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テクノロジー株にはもう一段の調整の覚悟が必要か?

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;26713.08;-35.06TOPIX;1878.33;+0.07


[後場の投資戦略]

 本日の東京市場では、日経平均や東証株価指数(TOPIX)は底堅い動きとなっている。前日のナスダックの大幅反落については、写真・動画共有アプリの米スナップの急落が主因だが、当該情報は昨日の東京時間において伝わっており、既に織り込み済みだったため、影響は限定的だった。

 一方、気になるのは本日も大幅に下落しているマザーズ指数や中小型グロース株の動きだ。マザーズ指数は前日も大きく下げていたが、それは、上述したようにスナップの決算を受けた急落を背景に、時間外取引のナスダック100先物が大きく下落していたからだ。しかし、本日はそうした米グロース株安を既に前日時点で織り込み済みにも関わらず、大きめの下落となっている。スナップの株価は前日43%も下落しており、確かに、時間外取引での下落率を大きく上回っているため、完全には織り込めていなかったとも言える。ただ、ナスダックの前日の下落率は2%台で、前日の東京時間におけるナスダック100先物の時間外取引における下落率と大して変わらない。

 旧マザーズ銘柄ではメルカリ<4385>が連日で年初来安値を更新しているほか、JTOWER<4485>やBASE<4477>なども連日で大幅に下落。また、旧マザーズ以外の東証プライム銘柄でも、中小型グロース株の代表格であるSHIFT<3697>のほか、SREHD<2980>などが連日で急落している。三井ハイテックや時価総額の大きいリクルートHD<6098>といった主力株でも連日で弱い動きが見られるのも気掛かりだ。今の投資家のハイテク・グロース株に対する見方を表しているかのようだ。

 米10年物の国債利回りや期待インフレ率が低下基調にあること、先週末からハト派転換を示唆し始めた米連邦準備制度理事会(FRB)高官らの発言などを背景に、短期的にはグロース株のリバウンド局面が到来すると考えていたが、時期尚早だったようだ。

 先週公表されたバンク・オブ・アメリカ(BofA)が実施した5月の機関投資家調査によると、投資家が保有する現金の比率は2001年9月以来の高水準に達したことが判明。
また、年始からの株価下落が目立つテクノロジー株のアンダーウエートの度合いは2006年以降で最大になったという。これだけを見ると、グロース株の売りも目先一巡との考えが浮かぶ。

 しかし、同調査によると、当該時点での機関投資家のポートフォリオに占める株式比率は平均63%だった。この比率は新型コロナウイルス危機が発生した2020年春(54%)や欧州債務危機の2011年秋(48%)、リーマンショックの2008年秋(39%)などに比べて依然高いことが指摘されており、買い方が完全に降伏する状況には至っていないとも言われている。

 むろん、現在の世界経済については確かに景気減速や景気後退りへの懸念が強まっているとはいえ、コロナショックなど過去の大規模な危機が起きた当時とは全く状況が異なり、これらと並べて語るのには違和感があろう。しかし、1970年代のオイルショック以来経験したことがない程の高インフレや、過去に経験したことのない急速なペースで実施される量的緩和策の引き締めなどを同時に迎えつつあるという意味では、今もかなり厳しい状況であることには変わりはない。

 そうした観点から考えれば、今の状況から、もう一段のきつい調整が株式市場を待っている可能性はあり、それが実際に起きるのだとすれば、今年最もパフォーマンスの悪いテクノロジー株がもう一段下げる可能性は否定できないだろう。赤字が継続している企業や黒字でもバリュエーションが依然として高すぎるようなハイパーグロース株については論外だが、筆者としては、上述したSHIFTやSREHDなどのような高クオリティかつヒストリカルで見てバリュエーション調整が相当に進んだものについては、長期目線では既に投資妙味が出てきたと考えている。ただ、1年以上も持っていられないような短期目線の投資家については、まだまだこうしたテクノロジー株には手を出すべきタイミングではないと言えそうだ。

 午後の日経平均は前日終値を挟んだもみ合いが想定される。今晩の米国市場では5月3-4日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表されるほか、半導体大手エヌビディアの決算などが予定されており、注目イベントが多い。これらを見極めたいとの思惑から、積極的な売買は手控えられると考えられる。
(仲村幸浩)


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