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日経平均は小幅続落、強気な声と裏腹に米中巡る懸念は払しょくされず

ランチタイムコメント
 日経平均は小幅続落。51.79円安の28145.63円(出来高概算6億4000万株)で前場の取引を終えている。

 28日の米株式市場でNYダウは反発し、300ドル高となった。ゲーム専門店のゲームストップなど一部の銘柄での投機過熱を受け、証券取引委員会(SEC)が市場動向を監視しているとの声明を出したほか、ペロシ下院議長が議会でも調査を進める方針を示した。また、ネット証券のロビンフッドが取引制限を実施したこともあり、金融市場混乱への警戒感が後退。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)が低下し、反発期待の買いが優勢となった。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで123円高からスタート。しかし、前述の取引制限が緩和されたことなどから米株の乱高下に対する懸念がなおくすぶり、日経平均は寄り付きを高値に前日終値を挟んで一進一退の展開となった。

 個別では、前日に決算発表した東エレク<8035>が2%超の下落。今期業績予想の上方修正を受けて買いが先行したものの、その後は材料出尽くし感や高値警戒感から売りに押されている。決算発表銘柄ではアンリツ<6754>なども売り優勢で、キヤノン<7751>は「期待に届かず」との見方から下げが目立つ。その他、売買代金上位ではソフトバンクG<9984>や任天堂<7974>が小安く、東京電力HD<9501>は5%超の下落。また、WSCOPE<6619>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、ファーストリテ
<9983>やソニー<6758>はしっかり。富士通<6702>やHOYA<7741>は決算が好感され、堅調ぶりが目立つ。また、JCRファーマ<4552>は商いを伴って連日の大幅高となり、東証1部の売買代金及び上昇率上位に顔を出している。

 セクターでは、空運業、電気・ガス業、機械などが下落率上位。半面、証券、不動産業、精密機器などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の53%、対して値上がり銘柄は42%となっている。

 前日の米国株、それに本日の香港株がひとまず反発したのに比べ、日経平均は上値の重さが拭えない。米国では投機的取引が過熱していたゲームストップなどの取引制限をネット証券が緩和し、これに伴ってNYダウ先物は時間外取引で下落。また、香港ハンセン指数も朝方こそ1%超上昇する場面があったものの、その後伸び悩む展開だ。
前日の当欄で強調した「米中を巡る懸念」が払しょくされた印象は乏しい。前日のVIXもいったん低下したとはいえ、まだ30.21という高い水準だ。

 前日の日経平均は寄り付き直後に一時600円超下落したものの、その後下げ渋る場面もあったため、国内の市場関係者からはまだ強気な声が多い印象を受けた。これまでのコロナショック後の上昇相場における短期的な調整局面では、買い遅れていた投資家が押し目を拾う動きから大きく値を崩すこともなく、「今回も大丈夫」と楽観する向きが多いのは理解できる。ただ、足元浮上してきた米国の投機過熱問題や中国人民銀行(中央銀行)のインフレ警戒的な動きは、「主要中銀による潤沢な資金供給」というこの上昇相場の根幹に関わるものだ。状況を注視する必要があるだろう。

 強気な市場関係者の声とは裏腹に、一部の投資家は既に警戒を強めていることが窺える。高値圏の半導体関連株が決算堅調ながら売りに押されているのに対し、今週に入り比較的良好な値動きを示しているのは出遅れていた食料品など内需・ディフェンシブセクターの一角だ。もちろんコロナ禍の影響で手放しに買える銘柄ばかりではないが、「安全・低リスク志向」の高まりが内需・ディフェンシブ関連株に投資資金を向かわせているように思われる。

 足元で香港ハンセン指数は前日終値近辺まで上げ幅を縮める場面が出てきている。
東証株価指数(TOPIX)が0.07%の下落で前場を折り返しているため、日銀による上場投資信託(RTF)買い入れは実施されない公算が大きい。また、本日は2020年10-12月期決算発表の第1のピークで、それらの内容を見極めたいとのムードも強まるだろう。
後場の日経平均も戻りの鈍い展開になるとみておきたい。
(小林大純)


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