日経平均は小幅反発、「国内勢売りvs海外勢買い」と個別物色に見る投資家の腐心
[21/02/18]
提供元:株式会社フィスコ
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ランチタイムコメント
日経平均は小幅反発。52.78円高の30344.97円(出来高概算8億8000万株)で前場の取引を終えている。
17日の米株式市場でNYダウは3日続伸し、90ドル高となった。1月26-27日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で金融緩和を当面維持する方針が確認され、NYダウは連日で過去最高値を更新した。また、原油先物相場の上昇を受けて関連銘柄も堅調だった。ただ、長期金利の高止まりからハイテク株比率の高いナスダック総合指数は続落。本日の日経平均はNYダウが上昇した流れを引き継いで19円高からスタートすると、寄り付き直後には一時30560.49円(268.30円高)まで上昇したが、高値警戒感から売りも出て伸び悩む展開となった。前場中ごろを過ぎるとマイナス転換する場面もあった。
個別では、ファーストリテ<9983>が4%の上昇となり、取引時間中の上場来高値を大きく更新。1銘柄で日経平均を約155円押し上げている。ビットコイン価格の上昇に伴いマネックスG<8698>が13日続伸。JAL<9201>やANA<9202>といった空運株も前日に続き堅調となっている。その他、売買代金上位ではソフトバンクG<9984>がしっかり。また、マネパG<8732>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、トヨタ自<7203>、三菱UFJ<8306>、ソニー<6758>、東エレク<8035>などが軟調。任天堂<
7974>は小幅な下落だが、外資系証券の投資判断引き下げが観測されたスクリン<7735>
や前日に決算発表したトレンド<4704>は下げが目立つ。また、スクロール<8005>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、空運業、医薬品、電気・ガス業などが上昇率上位。半面、その他金融業、鉱業、証券などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の29%、対して値下がり銘柄は67%となっている。
本日の日経平均は小幅に反発して前場を折り返した。ただ、ファーストリテの寄与が大きく、東証株価指数(TOPIX)はといえば0.54%の下落。また、東証1部全体では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大きく上回っている。日経平均はまずまず底堅い印象だが、株式相場全体としては利益確定売り優勢と言えるだろう。
日経平均は16日後場に取引時間中の高値30714.52円を付けてから失速、17日は反落となっていた。日証金<8511>が発表している貸借取引残高を見ると、2月第2週の初めにかけて積み上がった日経レバETF<1570>の売り持ちが16日以降、急速に解消されたようだ。今週前半に日経平均が想定以上に強い値動きを見せ、買い戻しを迫られた格好だろうが、個人投資家の高値警戒感が払しょくされたとは考えづらい。
また、ここ数日の先物手口を見ると、16日はSBI証券が日経平均先物の売り越しトップ、17日はみずほ証券が日経平均先物、TOPIX先物とも売り越しトップだった。個人投資家のみならず、機関投資家も含め国内勢は総じて売り目線といった印象を受ける。
しかし、外資系証券のまとまった先物売りは観測されていない。米バンク・オブ・アメリカ(BofA)が16日公表したグローバルファンドマネジャー調査によれば、世界の景気見通しは調査開始以来で最も強気。足元の株高は「バブル」という回答は13%
にとどまったという。また、現金比率は過去8年間で最低となる一方、株式・商品の配分は10年間で最高となった。世界的に見れば機関投資家の強気姿勢が後退したわけでなく、日本株は「国内勢売りvs海外勢買い」の構図となっているのだろう。もちろん、海外機関投資家が総じて強気に傾いてきたことは先行きへの懸念でもあり、BofAも「弱気になる唯一の理由」と指摘している。
個別銘柄の物色動向を見ると、やはり投資家が腐心していることが窺える。株式相場全体が大きく底上げされてしまい、一段の上昇が狙えるのはファーストリテのような「クオリティー(優良)株」との見方が強まっているのだろう。また、コロナ禍のダメージが大きく、なお出遅れ感の強い空運株などにもワクチン普及に期待した買いが入っているとみられる。ここから「買える銘柄」が乏しくなってきた感は拭えないが、それでも投資家は何とか「買える銘柄」を探そうとしているようだ。
高値警戒感をはらみつつも、まだまだ「株買い」を模索する動きは続きそうだ。
(小林大純)
<AK>
17日の米株式市場でNYダウは3日続伸し、90ドル高となった。1月26-27日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で金融緩和を当面維持する方針が確認され、NYダウは連日で過去最高値を更新した。また、原油先物相場の上昇を受けて関連銘柄も堅調だった。ただ、長期金利の高止まりからハイテク株比率の高いナスダック総合指数は続落。本日の日経平均はNYダウが上昇した流れを引き継いで19円高からスタートすると、寄り付き直後には一時30560.49円(268.30円高)まで上昇したが、高値警戒感から売りも出て伸び悩む展開となった。前場中ごろを過ぎるとマイナス転換する場面もあった。
個別では、ファーストリテ<9983>が4%の上昇となり、取引時間中の上場来高値を大きく更新。1銘柄で日経平均を約155円押し上げている。ビットコイン価格の上昇に伴いマネックスG<8698>が13日続伸。JAL<9201>やANA<9202>といった空運株も前日に続き堅調となっている。その他、売買代金上位ではソフトバンクG<9984>がしっかり。また、マネパG<8732>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、トヨタ自<7203>、三菱UFJ<8306>、ソニー<6758>、東エレク<8035>などが軟調。任天堂<
7974>は小幅な下落だが、外資系証券の投資判断引き下げが観測されたスクリン<7735>
や前日に決算発表したトレンド<4704>は下げが目立つ。また、スクロール<8005>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、空運業、医薬品、電気・ガス業などが上昇率上位。半面、その他金融業、鉱業、証券などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の29%、対して値下がり銘柄は67%となっている。
本日の日経平均は小幅に反発して前場を折り返した。ただ、ファーストリテの寄与が大きく、東証株価指数(TOPIX)はといえば0.54%の下落。また、東証1部全体では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大きく上回っている。日経平均はまずまず底堅い印象だが、株式相場全体としては利益確定売り優勢と言えるだろう。
日経平均は16日後場に取引時間中の高値30714.52円を付けてから失速、17日は反落となっていた。日証金<8511>が発表している貸借取引残高を見ると、2月第2週の初めにかけて積み上がった日経レバETF<1570>の売り持ちが16日以降、急速に解消されたようだ。今週前半に日経平均が想定以上に強い値動きを見せ、買い戻しを迫られた格好だろうが、個人投資家の高値警戒感が払しょくされたとは考えづらい。
また、ここ数日の先物手口を見ると、16日はSBI証券が日経平均先物の売り越しトップ、17日はみずほ証券が日経平均先物、TOPIX先物とも売り越しトップだった。個人投資家のみならず、機関投資家も含め国内勢は総じて売り目線といった印象を受ける。
しかし、外資系証券のまとまった先物売りは観測されていない。米バンク・オブ・アメリカ(BofA)が16日公表したグローバルファンドマネジャー調査によれば、世界の景気見通しは調査開始以来で最も強気。足元の株高は「バブル」という回答は13%
にとどまったという。また、現金比率は過去8年間で最低となる一方、株式・商品の配分は10年間で最高となった。世界的に見れば機関投資家の強気姿勢が後退したわけでなく、日本株は「国内勢売りvs海外勢買い」の構図となっているのだろう。もちろん、海外機関投資家が総じて強気に傾いてきたことは先行きへの懸念でもあり、BofAも「弱気になる唯一の理由」と指摘している。
個別銘柄の物色動向を見ると、やはり投資家が腐心していることが窺える。株式相場全体が大きく底上げされてしまい、一段の上昇が狙えるのはファーストリテのような「クオリティー(優良)株」との見方が強まっているのだろう。また、コロナ禍のダメージが大きく、なお出遅れ感の強い空運株などにもワクチン普及に期待した買いが入っているとみられる。ここから「買える銘柄」が乏しくなってきた感は拭えないが、それでも投資家は何とか「買える銘柄」を探そうとしているようだ。
高値警戒感をはらみつつも、まだまだ「株買い」を模索する動きは続きそうだ。
(小林大純)
<AK>