新型コロナ変異株でリスクオフの矢面に
[21/11/26]
提供元:株式会社フィスコ
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後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;28779.63;-719.65TOPIX;1987.47;-38.22
[後場の投資戦略]
前日の米市場が休場だっただけに、朝方は特段の材料なしとの見方が多かったが、そんなムードを吹き飛ばすリスク回避の売りが東京市場を襲った。ソフトバンクGやファーストリテの軟調ぶりと見ると日経平均先物に売りが出ている印象を受けるが、レーザーテックの大幅下落からは個別株にも売りが広がっているとみた方がいいだろう。前日にANAの新株予約権付社債(転換社債)発行で売られた空運株などは弱り目にたたり目と言わざるを得ない。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまり。前日は1日を通じて2兆1145億円と、8月27日以来の低水準だった。米感謝祭明けの本日も取引参加者は少ないだろうが、それにしても値幅の割に売買は膨らんでいない。積極的な押し目買いが入っていない可能性もあるとみておきたい。
新興市場ではマザーズ指数が-1.20%と3日続落。下落率は日経平均(-2.44%)ほど大きくはないが、こちらも前引けにかけて一段と軟化してきた。前日は日経平均が堅調に推移するなか、朝高後に失速する展開となった。前日の売買代金は東証1部とは対照的に、2663億円と2月16日以来の高水準。積極的に押し目買いを入れた個人投資家が押し返されたようにも見受けられる。
なお、市場全体の信用買い残(東名2市場、制度・一般合計)は19日申し込み時点で3兆5793億円と、前の週に比べ1068億円増えた。一方でQUICK社の算出する信用評価損益率は-8.20%(前の週は-7.89%)と4週連続で悪化。前日からのマザーズの動向を見ていると、一段の損益悪化と個人投資家の資金余力低下も懸念される。
さて、日本時間の早朝に南アの新型コロナ変異株に関するニュースが伝わり、東京市場はリスクオフの矢面に立ってしまった感はある。とはいえ、過剰反応などと楽観視すべきでもないだろう。国内の感染状況が落ち着いているだけにイメージしづらいだろうが、欧州で感染者が過去最多ペースにあるなど、世界的にはむしろ懸念が強まっている状況にある。ひとまず南ア変異株に関する詳細な情報を待ちたいところだ。
また、仮に今回の変異株への懸念が一時的なものにとどまったとしても、前日の当欄で指摘したとおり、改めて米金融政策の正常化加速を巡る思惑が相場に重くのしかかるだろう。米金融大手ゴールドマン・サックスは米パウエル連邦準備理事会(FRB)
が量的緩和の縮小(テーパリング)を加速し、さらに来年は3回の利上げに踏み切るとの予想を示しているようだ。ほかにも利上げ前倒しを見込む声が有力投資家などから挙がっており、やはり次回12月14〜15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで積極的な買いは手掛けられにくくなるかもしれない。
(小林大純)
<AK>
日経平均;28779.63;-719.65TOPIX;1987.47;-38.22
[後場の投資戦略]
前日の米市場が休場だっただけに、朝方は特段の材料なしとの見方が多かったが、そんなムードを吹き飛ばすリスク回避の売りが東京市場を襲った。ソフトバンクGやファーストリテの軟調ぶりと見ると日経平均先物に売りが出ている印象を受けるが、レーザーテックの大幅下落からは個別株にも売りが広がっているとみた方がいいだろう。前日にANAの新株予約権付社債(転換社債)発行で売られた空運株などは弱り目にたたり目と言わざるを得ない。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまり。前日は1日を通じて2兆1145億円と、8月27日以来の低水準だった。米感謝祭明けの本日も取引参加者は少ないだろうが、それにしても値幅の割に売買は膨らんでいない。積極的な押し目買いが入っていない可能性もあるとみておきたい。
新興市場ではマザーズ指数が-1.20%と3日続落。下落率は日経平均(-2.44%)ほど大きくはないが、こちらも前引けにかけて一段と軟化してきた。前日は日経平均が堅調に推移するなか、朝高後に失速する展開となった。前日の売買代金は東証1部とは対照的に、2663億円と2月16日以来の高水準。積極的に押し目買いを入れた個人投資家が押し返されたようにも見受けられる。
なお、市場全体の信用買い残(東名2市場、制度・一般合計)は19日申し込み時点で3兆5793億円と、前の週に比べ1068億円増えた。一方でQUICK社の算出する信用評価損益率は-8.20%(前の週は-7.89%)と4週連続で悪化。前日からのマザーズの動向を見ていると、一段の損益悪化と個人投資家の資金余力低下も懸念される。
さて、日本時間の早朝に南アの新型コロナ変異株に関するニュースが伝わり、東京市場はリスクオフの矢面に立ってしまった感はある。とはいえ、過剰反応などと楽観視すべきでもないだろう。国内の感染状況が落ち着いているだけにイメージしづらいだろうが、欧州で感染者が過去最多ペースにあるなど、世界的にはむしろ懸念が強まっている状況にある。ひとまず南ア変異株に関する詳細な情報を待ちたいところだ。
また、仮に今回の変異株への懸念が一時的なものにとどまったとしても、前日の当欄で指摘したとおり、改めて米金融政策の正常化加速を巡る思惑が相場に重くのしかかるだろう。米金融大手ゴールドマン・サックスは米パウエル連邦準備理事会(FRB)
が量的緩和の縮小(テーパリング)を加速し、さらに来年は3回の利上げに踏み切るとの予想を示しているようだ。ほかにも利上げ前倒しを見込む声が有力投資家などから挙がっており、やはり次回12月14〜15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで積極的な買いは手掛けられにくくなるかもしれない。
(小林大純)
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