好決算の陰で忍び寄る「マネー過熱」論
[21/01/28]
提供元:株式会社フィスコ
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後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;28323.06;-312.15TOPIX;1844.00;-16.07
[後場の投資戦略]
前日の米国株の急落を受け、本日の日経平均は朝方600円を超える下落となる場面もあったものの、その後下げ渋って前場を折り返した。日足チャートを見ると、長めの下ひげを伴った陽線を形成しており、28000円近辺での底堅さが意識されそうなところ。材料出尽くし感などから株価反応はまちまちだが、25日の日本電産<6594>を皮切りにここまでの10-12月期決算内容はおおむね良好。バリュエーション水準は決して低くないが、引き続き1株当たり指標の増額が日経平均を後押しすることに期待がかかる。また、米系大手証券が指摘しているが、日欧の個人の株式投資比率はなおピーク時を下回っている。日経平均は29000円手前までの上げ方が急だったため、買い遅れていた投資家が押し目を拾う動きも出てきやすいと考えられる。
ただ、ここ数日の国内外の金融市場では気になる動きが多かった(担当曜日の関係で後出しの形になったことはご容赦願いたい)。まず26日、香港ハンセン指数の大幅下落とともに日本でも株価指数先物に海外短期筋のものとみられる売りが出た。また、現物株市場では景気敏感セクターからディフェンシブセクターへの資金逃避的な動きも明確に見られた。いずれも久しく目にしていなかった光景だ。この日、中国人民銀行(中央銀行)の短期金融市場での公開市場操作(オペ)は差し引き資金吸収超となり、金融政策委員会の馬駿委員が「中国は年間経済成長目標の設定をやめ、雇用安定とインフレコントロールを主要なマクロ経済政策目標にすべき」との考えを示したなどと伝わっている。
米国のトランプ前政権は中国と関税引き上げによるいわば「がまん合戦」を繰り広げていた。しかし、そのトランプ前大統領は退任。中国はというと欧米各国との比較で新型コロナウイルスの感染拡大を抑制しており、馬駿委員の発言からも窺えるように「株高による内需刺激」から「インフレ懸念対策」に舵を切った可能性がある。
また、折しも米国ではゲームストップ株の乱高下がクローズアップされた。同社株を巡っては「未曽有のショート・スクイーズ(玉の締め上げ、海外メディアより)」、が発生、空売り筋が大損害を被る事態となった。「過剰流動性を背景にした異常な値動き」との指摘が多く出ている。バイデン政権や証券取引委員会(SEC)も状況を注視しているというが、とりわけコロナ禍中の投機的な動きに急進左派勢力などがどのような反応を示すかが気になる。
歴史的に見ると、バブルは市場自ら抑止することはないが、当局が抑制策を講じればあっという間にしぼむ。良好な企業決算を歓迎しつつも、米中当局の動きには注意を払っておく必要があるだろう。
(小林大純)
<AK>
日経平均;28323.06;-312.15TOPIX;1844.00;-16.07
[後場の投資戦略]
前日の米国株の急落を受け、本日の日経平均は朝方600円を超える下落となる場面もあったものの、その後下げ渋って前場を折り返した。日足チャートを見ると、長めの下ひげを伴った陽線を形成しており、28000円近辺での底堅さが意識されそうなところ。材料出尽くし感などから株価反応はまちまちだが、25日の日本電産<6594>を皮切りにここまでの10-12月期決算内容はおおむね良好。バリュエーション水準は決して低くないが、引き続き1株当たり指標の増額が日経平均を後押しすることに期待がかかる。また、米系大手証券が指摘しているが、日欧の個人の株式投資比率はなおピーク時を下回っている。日経平均は29000円手前までの上げ方が急だったため、買い遅れていた投資家が押し目を拾う動きも出てきやすいと考えられる。
ただ、ここ数日の国内外の金融市場では気になる動きが多かった(担当曜日の関係で後出しの形になったことはご容赦願いたい)。まず26日、香港ハンセン指数の大幅下落とともに日本でも株価指数先物に海外短期筋のものとみられる売りが出た。また、現物株市場では景気敏感セクターからディフェンシブセクターへの資金逃避的な動きも明確に見られた。いずれも久しく目にしていなかった光景だ。この日、中国人民銀行(中央銀行)の短期金融市場での公開市場操作(オペ)は差し引き資金吸収超となり、金融政策委員会の馬駿委員が「中国は年間経済成長目標の設定をやめ、雇用安定とインフレコントロールを主要なマクロ経済政策目標にすべき」との考えを示したなどと伝わっている。
米国のトランプ前政権は中国と関税引き上げによるいわば「がまん合戦」を繰り広げていた。しかし、そのトランプ前大統領は退任。中国はというと欧米各国との比較で新型コロナウイルスの感染拡大を抑制しており、馬駿委員の発言からも窺えるように「株高による内需刺激」から「インフレ懸念対策」に舵を切った可能性がある。
また、折しも米国ではゲームストップ株の乱高下がクローズアップされた。同社株を巡っては「未曽有のショート・スクイーズ(玉の締め上げ、海外メディアより)」、が発生、空売り筋が大損害を被る事態となった。「過剰流動性を背景にした異常な値動き」との指摘が多く出ている。バイデン政権や証券取引委員会(SEC)も状況を注視しているというが、とりわけコロナ禍中の投機的な動きに急進左派勢力などがどのような反応を示すかが気になる。
歴史的に見ると、バブルは市場自ら抑止することはないが、当局が抑制策を講じればあっという間にしぼむ。良好な企業決算を歓迎しつつも、米中当局の動きには注意を払っておく必要があるだろう。
(小林大純)
<AK>