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ロシア強硬姿勢に「あく抜け期待」も続かず?

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;26327.90;-582.97TOPIX;1877.01;-33.67


[後場の投資戦略]

 ロシアが親ロ派地域の独立承認に踏み切ったことでウクライナ情勢への懸念が一段と強まり、本日の日経平均は600円近い下落で前場を折り返した。日足チャートを見ると、27200円台に位置する25日移動平均線水準を一段と下振れ、ボリンジャーバンドの-2σの下限割れまで突っ込んでいる。個別・業種別では、第一三共がけん引役となっている医薬品、地政学リスクの高まりが原油の先高観につながっている鉱業を除き全般軟調。ただ、リクルートHDなどグロース(成長)株の一角にも買いが入っている。前引けの日経平均が-2.17%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-1.76%。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまりとさほど多くない。なお、前日は1日を通じ2兆3068億円と今年最低だった。

 新興市場ではマザーズ指数が-1.42%と4日続落。連日で取引時間中の昨年来安値を更新しているが、こちらは朝方プラスに転じる場面があった。前引け時点でもメルカリ<4385>やサンバイオ<4592>が堅調で、FRONTEO<2158>も小幅ながらプラスを確保。本日マザーズ市場に新規上場したCaSy<9215>は公開価格比+48.2%という初値を付けた。ただ、前引けでは初値比-22.6%。前の週に上場したエッジテクノロジ<4268>も初値高の反動がきつい。

 一部のグロース銘柄に買いが入っていることについては、地政学リスクの高まりを受けて米金融引き締めを織り込む動きが和らぎ、米長期金利が低下するとの思惑などが背景にあるようだ。また、ウクライナ問題を巡るロシアの狙いがある程度見えてきたとして、あく抜けに期待する声も聞かれる。

 しかし、マザーズ市場などは個人・外国人といった純投資家が取引主体のため、市場センチメントの影響を受けやすい面もある。特に個人投資家は過去の市場動向を見ても地政学リスクに敏感であることがわかる。IPO(新規株式公開)銘柄の値動きに象徴されるように、投資資金の逃げ足の速さに注意する必要があるだろう。

 また、ロシアは北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を受け、緩衝地帯を設けるために西側諸国との対立も辞さないことが浮き彫りになったと言える。既にロシアのプーチン大統領は今回独立承認した地域への軍派遣を指示したと伝わっているが、ロシアに隣接するウクライナ東部の他地域でも火種がくすぶりそうだ。プーチン大統領には「NATO東方不拡大の約束が反故にされた」との思いがあると指摘されており、対話による解決は容易でないだろう。

 香港ハンセン指数、また時間外取引でのNYダウ先物などは揃って大幅に下落。為替市場ではドル・円相場が朝方に一時1ドル=114.50円近辺まで下落してからやや戻したが、足元弱含みで推移している。前引けでのTOPIX下落率が2%に届かず、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ実施への期待も持てない。やはり金融市場全体にリスク回避的なムードが広がっており、後場の日経平均も軟調な展開になるとみておきたい。
(小林大純)


<AK>

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