.39%の下落で前場を折り返しているが、前日上昇したことを考慮すると日銀のETF買い実施は期待しにくいか。後場の日経平均はやや弱含む場面が出てきそうだが、もち合い下放れにつながるものではないだろう。
一方、良品計画の急騰、陸運株や百貨店株の大幅安など個別株の値動きはやや大きい。前週に2018年高値を上回ったマザーズ指数が目先上げ一服となり、マザーズ売買代金も前日には2142億円まで減少していることを考慮すれば、短期の値幅取り狙いを狙った個人投資家の物色がマザーズから東証1部へシフトしている可能性が考えられる。ブイキューブの賑わいなどを見ると、「ウィズコロナ」を意識した物色のようにも感じられる。ただ前述のとおり、薄商いで東証1部銘柄の値が動きやすくなっているのが大きな要因だろう。全般に株価の上昇や下落の流れに乗る動きが見受けられる。7-9月期の決算発表が本格化するまで、こうした幕間つなぎ的な物色が中心となりそうだ。
(小林大純)
<AK>
週明け19日の米株式市場でNYダウは反落し、410ドル安となった。週末に民主党のペロシ下院議長が追加経済対策について大統領選前の合意に楽観的な見通しを示したため、期待感から上昇して寄り付いた。しかし、新型コロナ感染者数の増加や連邦準備理事会(FRB)高官の景気や雇用に対する悲観的な見方が嫌気され、経済対策での合意は遠いとの観測も伝わって売りが広がった。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで83円安からスタート。寄り付き後は時間外取引でのNYダウの上昇とともにプラス圏へ浮上する場面もあったが、引き続き米政治情勢や企業決算を見極めたいとのムードが強く、下値が堅い一方で戻りも鈍かった。
個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>や任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、NTT<9432>がさえない。ソフトバンクGは新設する上場株投資部門で200億ドル超の投資を目指すなどと報じられたが、米ハイテク株安を受けた売りが優勢となっている。JR東<9020>が4%の下落となるなど、新型コロナの影響を受けやすい陸運株や百貨店株の軟調ぶりが目立つ。また、Gunosy<6047>は一部証券会社の投資判断引き下げを受け下落率トップとなり、三越伊勢丹<3099>やJフロント<3086>、高島屋<8233>も上位に顔を出している。一方、ソニー<6758>や東エレク<8035>が堅調で、良品計画<7453>は商いを伴って7%超の上昇。中小型株ではオンライン会議システムのブイキューブ<3681>が賑わい、サイバリンクス<3683>が東証1部上昇率トップとなっている。
セクターでは、陸運業、鉱業、石油・石炭製品などが下落率上位で、その他も全般軟調。半面、小売業、電気機器、繊維製品の3業種が上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の60%、対して値上がり銘柄は35%となっている。
前日の米国株は追加経済対策を巡るニュースフローに一喜一憂し、NYダウも大きく振らされる展開となった。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)が29.18(+1.77)と、再び30手前まで上昇してきている点はやや気掛かり。ただ、日経平均はと言えば従前からの当欄の見立てどおり、23000円台後半での高値もみ合いが続いている。与野党両陣営の候補が激しいデッドヒートを繰り広げる大統領選を前に、追加経済対策での合意が難しいのはある程度想定されたところだろう。野党・民主党が大統領選、議会選のいずれも制する「トリプルブルー」で将来的に大規模な財政出動が実現するとの期待も今のところ変わっていない。
また、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れが14日、16日と相次ぎ実施されていることも相場の下支え要因としては大きいだろう。1回当たりの金額は701億円と9月までの801億円から減額されているが、現物株・先物とも薄商いとなっているだけに下支え効果は大きいと考えられる。それに16日は東証株価指数(TOPIX)が0.28%の下落で前場を折り返したにもかかわらず、ETF買い入れが実施された。既に一部で報じられていたが、通常0.5%という実施ラインが続落なら引き下げられるのかもしれない。調整局面での実施頻度が高まるとの期待も持てる。
とはいえ、株式市場全体としてエネルギー不足という印象は足元さらに強まってきた。前日は日経平均が260円高と比較的大きく上昇したにもかかわらず、東証1部売買代金は1兆6853億円と8月26日以来の低水準。先物手口を見ても買い越しが目立ったのは日経平均先物でJPモルガン証券、TOPIX先物でクレディ・スイス証券くらいのものだった。薄商いのなか値が動きやすくなっているだろうが、高値警戒感も根強くあることから、日経平均が24000円台を目指すには盛り上がりに欠けると言わざるを得ない。
日経平均は当面、高値もち合いが続くとの見方を維持したい。
本日もここまでの東証1部売買代金は8000億円弱と非常に低調。TOPIXは0.39%の下落で前場を折り返しているが、前日上昇したことを考慮すると日銀のETF買い実施は期待しにくいか。後場の日経平均はやや弱含む場面が出てきそうだが、もち合い下放れにつながるものではないだろう。
一方、良品計画の急騰、陸運株や百貨店株の大幅安など個別株の値動きはやや大きい。前週に2018年高値を上回ったマザーズ指数が目先上げ一服となり、マザーズ売買代金も前日には2142億円まで減少していることを考慮すれば、短期の値幅取り狙いを狙った個人投資家の物色がマザーズから東証1部へシフトしている可能性が考えられる。ブイキューブの賑わいなどを見ると、「ウィズコロナ」を意識した物色のようにも感じられる。ただ前述のとおり、薄商いで東証1部銘柄の値が動きやすくなっているのが大きな要因だろう。全般に株価の上昇や下落の流れに乗る動きが見受けられる。7-9月期の決算発表が本格化するまで、こうした幕間つなぎ的な物色が中心となりそうだ。
(小林大純)
<AK>