日経平均は5日続落、「買い」も「売り」も手仕舞い
[20/10/30]
提供元:株式会社フィスコ
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ランチタイムコメント
日経平均は5日続落。185.57円安の23146.37円(出来高概算5億2000万株)で前場の取引を終えている。
29日の米株式市場でNYダウは5日ぶりに反発し、139ドル高となった。原油価格の下落を警戒して寄り付き後に一時下落。しかし、7-9月期の国内総生産(GDP、速報値)
が予想以上の回復を示したほか、週間の新規失業保険申請件数も減少し、経済回復への期待が広がった。また、引け後に予定されていた主要ハイテク企業の決算に対する期待も高く、ナスダック総合指数は1.6%の上昇となった。ただ、決算発表したアップルが時間外取引で売られ、米株価指数先物も下落。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで11円安からスタートすると、米大統領選を前にした持ち高調整の売りも出て、前場中ごろには23118.00円(213.94円安)まで下落する場面があった。
個別では、武田薬<4502>やOLC<4661>が決算を受けて大きく値を下げたほか、日本電産<6594>のように株価上昇が続いてきた銘柄も利益確定の売りがかさんでいる。
その他売買代金上位ではソニー<6758>や任天堂<7974>が軟調で、ソフトバンクG<9984>は小幅に下落。決算発表銘柄ではアンリツ<6754>や京セラ<6971>も下げが目立つ。また、eBASE<3835>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、アドバンテス<6857>やファナック<6954>、パナソニック<6752>は決算が好感されて大きく上昇。
島忠<8184>はニトリHD<9843>が対抗TOB(株式公開買付け)を発表したことで、TOB価格前後まで急伸。また、米子会社がナスダックに新規上場したサンケン電<6707>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、全33業種がマイナスとなり、医薬品、証券、その他製品、その他金融業、パルプ・紙などが下落率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の82%、対して値上がり銘柄は16%となっている。
本日の日経平均は小安くスタートしたが、その後下げ幅を200円超に広げる場面があった。注目された米アップルの決算はスマートフォン「iPhone」の売上高が市場予想を下回り、時間外取引で同社株が下落するとともに米株価指数先物も軟調に推移している。これに加え、これまで株価堅調だった日本電産などの下げが目立つところを見ると、11月3日の米大統領選を前にし、利益の出ている中心に持ち高を減らす動きが出ているのだろう。積極的な買いが入っているのは前日発表の決算が好感された銘柄に限られている。
とはいえ、日経平均は前日安値(23170.76円)こそやや下回ったものの、引き続き2
3100円台に位置する75日移動平均線を割り込むことなく推移している。前日の日経平均は欧米の主要株価指数が軒並み大幅下落したことを受けて安寄りしたものの、その後下げ幅を縮める展開だった。この日の先物手口を見ると、欧米株安に伴いメリルリンチ日本証券やゴールドマン・サックス証券が東証株価指数(TOPIX)先物売りを売り越す一方、クレディ・スイス証券やJPモルガン証券、ドイツ証券は買い越しとなっていた。
東京証券取引所が発表している9月第1週から10月第3週(8月31日〜10月23日)までの投資部門別売買状況を見ると、外国人投資家は日経平均先物を2000億円あまり、またTOPIX先物を8000億円あまり売り越している。現物株に買い持ち高の手仕舞い売りが出るのと同様、先物には売り持ち高を減らすための買い戻しが入っているものと考えられる。前日の当欄で述べたとおり、新型コロナウイルス再拡大に揺れる欧米投資家は大統領選の行方などに警戒しつつも、過度な悲観に陥ったわけでない。「売りにも買いにも持ち高を傾けない」スタンスをとっていると理解しておくべきだろう。
もちろん、日銀による上場投資信託(ETF)買いも相場の下支え役として働いている。日銀は28日、29日と連日で通常のETF買い入れを実施。本日もTOPIXが5日続落で前場を折り返しているため、ETF買いが実施される公算は大きい。1日当たりの買い入れ額は701億円というペースが続いているが、東証1部売買代金は決算発表が本格化したにもかかわらずさほど膨らんでいないため、一定の下支え効果が期待できるだろう。
このように買い持ち高を減らす売りを先物の買い戻しと日銀ETF買いで吸収しつつ、11月3日の米大統領選を迎えることになりそうだ。
(小林大純)
<AK>
29日の米株式市場でNYダウは5日ぶりに反発し、139ドル高となった。原油価格の下落を警戒して寄り付き後に一時下落。しかし、7-9月期の国内総生産(GDP、速報値)
が予想以上の回復を示したほか、週間の新規失業保険申請件数も減少し、経済回復への期待が広がった。また、引け後に予定されていた主要ハイテク企業の決算に対する期待も高く、ナスダック総合指数は1.6%の上昇となった。ただ、決算発表したアップルが時間外取引で売られ、米株価指数先物も下落。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで11円安からスタートすると、米大統領選を前にした持ち高調整の売りも出て、前場中ごろには23118.00円(213.94円安)まで下落する場面があった。
個別では、武田薬<4502>やOLC<4661>が決算を受けて大きく値を下げたほか、日本電産<6594>のように株価上昇が続いてきた銘柄も利益確定の売りがかさんでいる。
その他売買代金上位ではソニー<6758>や任天堂<7974>が軟調で、ソフトバンクG<9984>は小幅に下落。決算発表銘柄ではアンリツ<6754>や京セラ<6971>も下げが目立つ。また、eBASE<3835>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、アドバンテス<6857>やファナック<6954>、パナソニック<6752>は決算が好感されて大きく上昇。
島忠<8184>はニトリHD<9843>が対抗TOB(株式公開買付け)を発表したことで、TOB価格前後まで急伸。また、米子会社がナスダックに新規上場したサンケン電<6707>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、全33業種がマイナスとなり、医薬品、証券、その他製品、その他金融業、パルプ・紙などが下落率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の82%、対して値上がり銘柄は16%となっている。
本日の日経平均は小安くスタートしたが、その後下げ幅を200円超に広げる場面があった。注目された米アップルの決算はスマートフォン「iPhone」の売上高が市場予想を下回り、時間外取引で同社株が下落するとともに米株価指数先物も軟調に推移している。これに加え、これまで株価堅調だった日本電産などの下げが目立つところを見ると、11月3日の米大統領選を前にし、利益の出ている中心に持ち高を減らす動きが出ているのだろう。積極的な買いが入っているのは前日発表の決算が好感された銘柄に限られている。
とはいえ、日経平均は前日安値(23170.76円)こそやや下回ったものの、引き続き2
3100円台に位置する75日移動平均線を割り込むことなく推移している。前日の日経平均は欧米の主要株価指数が軒並み大幅下落したことを受けて安寄りしたものの、その後下げ幅を縮める展開だった。この日の先物手口を見ると、欧米株安に伴いメリルリンチ日本証券やゴールドマン・サックス証券が東証株価指数(TOPIX)先物売りを売り越す一方、クレディ・スイス証券やJPモルガン証券、ドイツ証券は買い越しとなっていた。
東京証券取引所が発表している9月第1週から10月第3週(8月31日〜10月23日)までの投資部門別売買状況を見ると、外国人投資家は日経平均先物を2000億円あまり、またTOPIX先物を8000億円あまり売り越している。現物株に買い持ち高の手仕舞い売りが出るのと同様、先物には売り持ち高を減らすための買い戻しが入っているものと考えられる。前日の当欄で述べたとおり、新型コロナウイルス再拡大に揺れる欧米投資家は大統領選の行方などに警戒しつつも、過度な悲観に陥ったわけでない。「売りにも買いにも持ち高を傾けない」スタンスをとっていると理解しておくべきだろう。
もちろん、日銀による上場投資信託(ETF)買いも相場の下支え役として働いている。日銀は28日、29日と連日で通常のETF買い入れを実施。本日もTOPIXが5日続落で前場を折り返しているため、ETF買いが実施される公算は大きい。1日当たりの買い入れ額は701億円というペースが続いているが、東証1部売買代金は決算発表が本格化したにもかかわらずさほど膨らんでいないため、一定の下支え効果が期待できるだろう。
このように買い持ち高を減らす売りを先物の買い戻しと日銀ETF買いで吸収しつつ、11月3日の米大統領選を迎えることになりそうだ。
(小林大純)
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