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利上げの影響は今後不動産市場に影響与える?

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;27471.17;+85.92TOPIX;1963.26;+7.94


[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は、米株高の流れを受けてやや買いが先行。ただ、過度な金融システム不安が和らいだとはいえ、引き続き市場の様子見ムードは根強いことから、積極的な動きは限定的となっている。

 一方、新興市場は軟調な展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタートした後、マイナス圏での軟調な展開が続いている。欧米で銀行の経営不安がくすぶっており外部環境の不透明感が強い点は引き続き個人投資家心理の重しとなった。また、新興市場では新規株式公開(IPO)ラッシュが始まっており、既存の新興銘柄には換金売り圧力としてマイナスに作用している可能性がある。前引け時点での東証マザーズ指数は0.34%安、東証グロース市場Core指数は0.59%安となった。

 さて、直近の株式市場はやや堅調に推移している。まず、米連邦準備制度理事会(FRB)が米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻を受けて新設した緊急融資枠の利用が、前週比4.5倍の536億ドル(約7兆円)に増加したと発表。緊急融資は、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を担保に最長1年の資金を提供するため、借り入れする金融機関にとっては経営の安定化につながる。これが金融不安を和らげる効果となった。

 また、「銀行への一時的な融資によるもの」という理由でFRBのバランスシートは直近で上昇している。さらに、日米欧の6中央銀行は前週に中銀が協調して市場へのドル供給を強化すると発表、ドルを1週間の期間で市場に供給する公開市場操作(オペ)の回数を週次から日次に増やすことで合意した。少なくとも4月末まで継続する予定で、市場にドルが供給されることになった。そのほか、パウエル議長が利上げサイクルの終了に近づいたことを示唆したことも個人投資家心理を改善させる要因となった。

 一方、銅価格が再度上昇しており、今後の物価高には注意する声もある。パウエル議長も年内の利下げを見込んでいないとも発言しており、積極的に買い進む動きにはなっていない。ただ、現状は株価を押し上げる要因の方が強く、やや右肩上がりの上昇につながっている可能性がある。

 そのほか、米銀行破綻に続いて不動産市場への警戒も強まっており、金利引き上げによる最も深刻な影響が出るのは不動産市場という声も聞かれている。住宅ローン金利の高騰により不動産需要が激減、中でも欧州の不動産市場が心配されているようだ。金利上昇で不動産市場が不調となり、不動産が元になっている取引が多いクレジット市場が混乱し、負の連鎖が世界の金融市場全体に波及する想定である。欧州市場の金利は14年ぶりの高水準となっているなか、欧州中央銀行(ECB)はさらに0.5%の利上げを決定していた。これらが不動産市場にさらなるストレスがかかるのは確実とみられており、今後上述の負の連鎖が欧州市場から始まる可能性があるという。

 さて、今後も先行き不透明感はくすぶるだろうが、金融システム不安についてのピークは過ぎたとみられている。株式市場は、4月末まではやや底堅い動きとなる可能性があるが、5月以降は想定外の動きが出てくる可能性があろう。筆者は、目先は底堅い動きを想定し、長期的には欧州不動産市場の動向や金融不安などの再燃、更なるネガティブ材料の浮上によって株価が下落するシナリオを想定して相場を見守っている。
前週月曜日の当欄で紹介したが、既存金融システムを警戒する投資家は暗号資産ビットコインをポートフォリオに組み込むか一考する必要があるだろう。後場の日経平均は、プラス圏での推移が続くか。個別材料株への物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)


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