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金利低下でもグロース株買いは控えるべき?

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;26198.79;-501.32TOPIX;1853.36;-25.15


[後場の投資戦略]

 日経平均は値幅を伴った下落で、日足のローソク足では窓アケを形成。下向きの5日移動平均線からは大きく下放れた。日足一目均衡表でも雲下限を下放れてきている。
売買代金は1超4000億円程と、前日までに比べてやや膨らんでいるが、値幅の割にはさほど大きくない。値がさのハイテク・グロース(成長)株の下落が指数の下げを主導しているようだ。

 前日のナスダックやフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の大幅下落を受けて、東京市場でも半導体関連などのハイテク株の下落が目立つ。一方、ナブテスコ<6268>が6%安と急落するなど、中国関連株の一角の下落が厳しく、景気減速懸念も根強い様子。本日買われているのは前日に下落率が大きかった海運や鉱業といった市況関連株くらい。これらは、前日の下落を受けて押し目買いが入りやすいところに、ロシアによる天然ガス供給を巡る報道が伝わったことで、改めて需給逼迫の思惑の強まりが追い風となったようだ。

 前日の米国市場では、安全資産である国債が買われ、金利が幅広い年限で大幅に低下するなか、株式には広く売りが広がり、典型的なリスクオフムードの様相となった。「恐怖指数」の呼び名を持ち、将来の株価変動率を表すVIX指数は33.52(+6.50、+24.05%)と急騰し、警戒水準とされる30を大幅に上回った。

 金利が低下するなかでも、ナスダックやSOXの下落率は4%前後と、NYダウの2.3%を大きく上回り、両指数ともに今年に入ってからの安値を更新した。景気減速懸念が強まるなかでも、先週のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演での発言から、金融引き締めペースの後退や再緩和への転換は当面期待しにくいとの見方に変わりつつあることが、こうしたハイテク・グロース株の急落の背景にありそうだ。

 実際、インフレ懸念はむしろ強まっている。前日は、ロシア産の天然ガス供給を巡る報道で商品市況の需給逼迫への警戒感が再び高まると同時に、住宅価格指標の上振れが目立った。米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した2月FHFA住宅価格指数は前月比+2.1%と、1月の+1.6%からの鈍化予想に反して拡大し、過去最大を記録。同時刻に発表された2月S&PコアロジックCS20都市住宅価格指数は前年比+20.20%と、1月の+18.94%から予想以上に拡大し、こちらも過去最大となった。ロシアが今後、欧州などに対しても天然ガスの供給停止を再び迫るのか不透明感がくすぶり、商品市況の一段の先高観は拭えない。同時に下方硬直性のある住宅分野での価格指標の上振れも相まって、FRBはますますインフレを抑え込むことに躍起となりそうだ。

 むろん、今回発表された住宅価格の指標は1月分でやや情報が古い。足元では米国で住宅ローン金利が大幅に上昇してきており、住宅販売価格も沈静化する兆候が見られている。しかし、それでも、パウエル議長は先週、「インフレはピークアウトした可能性があるが、それは当てにできない」とし、不確かな見通しよりも実績のデータに基づいて政策運営する姿勢を見せた。そのため、今回の住宅価格指標の上振れを軽視することはできない。この先も引き締め懸念は根強くつきまとうだろう。「金利低下故のハイテク・グロース株買い」という安易な投資戦略は危うさを伴いそうだ。

 米国市場の取引終了後、注目のマイクロソフトとアルファベットが決算を発表した。結果と株価反応はまちまちで、投資家心理の改善には繋がりにくい形となった。
今晩には2月に“メタショック”を引き起こした、Facebookなどソーシャルネットワークサービスを運営するメタ・プラットフォームズの決算が控えている。ネットフリックスのような急落劇を再び引き起こすようなことがあると、ゴールデンウイークの連休入り前、最後の取引となる明日の東京市場では一段と売りが広がりかねない。

 急落した直後の今晩の米国市場の動向も含めて、結果を見極めたいの思惑が広がりやすく、後場の日経平均は下げ渋っても、戻りは鈍く、時間外取引の米株価指数先物やアジア市況の動き次第では、再び26000円に向けた下押しが警戒されよう。
(仲村幸浩)


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