日経平均は反落、日本電産に見る「決算ハードルの高さ」
[21/04/23]
提供元:株式会社フィスコ
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ランチタイムコメント
日経平均は反落。204.86円安の28983.31円(出来高概算4億8000万株)で前場の取引を終えている。
22日の米株式市場でNYダウは反落し、321ドル安となった。バイデン大統領が富裕層を対象としてキャピタルゲイン税率を現行の最大2倍に引き上げる案を検討していると報じられ、売りが加速した。また、東京市場では前日に決算発表した日本電産<6594>
などで売りが先行したこともあり、本日の日経平均は249円安からスタートすると、朝方には一時28770.62円(417.55円安)まで下落。ただ、その後は主力株の押し目買いの動きに加え、本日の緊急事態宣言発出で悪影響が懸念されていた銘柄の買い戻しの動きも出て、日経平均はじりじりと下げ幅を縮める展開になった。
個別では、前述の日本電産が売買代金トップで7%を超える下落。今期業績見通しは堅調ながら市場予想を下回り、ネガティブ視されたようだ。同じく決算発表のディスコ<6146>も売りが先行したが、前日終値近辺まで下げ渋る場面が見られた。足元の受注拡大への高評価とピークアウト懸念が交錯しているもよう。その他、売買代金上位ではソフトバンクG<9984>、レーザーテック<6920>、東エレク<8035>などが軟調。また、日本電産とともにマネックスG<8698>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、任天堂<7974>やソニーG<6758>はまずまずしっかり。JAL<9201>が2%近く上昇しているほか、H.I.S.<9603>なども上げが目立つ。前期業績を上方修正したミズノ<8022>は急伸し、KIMOTO<7908>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、鉄鋼、機械、石油・石炭製品などが下落率上位。一方、空運業、陸運業、不動産業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の54%、対して値上がり銘柄は41%となっている。
前日の米株安に日本電産等の決算に対する売り反応も加わり、本日の日経平均は反落している。とはいえ、朝方に400円超下落した後は下げ渋り。前日の当欄で述べたが、過去も緊急事態宣言の発出が意識された局面で大きく売られる分、実際に発出されるタイミングでは買い戻しが入っていた。空運株などはこうした流れに沿った値動きを見せている。また、日本電産やディスコの決算も決して悪い内容ではなかっただけに、関連銘柄を含め下値で拾おうとする向きもあるのだろう。
ただ、これも前日指摘したとおり、日本電産などは業績予想の市場コンセンサスもさることながら、直近の信用買い残の膨らみ方が「決算に対する期待のハードルの高さ」を映していたと言える。先の安川電<6506>とは異なるパターン(安川電は売り残の解消が進んでいた)だが、改めて今後の企業決算に対する株価反応への警戒感が出てくる可能性がある。一方、ディスコはというと日本電産ほど買い残が膨らんでいたわけでなく、相対的に値動きは落ち着いている印象だ。しかし、こちらもピークアウト懸念から受注拡大を素直に好感できないあたり、今後の半導体関連株の決算反応に不安を残すと言わざるを得ない。なお、本日はエムスリー<2413>などが決算発表を予定している。
さて、米国の方でもバイデン政権のキャピタルゲイン増税方針への懸念が台頭してきた。実際に政権の提案どおりの大幅な引き上げにはならないだろうという見方もあるが、時間外取引でのNYダウ先物の戻りは鈍いようだ。また、特に仮想通貨は高税率が検討されているもようで、ビットコイン価格が急落していることも気になるところ。そもそも仮想通貨のマイニング(採掘)には多くの電力を消費するうえ、主に中国で行われていることもあって、バイデン米政権は環境・安全保障等の観点から仮想通貨規制に傾くとみられているようだ。こうした背景からビットコイン価格の下落が続くようなら、金融市場への波及も警戒する必要があるだろう。
やはり日経平均が再び上値を試すようなムードは遠いか。実際、本日の日中の値動きでも29000円を上回ったところで戻りが鈍くなっている。目先は28000円〜29000円レベルでのもみ合いになるとの見方に変更はない。
(小林大純)
<AK>
22日の米株式市場でNYダウは反落し、321ドル安となった。バイデン大統領が富裕層を対象としてキャピタルゲイン税率を現行の最大2倍に引き上げる案を検討していると報じられ、売りが加速した。また、東京市場では前日に決算発表した日本電産<6594>
などで売りが先行したこともあり、本日の日経平均は249円安からスタートすると、朝方には一時28770.62円(417.55円安)まで下落。ただ、その後は主力株の押し目買いの動きに加え、本日の緊急事態宣言発出で悪影響が懸念されていた銘柄の買い戻しの動きも出て、日経平均はじりじりと下げ幅を縮める展開になった。
個別では、前述の日本電産が売買代金トップで7%を超える下落。今期業績見通しは堅調ながら市場予想を下回り、ネガティブ視されたようだ。同じく決算発表のディスコ<6146>も売りが先行したが、前日終値近辺まで下げ渋る場面が見られた。足元の受注拡大への高評価とピークアウト懸念が交錯しているもよう。その他、売買代金上位ではソフトバンクG<9984>、レーザーテック<6920>、東エレク<8035>などが軟調。また、日本電産とともにマネックスG<8698>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、任天堂<7974>やソニーG<6758>はまずまずしっかり。JAL<9201>が2%近く上昇しているほか、H.I.S.<9603>なども上げが目立つ。前期業績を上方修正したミズノ<8022>は急伸し、KIMOTO<7908>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、鉄鋼、機械、石油・石炭製品などが下落率上位。一方、空運業、陸運業、不動産業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の54%、対して値上がり銘柄は41%となっている。
前日の米株安に日本電産等の決算に対する売り反応も加わり、本日の日経平均は反落している。とはいえ、朝方に400円超下落した後は下げ渋り。前日の当欄で述べたが、過去も緊急事態宣言の発出が意識された局面で大きく売られる分、実際に発出されるタイミングでは買い戻しが入っていた。空運株などはこうした流れに沿った値動きを見せている。また、日本電産やディスコの決算も決して悪い内容ではなかっただけに、関連銘柄を含め下値で拾おうとする向きもあるのだろう。
ただ、これも前日指摘したとおり、日本電産などは業績予想の市場コンセンサスもさることながら、直近の信用買い残の膨らみ方が「決算に対する期待のハードルの高さ」を映していたと言える。先の安川電<6506>とは異なるパターン(安川電は売り残の解消が進んでいた)だが、改めて今後の企業決算に対する株価反応への警戒感が出てくる可能性がある。一方、ディスコはというと日本電産ほど買い残が膨らんでいたわけでなく、相対的に値動きは落ち着いている印象だ。しかし、こちらもピークアウト懸念から受注拡大を素直に好感できないあたり、今後の半導体関連株の決算反応に不安を残すと言わざるを得ない。なお、本日はエムスリー<2413>などが決算発表を予定している。
さて、米国の方でもバイデン政権のキャピタルゲイン増税方針への懸念が台頭してきた。実際に政権の提案どおりの大幅な引き上げにはならないだろうという見方もあるが、時間外取引でのNYダウ先物の戻りは鈍いようだ。また、特に仮想通貨は高税率が検討されているもようで、ビットコイン価格が急落していることも気になるところ。そもそも仮想通貨のマイニング(採掘)には多くの電力を消費するうえ、主に中国で行われていることもあって、バイデン米政権は環境・安全保障等の観点から仮想通貨規制に傾くとみられているようだ。こうした背景からビットコイン価格の下落が続くようなら、金融市場への波及も警戒する必要があるだろう。
やはり日経平均が再び上値を試すようなムードは遠いか。実際、本日の日中の値動きでも29000円を上回ったところで戻りが鈍くなっている。目先は28000円〜29000円レベルでのもみ合いになるとの見方に変更はない。
(小林大純)
<AK>