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イベント通過で早々に29000円台回復だが…

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;29111.41;+562.40TOPIX;1944.93;+33.91


[後場の投資戦略]

 前日のMSCIリバランスを通過し、日経平均は急反発する展開となっている。6000〜7000億円規模の売り需要が発生したとみられていることから、その反動はそれなりに大きいだろう。株価指数への影響が大きい値がさ株や時価総額上位銘柄は揃って堅調。
日経平均の日足チャートを見ると、窓を開けての急伸となり、28600円台半ばに位置する25日移動平均線を一気に上抜けてきた。また、米国では失業保険申請が予想以上に減少し、バイデン氏が大規模予算案を提示する見通しと報じられたこともあって、景気敏感株をけん引役にNYダウが続伸。さらに、日本でも新型コロナワクチンの接種率向上に伴ってサービス業を中心とした景況感改善が期待できるとの指摘があり、OLCなどの上昇が目立っている。本日ここまでの東証1部売買代金は1兆4000億円あまりとまずまず多い。

 前日の当欄で予想したとおり(やや急ではあるが)、日経平均はMSCIリバランスを通過して29000円水準まで値を戻してきた。ただ、3万円近辺まで歩を進めてくるかというと、いまだ慎重な見方であることに変わりはない。当面の上値めどは75日移動平均線の位置する29200円台半ばあたりとみておきたい。

 まず、海外ファンドが景気敏感株の売り持ち調整に動き、NYダウや日経平均の上昇を演出したと考えられる。直近では米経済指標の改善ペースや長期金利の上昇にピークアウト感が漂っていたことなどから、ファンド勢の一角がハイテク株、あるいはより保守的にディフェンシブ株の持ち高増加に動いていたという。バイデン氏の大規模予算案や労働市場の改善がそれにいったん歯止めをかけた格好だろう。

 もっとも、再び景気敏感株の買い持ちにまで傾いてくるとは予想しづらい。来週から6月に入り、5月雇用統計(6月4日)を中心に主要な米経済指標の発表が相次ぐ。ひとまずこれらの内容を見極めたいとの思惑が強まるのは必至だろう。市場では4-6月期ないし7-9月期に米経済指標の改善がピークを迎えるとの見方が多い。他方、仮に経済指標が想定以上に良好な内容だった場合、またぞろ市場は金融・財政政策の過剰修正を迫る動きを見せてくる可能性もある。

 景気敏感色の強い日本株に関しても、海外マクロ系ファンドによる多少の売り持ち調整が生じたとして、積極的な買い持ちにまで傾いてくるとは目先考えにくい。

 東京市場の需給状況も改めて見ておこう。日本取引所グループの発表している投資主体別売買動向を見ると、5月第2〜3週(10〜21日)に外国人投資家は現物株・株価指数先物の合計で1兆5000億円あまり売り越していた。これを吸収したのは第2週に見られた個人投資家の押し目買いと、第3週に見られた投信・生損保・信託銀行の買いだ。
投信・生損保・信託銀行は株価急落に伴い、資産構成比率の修復を目的とした買いを入れたとみられている。

 もっとも、前日の当欄で指摘したとおり、個人投資家はその後の戻り相場で早々に利益確定売り姿勢に転じてきている。投信・生損保・信託銀行も株価回復に伴い、どこかのタイミングでリバランスの売りを出してくるだろう。これらはあくまで「下値を買う投資家」だ。海外マクロ系ファンドなどが日本株の買い持ち姿勢に転じてこないと、なかなか上値は期待しづらい。
(小林大純)


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