日経平均は6日ぶり反落、MSCIリバランスで「あく抜け」か「出尽くし」か
[21/05/27]
提供元:株式会社フィスコ
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ランチタイムコメント
日経平均は6日ぶり反落。193.16円安の28449.03円(出来高概算5億2000万株)で前場の取引を終えている。
26日の米株式市場でNYダウは小幅に反発し、10ドル高となった。引き続き新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、経済活動の正常化を後押しするとの期待が相場を押し上げた。また、長期金利が安定していることからハイテク株が買われ、ナスダック総合指数は0.6%の上昇。一方、NYダウは高値圏とあって利益確定の売りも出て伸び悩んだ。東京市場でも利益確定の売りが先行し、日経平均は98円安からスタートすると、前場中ごろには一時28360.56円(281.63円安)まで下落。前日に上値抵抗となっていた28600円を抜け、25日移動平均線水準を回復していたことに加え、引けにかけてMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)指数構成銘柄見直しに伴う売り需要が発生することも警戒されて売りが出たようだ。
個別では、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>が軟調で、東エレク<8035>も小安い。米半導体大手エヌビディアが発表した決算は良好な内容だったが、時間外取引で同社株は下落しており、東京市場でも半導体関連株は一進一退の展開となっている。富士通<6702>は同社製ツールから政府情報が流出していたと伝わって3%超の下落。また、ライク<2462>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、トヨタ自<7203>、ソニーG<6758>、レーザーテック<6920>は小じっかり。ANA<9202>とJAL<9201>は揃って2%超上昇し、インターネット関連のZHD
<4689>やサイバー<4751>、それにアステラス薬<4503>の上げも目立つ。また、今期業績・配当予想などを発表したタチエス<7239>が東証1部上昇率トップとなっている。
セクターでは、海運業、鉄鋼、不動産業などが下落率上位。一方、空運業、非鉄金属、食料品などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の57%、対して値上がり銘柄は36%となっている。
本日の日経平均は6日ぶりに反落し、3ケタの下落で前場を折り返した。前日に28600円を上抜けしたことで売り方の買い戻しが入った感はあるが、日本株全体で6000〜7000億円規模の資金流出と試算されているMSCIリバランスを前に、25日移動平均線を超えて積極的に買い上がろうとする向きは少ないのだろう。個別株や業種別の騰落状況を見ると、このところ値上がりしていた銘柄を中心に軟調で、目先の利益を確保するための売りが出ていることを窺わせる。
一方、グロース(成長株)色の強いネット関連株やコロナ禍のダメージが大きい空運株などは出遅れていただけに、足元の米長期金利の落ち着きやワクチン普及期待で買いやすいのだろう。また、日経平均も朝方の売り一巡後は下げ渋っているが、MSCIリバランス通過後の「あく抜け」を期待した買いが入っているものと考えられる。
前日に上値抵抗帯を抜けたことで、MSCIリバランス通過とワクチン普及による「日経平均3万円台回復」を期待する向きは意を強くしたとみられるが、あく抜け期待の押し目買いや売り方の買い戻しが既にある程度入っているとなると、「材料出尽くし」となる可能性も念頭に置いた方がいいのかもしれない。
米ハイテク株の上昇により投資家心理が上向くほか、日本でも日経平均への寄与が大きい値がさグロース株に買いが入るとみられることから、MSCIリバランス通過後の日経平均は短期的に29000円前後まで戻りを試す場面が出てくる可能性も十分にあるだろう。しかし、昨年のコロナショック後の戻り相場のように、調整後の反発が大きいと考えるのは少々楽観的かもしれない。
日銀は前日まで20営業日連続で上場投資信託(ETF)の買い入れを実施していない。
鈴木人司審議委員は26日、オンライン懇談会でETF等の買い入れが「引き続き必要な施策だ」としつつ、残高の増加ペースを極力抑制していくことが望ましいと発言したという。他の中央銀行が追随することのなかった「孤独な政策」に苦悩する日銀の本音が垣間見れる発言だろう。
昨年のコロナショック後の戻り相場では、短期的な調整局面で日銀のETF買い入れが積極的に実施され、音を上げた売り方が高値圏で買い戻しを入れたことが断続的な株価上昇につながっていた。しかし、この5月の下落局面で下値を支えたのは個人などの純投資家だ。もちろん純投資家は一定の利が乗れば利益確定する。実際、ここ数日のネット証券売買代金ランキングでは日経レバETF<1570>がおおむね売り超となっており、個人投資家が利益確定の売りを出していることが窺える。とはいえ、日経レバETFの純資産額、市場全体の信用買い残高ともなお高水準で、買い持ち解消の余地は大きい。
また、ゴールデンウイークの連休明けに株価指数先物の売り持ちポジションを構築していた海外投資家も、短期勢を中心にここまでの戻りである程度買い戻した感がある。米国を中心とした経済指標の改善や長期金利の上昇に目先ピークアウト感が漂うなか、海外から日本株のエクスポージャー(投資残高)を高めようという声も以前ほど聞かれない。強気派の言うように日経平均が3万円台まで戻りを試してくるかどうか、慎重に見極める必要があるように思われる。
(小林大純)
<AK>
26日の米株式市場でNYダウは小幅に反発し、10ドル高となった。引き続き新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、経済活動の正常化を後押しするとの期待が相場を押し上げた。また、長期金利が安定していることからハイテク株が買われ、ナスダック総合指数は0.6%の上昇。一方、NYダウは高値圏とあって利益確定の売りも出て伸び悩んだ。東京市場でも利益確定の売りが先行し、日経平均は98円安からスタートすると、前場中ごろには一時28360.56円(281.63円安)まで下落。前日に上値抵抗となっていた28600円を抜け、25日移動平均線水準を回復していたことに加え、引けにかけてMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)指数構成銘柄見直しに伴う売り需要が発生することも警戒されて売りが出たようだ。
個別では、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>が軟調で、東エレク<8035>も小安い。米半導体大手エヌビディアが発表した決算は良好な内容だったが、時間外取引で同社株は下落しており、東京市場でも半導体関連株は一進一退の展開となっている。富士通<6702>は同社製ツールから政府情報が流出していたと伝わって3%超の下落。また、ライク<2462>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、トヨタ自<7203>、ソニーG<6758>、レーザーテック<6920>は小じっかり。ANA<9202>とJAL<9201>は揃って2%超上昇し、インターネット関連のZHD
<4689>やサイバー<4751>、それにアステラス薬<4503>の上げも目立つ。また、今期業績・配当予想などを発表したタチエス<7239>が東証1部上昇率トップとなっている。
セクターでは、海運業、鉄鋼、不動産業などが下落率上位。一方、空運業、非鉄金属、食料品などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の57%、対して値上がり銘柄は36%となっている。
本日の日経平均は6日ぶりに反落し、3ケタの下落で前場を折り返した。前日に28600円を上抜けしたことで売り方の買い戻しが入った感はあるが、日本株全体で6000〜7000億円規模の資金流出と試算されているMSCIリバランスを前に、25日移動平均線を超えて積極的に買い上がろうとする向きは少ないのだろう。個別株や業種別の騰落状況を見ると、このところ値上がりしていた銘柄を中心に軟調で、目先の利益を確保するための売りが出ていることを窺わせる。
一方、グロース(成長株)色の強いネット関連株やコロナ禍のダメージが大きい空運株などは出遅れていただけに、足元の米長期金利の落ち着きやワクチン普及期待で買いやすいのだろう。また、日経平均も朝方の売り一巡後は下げ渋っているが、MSCIリバランス通過後の「あく抜け」を期待した買いが入っているものと考えられる。
前日に上値抵抗帯を抜けたことで、MSCIリバランス通過とワクチン普及による「日経平均3万円台回復」を期待する向きは意を強くしたとみられるが、あく抜け期待の押し目買いや売り方の買い戻しが既にある程度入っているとなると、「材料出尽くし」となる可能性も念頭に置いた方がいいのかもしれない。
米ハイテク株の上昇により投資家心理が上向くほか、日本でも日経平均への寄与が大きい値がさグロース株に買いが入るとみられることから、MSCIリバランス通過後の日経平均は短期的に29000円前後まで戻りを試す場面が出てくる可能性も十分にあるだろう。しかし、昨年のコロナショック後の戻り相場のように、調整後の反発が大きいと考えるのは少々楽観的かもしれない。
日銀は前日まで20営業日連続で上場投資信託(ETF)の買い入れを実施していない。
鈴木人司審議委員は26日、オンライン懇談会でETF等の買い入れが「引き続き必要な施策だ」としつつ、残高の増加ペースを極力抑制していくことが望ましいと発言したという。他の中央銀行が追随することのなかった「孤独な政策」に苦悩する日銀の本音が垣間見れる発言だろう。
昨年のコロナショック後の戻り相場では、短期的な調整局面で日銀のETF買い入れが積極的に実施され、音を上げた売り方が高値圏で買い戻しを入れたことが断続的な株価上昇につながっていた。しかし、この5月の下落局面で下値を支えたのは個人などの純投資家だ。もちろん純投資家は一定の利が乗れば利益確定する。実際、ここ数日のネット証券売買代金ランキングでは日経レバETF<1570>がおおむね売り超となっており、個人投資家が利益確定の売りを出していることが窺える。とはいえ、日経レバETFの純資産額、市場全体の信用買い残高ともなお高水準で、買い持ち解消の余地は大きい。
また、ゴールデンウイークの連休明けに株価指数先物の売り持ちポジションを構築していた海外投資家も、短期勢を中心にここまでの戻りである程度買い戻した感がある。米国を中心とした経済指標の改善や長期金利の上昇に目先ピークアウト感が漂うなか、海外から日本株のエクスポージャー(投資残高)を高めようという声も以前ほど聞かれない。強気派の言うように日経平均が3万円台まで戻りを試してくるかどうか、慎重に見極める必要があるように思われる。
(小林大純)
<AK>