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日経平均は4日続伸、インフレ観測はむしろ強まり株高後押しも…

ランチタイムコメント
 日経平均は4日続伸。277.10円高の29488.74円(出来高概算8億8000万株)で前場の取引を終えている。

 11日の米株式市場でNYダウは5日続伸し、188ドル高となった。連日で過去最高値を更新。バイデン大統領が予定を繰り上げて法案に署名し、1.9兆ドル規模の追加経済対策が成立した。30年物国債入札が無難な結果となり、長期金利が落ち着きを見せたことに加え、雇用関連指標が良好だったことも投資家心理を上向かせた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は2.5%の上昇、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)
は4.1%の上昇となった。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで76円高からスタートすると、朝方こそマイナスに転じる場面があったものの、その後上げ幅を拡大。
前引けにかけて一時29553.35円(341.71円高)まで上昇した。なお、先物・オプション3月物の特別清算指数(SQ)は概算で29282.41円となっている。

 個別では、東エレク<8035>が4%の上昇となっているほか、アドバンテス<6857>、SUMCO<3436>、レーザーテック<6920>といった半導体関連株が大幅に上昇。ソフトバンクG<9984>、ソニー<6758>、エムスリー<2413>、村田製<6981>などの値がさ株も堅調ぶりが目立つ。また、決算が好感されたラクスル<4384>が東証1部上昇率トップとなり、鎌倉新書<6184>はストップ高水準での買い気配が続いている。一方、一部証券会社の投資判断引き下げが観測されているファーストリテ<9983>は軟調。三菱UFJ<
8306>やリクルートHD<6098>は小安い。また、「Googleトラベル」がホテル予約リンクを無料開放すると伝わり、オープンドア<3926>などが東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、電気機器、鉄鋼、金属製品などが上昇率上位。半面、保険業、不動産業、電気・ガス業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の42%、対して値下がり銘柄は52%となっている。

 前日の米市場ではNYダウが連日の最高値更新、特にハイテク株の堅調ぶりが目立ち、本日の日経平均は値がさ株にけん引される形で上昇している。前日の当欄で指摘したとおり、米国では追加経済対策が成立したことで1400ドル(約15万円)の個人向け現金給付が始まる。従前まで調整を強いられていたハイテク株は個人の投資資金が再流入することで持ち直すのではといった期待がある。

 また、米国の2月消費者物価指数(CPI)発表や国債入札、さらに欧州中央銀行(ECB)定例理事会を通過し、債券市場の動向に変化が出てきた点も見逃せない。米CPIは食品・エネルギーを除くコア指数が市場予想を下回る伸びにとどまり、警戒された米国債入札も無難に通過したことで、米長期金利は1.5%台で伸び悩んでいる。1.6%台は来年の利上げをほぼ確実視する水準で「行き過ぎ」との見方もある。

 一方、2.2%前後で推移していた米国のブレークイーブン・インフレ率(期待インフレ率の指標)は足元で一段と上昇。10日は2.26%(+0.04)、11日は2.28%(+0.02)
となった。CPI抑制で米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和縮小(テーパリング)が遠のくとの見方が広がったこと、またECBも金利上昇への警戒感から資産購入ペースの加速を示唆したことなどが背景にあるのだろう。主要中央銀行が積極緩和姿勢を維持していることで、今後のインフレ加速観測はむしろ強まったと言える。

 名目金利の伸び悩みと期待インフレ率の一段の上昇により、視野に入りつつあった
「米実質金利のプラス転換」への警戒感が後退。これが米個人の資金フロー改善期待とともに、株高及び再度のグロース株買いを後押ししていると考えられる。米国株優位とはなるだろうが、日本株も海外投資家のリスク許容度が高まることで目先堅調な展開となることが期待される。

 ただ、「生活物価の伸び悩み」と「資産インフレの加速」というちぐはぐな経済・金融環境がどのような未来につながるか、楽観的にばかりもなれない。日米の個人も多くがそのような不安から株式投資への関心を高めているように感じられる。
(小林大純)


<AK>

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