半導体の牽引なくとも物色広がりでカバー
[23/04/18]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;28675.32;+160.54TOPIX;2042.26;+15.29
[後場の投資戦略]
本日の東京市場は全般買い優勢の展開。金融システム不安の影響が警戒されていた米中堅銀行の決算が概ね予想通りだったほか、米ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想外にプラスに改善したことで、景気後退懸念が緩和。投資家心理が改善している中、為替の円安・ドル高の進展も日本株の追加の支援材料になっている。
米金融サービスのチャールズ・シュワブの1−3月期の調整後1株利益は予想を上回った。銀行預金の流出規模が市場予想にほぼ一致した一方で、投資商品には引き続き顧客資金が流入していることが明らかになり、安心感を誘った。米地銀のM&Tバンクも1−3月期決算で1株利益が予想を上回ったほか、企業買収後の純利益が倍増したことなどが好感された。
こうした中、日経平均は3月9日高値28734.79円に迫る水準まで上昇してきた。今日も上昇で終えれば8日続伸となる。日足一目均衡表では三役好転を示現している。遅行線は応当日株価の下落で強気シグナルを増す方向にある一方、転換線は上向きを継続、横ばいが続いていた基準線も上向きに転じ、テクニカルな視点からは強気な形状が整ってきている。
東京市場での物色動向からも地合いの改善が窺える。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の追加投資報道を契機に勢いづいている商社株は前日の軽めの利益確定売りを挟んで本日は買いが再燃し、三井物産<8031>は上場来高値を更新。商社以外でもGX(グリーン・トランスフォーメーション)などの分野で評価の高い日立製作所<6501>
が年初来高値を更新している。
為替の円安・ドル高や米長期金利の反発基調などを背景にここのところ元気のなかった自動車株や銀行株にも強い動きが見られており、ほか、通信や小売り、食料品など内需系の銘柄も堅調だ。
新規株式公開(IPO)ラッシュに伴う換金売り圧力などで上値の重かった新興市場でも物色の裾野が広がっている様子。宇宙ベンチャーのispace<9348>が上場以降負けなしの大躍進を続けているほか、VTuberビジネスを展開するカバー<5253>もしばらく軟調な展開だったが、週明けからは騰勢を強めている。
また、好決算を材料にFPパートナー<7388>、グッピーズ<5127>など2022年のIPO組でも上場来高値を更新する銘柄が散見されている。他にも、会社リリースなどを材料に強い動きを見せている銘柄が多く見られており、直近IPO以外の銘柄にも物色が広がっているあたり、個人投資家のセンチメントも良好のようだ。
一方、台湾積体電路製造(TSMC)の設備投資計画の下方修正が報じられていることもあり、4月に入ってから主役の座を他に明け渡している半導体株は軟調が続いている。本日も半導体株だけの下落が目立っているような状況で、東エレク<8035>などは75日移動平均線を割り込んできている。
しかし、指数インパクトの大きい半導体関連株の軟調が続いている中でも、日経平均が連騰劇を保ち、直近高値の更新を窺うまでの動きを見せていることはポジティブに捉えられる。半導体株が復活しない限り、指数の上昇には限界があるとも考えられていたが、主役が入れ替わることで資金が上手く循環しているようだ。
一方、米金融決算に話は戻るが、金融資産の管理などを手掛けるステート・ストリートは対照的に1−3月期決算で1株利益が予想を下回り、株価は大幅に下落した。市場予想に反して投資商品への資金フローは純流出となり、4−6月期も純流出が続く可能性が指摘された。
また、日経平均は記録的な連騰を見せているが、この間、東証プライム市場の売買代金は盛り上がりに欠けており、相場のムードが強いとは自信を持って言い切れない。日米ともに今後本格化する企業決算を見極めたいとの思惑が強く、様子見ムードの中、足元は悲観の後退でひとまず買いが優勢になっているに過ぎないともいえる。
弱気になり過ぎるのも強気に傾き過ぎるのも今は得策ではないと思われ、日々の材料を一つ一つ慎重に分析していくしかなさそうだ。
なお、今晩は米国でゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、ネットフリックスなどの企業決算などが発表予定だ。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;28675.32;+160.54TOPIX;2042.26;+15.29
[後場の投資戦略]
本日の東京市場は全般買い優勢の展開。金融システム不安の影響が警戒されていた米中堅銀行の決算が概ね予想通りだったほか、米ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想外にプラスに改善したことで、景気後退懸念が緩和。投資家心理が改善している中、為替の円安・ドル高の進展も日本株の追加の支援材料になっている。
米金融サービスのチャールズ・シュワブの1−3月期の調整後1株利益は予想を上回った。銀行預金の流出規模が市場予想にほぼ一致した一方で、投資商品には引き続き顧客資金が流入していることが明らかになり、安心感を誘った。米地銀のM&Tバンクも1−3月期決算で1株利益が予想を上回ったほか、企業買収後の純利益が倍増したことなどが好感された。
こうした中、日経平均は3月9日高値28734.79円に迫る水準まで上昇してきた。今日も上昇で終えれば8日続伸となる。日足一目均衡表では三役好転を示現している。遅行線は応当日株価の下落で強気シグナルを増す方向にある一方、転換線は上向きを継続、横ばいが続いていた基準線も上向きに転じ、テクニカルな視点からは強気な形状が整ってきている。
東京市場での物色動向からも地合いの改善が窺える。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の追加投資報道を契機に勢いづいている商社株は前日の軽めの利益確定売りを挟んで本日は買いが再燃し、三井物産<8031>は上場来高値を更新。商社以外でもGX(グリーン・トランスフォーメーション)などの分野で評価の高い日立製作所<6501>
が年初来高値を更新している。
為替の円安・ドル高や米長期金利の反発基調などを背景にここのところ元気のなかった自動車株や銀行株にも強い動きが見られており、ほか、通信や小売り、食料品など内需系の銘柄も堅調だ。
新規株式公開(IPO)ラッシュに伴う換金売り圧力などで上値の重かった新興市場でも物色の裾野が広がっている様子。宇宙ベンチャーのispace<9348>が上場以降負けなしの大躍進を続けているほか、VTuberビジネスを展開するカバー<5253>もしばらく軟調な展開だったが、週明けからは騰勢を強めている。
また、好決算を材料にFPパートナー<7388>、グッピーズ<5127>など2022年のIPO組でも上場来高値を更新する銘柄が散見されている。他にも、会社リリースなどを材料に強い動きを見せている銘柄が多く見られており、直近IPO以外の銘柄にも物色が広がっているあたり、個人投資家のセンチメントも良好のようだ。
一方、台湾積体電路製造(TSMC)の設備投資計画の下方修正が報じられていることもあり、4月に入ってから主役の座を他に明け渡している半導体株は軟調が続いている。本日も半導体株だけの下落が目立っているような状況で、東エレク<8035>などは75日移動平均線を割り込んできている。
しかし、指数インパクトの大きい半導体関連株の軟調が続いている中でも、日経平均が連騰劇を保ち、直近高値の更新を窺うまでの動きを見せていることはポジティブに捉えられる。半導体株が復活しない限り、指数の上昇には限界があるとも考えられていたが、主役が入れ替わることで資金が上手く循環しているようだ。
一方、米金融決算に話は戻るが、金融資産の管理などを手掛けるステート・ストリートは対照的に1−3月期決算で1株利益が予想を下回り、株価は大幅に下落した。市場予想に反して投資商品への資金フローは純流出となり、4−6月期も純流出が続く可能性が指摘された。
また、日経平均は記録的な連騰を見せているが、この間、東証プライム市場の売買代金は盛り上がりに欠けており、相場のムードが強いとは自信を持って言い切れない。日米ともに今後本格化する企業決算を見極めたいとの思惑が強く、様子見ムードの中、足元は悲観の後退でひとまず買いが優勢になっているに過ぎないともいえる。
弱気になり過ぎるのも強気に傾き過ぎるのも今は得策ではないと思われ、日々の材料を一つ一つ慎重に分析していくしかなさそうだ。
なお、今晩は米国でゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、ネットフリックスなどの企業決算などが発表予定だ。
(仲村幸浩)
<AK>