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米中株高追い風だが一段の戻り余地は?

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28580.78;+640.36TOPIX;1953.02;+40.64


[後場の投資戦略]

 米長期金利の反発やETF分配金捻出に絡んだ売り一巡とともに、週明けの日経平均は大きく反発して始まった。日足チャートを見ると、窓を開けての急伸で寄り付きから2
8300円台に位置する5日移動平均線を上回ってきた。東証1部銘柄の9割以上が上昇する全面高の展開で、日経平均の+2.29%に対し、東証株価指数(TOPIX)も+2.13%と堅調。ただ、ここまでの東証1部売買代金は1兆2000億円あまりと、値幅の割に膨らんでいる印象はない。新興市場ではマザーズ指数が+0.98%と続伸。反発期待の主力大型株に関心が向いている感はあるが、投資家心理の改善で新興株もしっかりといったところ。

 アジア市場では中国・上海総合指数が上げ幅を広げる展開となっており、日本株にとっても支援材料となりそうだ。中国人民銀行(中央銀行)は9日、中小企業の資金繰り支援のため預金準備率を引き下げると発表。不動産バブル抑制に向けた金融引き締めが警戒されていただけに、一定の安心感につながるだろう。もちろん、安川電の好決算も中国関連株にとって追い風として働いていると考えられる。

 もっとも、先週の日経平均はおよそ843円、直近の3日続落ではおよそ703円下落しており、これらを埋め切るまでには至っていない。米中株高を支えに一段の戻りを試しても、28800円手前に位置する25日移動平均線が目先の上値メドとして意識されやすそうだ。2月高値30714.52円(取引時間中)をピークとした上値切り下げトレンドが続くとの見方に変わりはない。

 まず、先週末こそ米長期金利は反発したものの、3月までの「リフレトレード」で膨らんだヘッジファンドの米国債のショートポジション(売り持ち)は大きく、夏季休暇期で積極的な取引が少なくなっていることもあり、本格的な反転上昇までは期待しにくいだろう。世界経済の減速懸念は続き、景気敏感色の強い日本株にとって逆風となりそうだ。

 また従来、新型コロナウイルスワクチンの普及とともに海外株をキャッチアップする展開を予想していた国内市場関係者らも、東京五輪の無観客開催が決まったことでようやく慎重姿勢に転じてきた。一部の市場関係者は海外投資家とのミーティングで日本株への関心の低さも感じているようだ。

 ネット証券の売買代金ランキングを見ると、先週末にかけて積極的な押し目買いが入った日経レバETF<1570>も、本日早々に利益確定売りが広がっている。戻り売りラインは徐々に切り下がってきており、個人投資家も「まだまだ上値は期待できない」とみていることがよくわかる。

 さて、今週も15日のファーストリテを中心に3-5月期決算発表が残っており、海外では米中の重要経済指標や米金融大手の4-6月期決算発表が予定されている。徐々にこれらの内容を見極めたいとの思惑が強まってくるだろう。
(小林大純)


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