新型コロナ第4波で一層のガイダンスリスク、下値模索継続か
[21/04/21]
提供元:株式会社フィスコ
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後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;28462.20;-638.18TOPIX;1884.46;-41.79
[後場の投資戦略]
直近の日本株の米国株対比での軟調さの背景には、新型コロナワクチン接種比率の歴然とした遅れなどが指摘されていた。そうした中、大阪府が3度目の緊急事態宣言の発出を要請し、東京都でも要請の方向と伝わっている。景気回復シナリオが腰折れしかねないとの懸念から、投資家心理が急速に悪化している。
加えて、米国でも渡航禁止を勧告する「レベル4」の対象国を大幅に増やす方向となり、世界的な経済活動再開の動きに冷や水を浴びせかねないとの懸念から、米国を含め海外市場の株式市場も大きく下落している。世界のグローバル景気敏感株とも言われる日本株にとっては更なる重し材料だろう。
また、前日の前場の東証株価指数(TOPIX)の下落率が1.25%だったにもかかわらず、日本銀行による上場投資信託(ETF)買いが実施されなかったことで、政策不透明感による下値不安も強まっているようだ。
これまで、国内外ともにまもなく本格化してくる主力企業決算を控えての様子見ムードが支配的な相場が続き、指数は上にも下にも動きにくい状態が続いていた。そうした中でも、どちらかと言えば、決算を確認後、再度上を目指す相場展開を想定していた市場関係者が多かったように見えた。ただ、先日の安川電機<6506>の決算とそれを受けた同社の株価反応によって、会社計画が市場予想に届かない、または織り込み済みと捉えられやすいガイダンスリスクが意識され始めた。
そうした決算シーズンに対する姿勢が期待から不安に変わりつつあるなか、上述の国内外での新型コロナウイルス第4波が拡大し、保守的な会社計画が出やすいのではないかというガイダンスリスクが一層警戒される悪循環につながってしまった。
先物市場に目を向けてみると、週初19日には日経平均先物の手口で、シティグループのほか商品投資顧問(CTA)などの短期筋の動きと思われるクレディ・スイス証券が差し引き1000枚以上の売り越しで久々に存在感を示していた。前日20日の日経平均は600円近い急落となったが、東証1部の売買高は10億株を下回り、売買代金も2兆3000億円と値幅のわりにはそこまで商いが膨らんでいなかった。その20日の日経平均先物手口をみると、19日に続き、クレディ・スイス証券が差し引き1000枚超の売り越しとなっていた。日経平均先物の日中取引の売買高は前週からしばらくの間2万枚程度の薄商いが続いていたが、前日は4万枚とほぼ倍増していた。先物主導での仕掛け的な売りが相場の下落に拍車をかけた背景が窺える。
その、CTAの動向に関してだが、市場では、CTAの日本株ロングポジションは直近で4割ほどに圧縮されてきているとの指摘が聞かれた。過去の傾向としては、4割程度の水準にまで圧縮した後は様子見になることが多かったとのこと。ポジションのコストは日経平均で28700円前後、29000円割れでは追加の売り、30000円抜けであれば改めての買い出動という方針のもと動くのではないかとの想定がされていた。本日は、この29000円を大きく割り込んで始まったことで、CTAによる仕掛け的な先物売りが改めて相場の下落基調に拍車をかけていると思われる。先物とともに現物の日経平均も29000円どころか28500円まで割り込んできてしまっているため、目先は28000円までの突っ込みも警戒しておく必要がありそうだ。
今後の決算シーズンを挟んで、相場は足元の下落基調が止まり再度上に行くのか、それとも更なる下落相場の始まりとなるのか、市場関係者は今後の方向感に警戒を抱いている。そうした中、東京証券取引所が20日に発表した16日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は3兆1976億円と、9日申し込み時点に比べて304億円増えたとのこと。2018年7月6日時点(3兆2191億円)
以来、およそ2年9カ月ぶりの大きさになったという。信用買い残が高水準に溜まり、本日までの大幅下落で指数の高値圏でのしこりが生まれている今、筆者はやや下値不安が強い気がしている。仮に下値模索とはならずとも、上値の重い状態が続きそうだと見ておきたい。
<AK>
日経平均;28462.20;-638.18TOPIX;1884.46;-41.79
[後場の投資戦略]
直近の日本株の米国株対比での軟調さの背景には、新型コロナワクチン接種比率の歴然とした遅れなどが指摘されていた。そうした中、大阪府が3度目の緊急事態宣言の発出を要請し、東京都でも要請の方向と伝わっている。景気回復シナリオが腰折れしかねないとの懸念から、投資家心理が急速に悪化している。
加えて、米国でも渡航禁止を勧告する「レベル4」の対象国を大幅に増やす方向となり、世界的な経済活動再開の動きに冷や水を浴びせかねないとの懸念から、米国を含め海外市場の株式市場も大きく下落している。世界のグローバル景気敏感株とも言われる日本株にとっては更なる重し材料だろう。
また、前日の前場の東証株価指数(TOPIX)の下落率が1.25%だったにもかかわらず、日本銀行による上場投資信託(ETF)買いが実施されなかったことで、政策不透明感による下値不安も強まっているようだ。
これまで、国内外ともにまもなく本格化してくる主力企業決算を控えての様子見ムードが支配的な相場が続き、指数は上にも下にも動きにくい状態が続いていた。そうした中でも、どちらかと言えば、決算を確認後、再度上を目指す相場展開を想定していた市場関係者が多かったように見えた。ただ、先日の安川電機<6506>の決算とそれを受けた同社の株価反応によって、会社計画が市場予想に届かない、または織り込み済みと捉えられやすいガイダンスリスクが意識され始めた。
そうした決算シーズンに対する姿勢が期待から不安に変わりつつあるなか、上述の国内外での新型コロナウイルス第4波が拡大し、保守的な会社計画が出やすいのではないかというガイダンスリスクが一層警戒される悪循環につながってしまった。
先物市場に目を向けてみると、週初19日には日経平均先物の手口で、シティグループのほか商品投資顧問(CTA)などの短期筋の動きと思われるクレディ・スイス証券が差し引き1000枚以上の売り越しで久々に存在感を示していた。前日20日の日経平均は600円近い急落となったが、東証1部の売買高は10億株を下回り、売買代金も2兆3000億円と値幅のわりにはそこまで商いが膨らんでいなかった。その20日の日経平均先物手口をみると、19日に続き、クレディ・スイス証券が差し引き1000枚超の売り越しとなっていた。日経平均先物の日中取引の売買高は前週からしばらくの間2万枚程度の薄商いが続いていたが、前日は4万枚とほぼ倍増していた。先物主導での仕掛け的な売りが相場の下落に拍車をかけた背景が窺える。
その、CTAの動向に関してだが、市場では、CTAの日本株ロングポジションは直近で4割ほどに圧縮されてきているとの指摘が聞かれた。過去の傾向としては、4割程度の水準にまで圧縮した後は様子見になることが多かったとのこと。ポジションのコストは日経平均で28700円前後、29000円割れでは追加の売り、30000円抜けであれば改めての買い出動という方針のもと動くのではないかとの想定がされていた。本日は、この29000円を大きく割り込んで始まったことで、CTAによる仕掛け的な先物売りが改めて相場の下落基調に拍車をかけていると思われる。先物とともに現物の日経平均も29000円どころか28500円まで割り込んできてしまっているため、目先は28000円までの突っ込みも警戒しておく必要がありそうだ。
今後の決算シーズンを挟んで、相場は足元の下落基調が止まり再度上に行くのか、それとも更なる下落相場の始まりとなるのか、市場関係者は今後の方向感に警戒を抱いている。そうした中、東京証券取引所が20日に発表した16日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は3兆1976億円と、9日申し込み時点に比べて304億円増えたとのこと。2018年7月6日時点(3兆2191億円)
以来、およそ2年9カ月ぶりの大きさになったという。信用買い残が高水準に溜まり、本日までの大幅下落で指数の高値圏でのしこりが生まれている今、筆者はやや下値不安が強い気がしている。仮に下値模索とはならずとも、上値の重い状態が続きそうだと見ておきたい。
<AK>