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新型コロナ懸念や高値警戒感から利益確定売り優勢

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;25817.18;-197.44TOPIX;1725.50;-9.16


[後場の投資戦略]

 相場を主導するのはバリュー株(割安株)かグロース株(成長株)か。市場では主役が目まぐるしく変わり、引き続き議論も活発だ。先週10日の当欄では、ワクチン開発進展のニュースで株式市場の主役がグロース株からバリュー株へ一気に変わるという見方はやや無理があり、「ここから時間をかけて少しずつシナリオ転換するというのが穏当な見方ではないだろうか。」と書いた。

 次期米大統領として有力なバイデン氏は、新型コロナウイルス対策を最優先課題に位置づけると表明しており、トランプ政権の経済優先から軌道修正となりそうだ。また、パウエルFRB議長は昨日のオンライン討論会で、新型コロナウイルス流行について
「感染が速いペースで広がっており今後数カ月は厳しい状況になる」と指摘し、一段の金融・財政支援が必要になる可能性があるとの認識を示したと伝えられた。しかし、米国議会が「ねじれ」状態となれば、感染防止に動いた際の財政措置が中途半端なものになる可能性もある。

 「株価=景気/金利」の式で言えば、分子の景気は上述のようにコロナ対策や議会での論戦次第では拡大期待が一時的に後退する場面も想定され、経済対策としては分母の金融政策に頼る場面がありそうだ。パウエルFRB議長は景気の二番底懸念に対し量的緩和の拡充を検討する考えを表明しており、この点は安心材料だ。ただ、ゼロ金利状態が長く続いており緩和余地は乏しくなっている。

 このように、分母の金融緩和余地、分子の景気拡大シナリオはどちらもやや道が狭くなっており、バリュー株、グロース株、いずれのシナリオも決定力不足の感がある。ワクチン実用化期待などを手掛かりに株式市場は活気づいているが、ここは兜の緒を締めてかかる場面かもしれない。バリュー株、グロース株についてはもう少し考えを進めたいが、紙面の都合で次の機会に回す。

 さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。円相場の方向や米国株式の動向などを確認したいとする向きも多く、積極的な買いは手控えられそうだ。一方、相場の先高観は依然強く、今日の下げは健全なスピード調整との見方が多いことに加え、前場のTOPIXが0.53%の下落となっており、日銀によるETF買入れの思惑が働く可能性もあり、下値があっても限定的だろう。
(小山 眞一)


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