日経平均は3日ぶり小反落、月替わりで潮目の変化に注意
[23/01/31]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
ランチタイムコメント
日経平均は3日ぶり小反落。3.81円安の27429.59円(出来高概算5億2468万株)で前場の取引を終えている。
30日の米株式市場でダウ平均は260.99ドル安(−0.76%)と7日ぶり反落。今週開催される連邦公開市場委員会(FOMC)を直前に控える中、調整的な売りが先行。FOMCでは利上げペース減速が予想されているものの、連邦準備制度理事会(FRB)の主張通り、利上げが継続するとの思惑もくすぶり、金利上昇を警戒した売りから一段安となった。また、ハイテク株の利食い売りが相場を押し下げ、ナスダック総合指数は−1.96%と3日ぶり大幅反落。一方、米1月ダラス連銀製造業活動指数の上振れなどに伴う為替の円安・ドル高を支援要因に、日経平均は25.16円高からスタート。ただ、今週に相次いで控える主力企業決算や中央銀行イベント、重要経済指標を前に様子見ムードが強く、日経平均は27500円を手前に膠着感の強い展開が続いた。
なお、午前に中国国家統計局が発表した1月製造業の購買担当者景気指数(PMI)は50.1と前月(47.0)から改善し、市場予想に一致、景況感の拡大・縮小の分岐点となる50を上回った。また、1月非製造業PMIは54.4と前月(41.6)から大幅に改善し、市場予想(52.0)も超過した。
個別では、決算が好感されたところでOLC<4661>、NEC<6701>、オムロン<6645>、シンプレクスHD<4373>などが大きく上昇。業績予想を上方修正した中部電力<9502>が急伸し、他の電力株も軒並み高となっている。業績上方修正に加えて増配も発表したソシオネクスト<6526>は大幅高となり、バルカー<7995>は一時ストップ高まで買われた。
一方、減益決算となったストライク<6196>、Vコマース<2491>、大東建託<1878>が急落しており、M&Aキャピ<6080>はストップ安売り気配のまま終えている。また、市場の期待に届かなかったNRI<4307>、営業利益を上方修正もデリバティブ評価損計上で経常利益を下方修正したコーエーテクモ<3635>が大きく下落。ほか、FOMCが近づくなかグロース株が利食い売りに押されており、マネーフォワード<3994>、Sansan<4443>、SREHD<2980>、インソース<6200>などが東証プライム市場の値下がり率上位に入っている。
セクターでは銀行、鉱業、石油・石炭製品が下落率上位となった一方、電気・ガス、パルプ・紙、水産・農林が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の31%、対して値上がり銘柄は66%となっている。
東京市場の主要株価指数は全般、膠着感の強い展開となっている。日本時間2日午前4時頃に結果判明を控えるFOMCのほか、同日の晩に開催される欧州中央銀行(ECB)定例理事会などの中央銀行イベントに加え、米供給管理協会(ISM)が発表するISM景気指数、週末の米雇用統計など重要イベントが続々と控える中、模様眺めムード極まるといった様相だ。
さて、本日は31日と、1月の最終営業日で、明日からは2月相場入りとなる。月が替わることで潮目の変化に注意したい。振り返ると、1月は多くの市場関係者の予想に反して世界の株式市場は強かった。昨年末までは世界景気の後退が懸念されていたが、中国での「ゼロコロナ政策」の緩和を受けて、年明けは急速に世界景気の底入れを先取りするかのような動きが加速した。
商品市況では、中国景気との連動性の高い鉄鉱石や銅、アルミニウムといった非鉄金属の価格が軒並み急伸し始め、関連銘柄の株価も世界的に大きく上昇した。また、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)や米ナスダック指数など、昨年厳しい売りに見舞われた米ハイテク株も、米12月雇用統計での平均時給の伸び鈍化などを受け、FRBのピボット(転換)期待が高まる中、株価が大きくリバウンドしてきた。
しかし、冷静に考えると、年末特有の節税対策売りが一巡した年明けから、昨年に売られすぎたセクター・銘柄の反発を期待したリバランスが強まったに過ぎないともいえる。実際、上述した中国景気との結びつきの強い銅、アルミニウムなどのコモディティ価格は1月末にかけて騰勢一服となってきている。1月の強かった動きが大方昨年末にかけての下落の反動に過ぎないのだとしたら、2月へと月替わりすることで、こうしたリバランスの動きも一巡すると考えるのが自然ではないだろうか。
この仮説が正しいとすると、需給面でのプラス要因が一巡してきたタイミングで、ハイテク企業やGAFAMといった米大型IT企業の決算のほか、FOMCなどの中銀イベント、ISM景気指数などの重要指標を相次いで迎えることは、相場のムード転換に繋がり得る点から懸念される。今週の一連のイベントをじっくりと消化するまでは、今は様子見に徹することが肝要だと考える。
なお、本日はHOYA<7741>、富士通<6702>、コマツ<6301>、レーザーテック<6920>、味の素<2802>などの決算が予定されている。一方、米国では建機のキャタピラー、自動車のゼネラル・モーターズ、エネルギー大手エクソン・モービル、半導体のAMDなどの決算が予定されている。米半導体企業については、今のところテキサス・インスツルメンツ、ラム・リサーチ、インテル、NXPセミコンダクターズなど、低調な決算を発表する企業が多いため、AMDの決算には特に注目したい。ほか、国際通貨基金(IMF)
が世界経済見通しを公表する。
(仲村幸浩)
<AK>
30日の米株式市場でダウ平均は260.99ドル安(−0.76%)と7日ぶり反落。今週開催される連邦公開市場委員会(FOMC)を直前に控える中、調整的な売りが先行。FOMCでは利上げペース減速が予想されているものの、連邦準備制度理事会(FRB)の主張通り、利上げが継続するとの思惑もくすぶり、金利上昇を警戒した売りから一段安となった。また、ハイテク株の利食い売りが相場を押し下げ、ナスダック総合指数は−1.96%と3日ぶり大幅反落。一方、米1月ダラス連銀製造業活動指数の上振れなどに伴う為替の円安・ドル高を支援要因に、日経平均は25.16円高からスタート。ただ、今週に相次いで控える主力企業決算や中央銀行イベント、重要経済指標を前に様子見ムードが強く、日経平均は27500円を手前に膠着感の強い展開が続いた。
なお、午前に中国国家統計局が発表した1月製造業の購買担当者景気指数(PMI)は50.1と前月(47.0)から改善し、市場予想に一致、景況感の拡大・縮小の分岐点となる50を上回った。また、1月非製造業PMIは54.4と前月(41.6)から大幅に改善し、市場予想(52.0)も超過した。
個別では、決算が好感されたところでOLC<4661>、NEC<6701>、オムロン<6645>、シンプレクスHD<4373>などが大きく上昇。業績予想を上方修正した中部電力<9502>が急伸し、他の電力株も軒並み高となっている。業績上方修正に加えて増配も発表したソシオネクスト<6526>は大幅高となり、バルカー<7995>は一時ストップ高まで買われた。
一方、減益決算となったストライク<6196>、Vコマース<2491>、大東建託<1878>が急落しており、M&Aキャピ<6080>はストップ安売り気配のまま終えている。また、市場の期待に届かなかったNRI<4307>、営業利益を上方修正もデリバティブ評価損計上で経常利益を下方修正したコーエーテクモ<3635>が大きく下落。ほか、FOMCが近づくなかグロース株が利食い売りに押されており、マネーフォワード<3994>、Sansan<4443>、SREHD<2980>、インソース<6200>などが東証プライム市場の値下がり率上位に入っている。
セクターでは銀行、鉱業、石油・石炭製品が下落率上位となった一方、電気・ガス、パルプ・紙、水産・農林が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の31%、対して値上がり銘柄は66%となっている。
東京市場の主要株価指数は全般、膠着感の強い展開となっている。日本時間2日午前4時頃に結果判明を控えるFOMCのほか、同日の晩に開催される欧州中央銀行(ECB)定例理事会などの中央銀行イベントに加え、米供給管理協会(ISM)が発表するISM景気指数、週末の米雇用統計など重要イベントが続々と控える中、模様眺めムード極まるといった様相だ。
さて、本日は31日と、1月の最終営業日で、明日からは2月相場入りとなる。月が替わることで潮目の変化に注意したい。振り返ると、1月は多くの市場関係者の予想に反して世界の株式市場は強かった。昨年末までは世界景気の後退が懸念されていたが、中国での「ゼロコロナ政策」の緩和を受けて、年明けは急速に世界景気の底入れを先取りするかのような動きが加速した。
商品市況では、中国景気との連動性の高い鉄鉱石や銅、アルミニウムといった非鉄金属の価格が軒並み急伸し始め、関連銘柄の株価も世界的に大きく上昇した。また、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)や米ナスダック指数など、昨年厳しい売りに見舞われた米ハイテク株も、米12月雇用統計での平均時給の伸び鈍化などを受け、FRBのピボット(転換)期待が高まる中、株価が大きくリバウンドしてきた。
しかし、冷静に考えると、年末特有の節税対策売りが一巡した年明けから、昨年に売られすぎたセクター・銘柄の反発を期待したリバランスが強まったに過ぎないともいえる。実際、上述した中国景気との結びつきの強い銅、アルミニウムなどのコモディティ価格は1月末にかけて騰勢一服となってきている。1月の強かった動きが大方昨年末にかけての下落の反動に過ぎないのだとしたら、2月へと月替わりすることで、こうしたリバランスの動きも一巡すると考えるのが自然ではないだろうか。
この仮説が正しいとすると、需給面でのプラス要因が一巡してきたタイミングで、ハイテク企業やGAFAMといった米大型IT企業の決算のほか、FOMCなどの中銀イベント、ISM景気指数などの重要指標を相次いで迎えることは、相場のムード転換に繋がり得る点から懸念される。今週の一連のイベントをじっくりと消化するまでは、今は様子見に徹することが肝要だと考える。
なお、本日はHOYA<7741>、富士通<6702>、コマツ<6301>、レーザーテック<6920>、味の素<2802>などの決算が予定されている。一方、米国では建機のキャタピラー、自動車のゼネラル・モーターズ、エネルギー大手エクソン・モービル、半導体のAMDなどの決算が予定されている。米半導体企業については、今のところテキサス・インスツルメンツ、ラム・リサーチ、インテル、NXPセミコンダクターズなど、低調な決算を発表する企業が多いため、AMDの決算には特に注目したい。ほか、国際通貨基金(IMF)
が世界経済見通しを公表する。
(仲村幸浩)
<AK>