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決算とともに商品高で重み増す金融政策

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;29047.00;-79.23TOPIX;1909.31;-8.84


[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は米ハイテク株高を追い風に続伸スタートしたものの、その後上値の重い展開となっている。本日ここまでの値幅は140円あまり。日足チャートを見ても、29000円台前半に位置する75日移動平均線手前で一段とこう着感を強めてきた印象だ。東証1部売買代金は1兆1000億円あまりとやや低調で、決算対応と新規上場したテスHDの賑わいを除けば積極的な売買が行われている印象は乏しい。

 主要企業の決算はまずまず良好で、2021年3月期業績の上方修正も相次いでいる。しかし、これまで2月期決算の安川電<6506>を皮切りに、3月期決算発表が始まってからも日本電産やエムスリー<2413>といった注目企業がことごとく急落。本日もキヤノンが朝高後に失速し、住友化は健闘こそしているが高値を取りに行くような動きではない。「既に好業績を織り込んでいる」との見方が強まり、決算反応に神経質にならざるを得ないところだろう。かねて当欄で述べているとおり、人気銘柄は信用買い残の増加や売り方の買い戻し進行が顕著であり、化学などの景気敏感系バリュー(割安)
セクターも株価純資産倍率(PBR)はヒストリカルで見てかなり高いところまで上昇している。住友化は節目の1倍あたりで、売り買いが交錯しやすいところか。

 本日もアドバンテス<6857>、ファナック<6954>、京セラ<6971>などが決算発表を予定しており、連休前の28日と30日も月末とあって主要企業の決算発表が多い。引き続き積極的な買いを手控える向きが多いだろう。

 また、国内外企業の決算発表以外にも今週はイベントが目白押しだ。日米中央銀行の金融政策決定会合(日本が26〜27日、米国が27〜28日)に加え、28日にはバイデン米大統領が就任後初の議会演説を行う。キャピタルゲイン増税案が浮上したことでバイデン氏の演説内容にも注目したいところだが、足元で穀物・非鉄金属などの商品市況が大きく上昇してきたことで、27〜28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が一段と重みを増してくるかもしれない。

 10年ぶり高値を付けた銅はチリの政情不安、大豆やトウモロコシといった穀物は需給ひっ迫が懸念されるなどといった事情もあるようだが、世界的な金融緩和で生み出された膨大なマネーが商品・資産価格を押し上げているのだろう。改めて米国のブレークイーブン・インフレ率(期待インフレ率の指標)を見ると、2.3%台後半と高止まり。インフレ過熱懸念はなおくすぶっている。

 消費者の生活防衛意識が特に強い日本のみならず、米国も給付金が「リベンジ消費」を押し上げているとはいえ、品目ごとの売上の伸びにはばらつきがあり、消費者マインドの基調が強いとも言い切れない。コロナ禍で雇用の不安定さを思い知らされたのだから当然だろう。コストプッシュ型のインフレが到来すれば、消費が冷え込む恐れも十分にある。

 金融政策のかじ取りが難しさを増すなか、日銀や米連邦準備理事会(FRB)からどのような発言が出てくるか注視したい。
(小林大純)


<AK>

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