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崩せない「PBR1.2倍の壁」と9-11月期決算

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;26665.72;+140.93TOPIX;1775.18;+9.97


[後場の投資戦略]

 新型コロナワクチンの普及や英EUの交渉妥結への期待を支えに、本日の東京市場では買いが先行する展開となった。日経平均の日足チャートを見ると、ここ2日ほどは上昇中の25日移動平均線を割り込むと下げ渋る動きを見せている。この間、海外の実需筋とみられる機関投資家から株価指数先物の売りが出ていたようだが、日銀による上場投資信託(ETF)買いの支援をうけつつ底堅さを発揮したことで、にわかに年末にかけての一段高を期待する向きが増えてきた。

 とはいえ、年末を前に市場のエネルギー低下は続いており、本日の日経平均も上値が重い。前日の東証1部売買代金は1兆8106億円と、10月27日以来およそ2カ月ぶりの2兆円割れ。本日の前場も8500億円あまりにとどまっている。

 また、改めてバリュエーションの観点からも日経平均の水準を点検しておきたい。11月中旬から下旬にかけて当欄で「株価純資産倍率(PBR)1.2倍水準となる26000円が目先の上値めど」と度々述べた。その後の日経平均の推移を見ると、1株当たり純資産
(BPS)の増額に伴い日経平均自体の水準はやや上振れしたが、PBRはやはり1.2倍で伸び悩む格好となっている。改めて指摘しておくと、PBR1.2倍は米中対立の激化懸念が強まった2018年12月以前の水準である。世界的に新型コロナの感染拡大ペースがなお高水準で推移し、それに伴い各種自粛要請や営業規制が強化中、さらに変異種への懸念もくすぶるなか、バリュエーションの一段の向上は期待しにくいだろう。

 このタイミングでバリュエーション面に目を向けたのは、コロナ禍や海外情勢に関心が向きがちだが、小売・サービス企業を中心とした9-11月期の決算発表が始まってくるためだ。12月中には25日のニトリHD<9843>、28日のしまむら<8227>、29日のスギHD<7649>などがある。小売大手などは比較的値がさで、その業績動向は日経平均の1株当たり利益(EPS)やBPSに少なからぬインパクトがある。新型コロナ感染状況の影響を受けやすい業種で、第1波の際に財務を悪化させた企業も多いだけに、今後発表される9-11月期決算には注意する必要があるだろう。

 22日上場のウェルスナビ<7342>が本日も大幅続伸するなど、個人投資家の物色意欲はなお旺盛だ。筆者自身も中小型株を中心とした新年相場の盛り上がりに期待しているが、経済・企業業績といった実態面にはなお懸念がくすぶると言わざるを得ないだろう。
(小林大純)


<AK>

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