米IT大手決算は堅調も景気後退懸念さらに強まる
[23/04/26]
提供元:株式会社フィスコ
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後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;28469.08;-150.99TOPIX;2027.86;-14.29
[後場の投資戦略]
久々の米株市場の大幅下落を受けて、東京市場でも全般売り優勢の展開となっている。米地銀のファースト・リパブリック・バンクが1000億ドルの資産売却を検討していると報じられ、同社株は一時50%急落、金融システム不安が再燃したことが主な背景だ。ただ、前日に発表された米経済指標が軒並み低調だったことも景気後退懸念を強め、投資家心理の悪化につながっているようだ。
米4月リッチモンド連銀製造業指数はマイナス10と3月(マイナス5)から大きく悪化し、市場予想(マイナス8)を下回った。フィラデルフィア連銀製造業景況指数やダラス連銀製造業活動指数に続く悪化となり、製造業の景況感悪化が増してきていることが窺える。
4月コンファレンスボード消費者信頼感指数は101.3と3月(104.0)から悪化し、市場予想(104.0)を下回った。現況指数は前月から横ばいも、先行きを示す期待指数は68.1と3月(73.0)から悪化した。また、4月フィラデルフィア連銀非製造業(サービス業)景況指数はマイナス22.8と3月(マイナス12.8)から大幅に悪化した。製造業の落ち込みを堅調なサービス業が相殺することで米経済の底堅さが続いてきたが、サービス業にも悪化の兆候が出てきているようだ。
一方、本日の東京市場での主要株価指数の下落率は前日の米国市場に比べて軽微にとどまっており、日経平均は心理的な節目である28500円を維持しようとする踏ん張りも見られている。米市場の取引終了後に発表されたIT大手のマイクロソフトとアルファベットの決算が総じて予想を上回り、時間外取引でそれぞれ上昇していることが安心感を誘ったとみられる。両社ともに事業全般に底堅さが確認されたことは素直にポジティブに捉えられよう。
また、ファースト・リパブリック・バンクの件で金融不安が再燃しているが、取引終了後に発表された米地銀のパックウエストの決算は予想を上回り、懸念された預金額については3月末からは増加したと発表し、こちらも時間外取引で株価は急伸。これが再燃した金融不安が連鎖的に波及することを抑止することに寄与しているようだ。
しかし、株価指数から目を離して個別の物色動向をみると先行き警戒感も解きにくい。マイクロソフトとアルファベットの決算が堅調だったほか、景気後退懸念に伴う金利先高観の後退で米長期金利が大幅に低下しているにもかかわらず、本日の東京市場ではグロース株の下落が特に大きく、景気敏感株の下落以上に目立っている。指数をみても、日経平均や東証株価指数(TOPIX)が底堅さを見せている一方、マザーズ指数、東証グロース市場指数は大きく下落している。
グロース市場といえば、宇宙ベンチャーとして新規上場して間もないispace<9348>
の月面着陸が失敗に終わった可能性が高いと伝わっていることは残念と言わざるを得ない。同社株は新規上場後は上値追いの展開となっていたが、民間企業で世界初の月面着陸として高まっていた期待が失望に変わっただけに、本日はストップ安売り気配で値付かずとなっている。東証スタンダード市場の話にはなるが、直近ではAbalance<
3856>、アースインフィニティ<7692>といった個人投資家の間で人気化していた銘柄が大きく売られる動きが目立っている。今回のispaceの件もあり、個人投資家の含み損益の悪化などには注意しておきたい。
関連企業が多く今後の主要企業決算の参考指標として注目されたニデック<6594>の決算も前日説明したように芳しいものとは言えなかった。株価の反応も良くなく、前日は一時4%超上昇も伸び悩んで結局0.9%高で終わった。本日は地合いの悪化もあるが大幅に下落し、2022年初来の長期下落トレンドを脱することはできていない。米主要株価3指数が4月に入ってからのもみ合いを下放れてきていることもあり、目先は慎重になった方がよいだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;28469.08;-150.99TOPIX;2027.86;-14.29
[後場の投資戦略]
久々の米株市場の大幅下落を受けて、東京市場でも全般売り優勢の展開となっている。米地銀のファースト・リパブリック・バンクが1000億ドルの資産売却を検討していると報じられ、同社株は一時50%急落、金融システム不安が再燃したことが主な背景だ。ただ、前日に発表された米経済指標が軒並み低調だったことも景気後退懸念を強め、投資家心理の悪化につながっているようだ。
米4月リッチモンド連銀製造業指数はマイナス10と3月(マイナス5)から大きく悪化し、市場予想(マイナス8)を下回った。フィラデルフィア連銀製造業景況指数やダラス連銀製造業活動指数に続く悪化となり、製造業の景況感悪化が増してきていることが窺える。
4月コンファレンスボード消費者信頼感指数は101.3と3月(104.0)から悪化し、市場予想(104.0)を下回った。現況指数は前月から横ばいも、先行きを示す期待指数は68.1と3月(73.0)から悪化した。また、4月フィラデルフィア連銀非製造業(サービス業)景況指数はマイナス22.8と3月(マイナス12.8)から大幅に悪化した。製造業の落ち込みを堅調なサービス業が相殺することで米経済の底堅さが続いてきたが、サービス業にも悪化の兆候が出てきているようだ。
一方、本日の東京市場での主要株価指数の下落率は前日の米国市場に比べて軽微にとどまっており、日経平均は心理的な節目である28500円を維持しようとする踏ん張りも見られている。米市場の取引終了後に発表されたIT大手のマイクロソフトとアルファベットの決算が総じて予想を上回り、時間外取引でそれぞれ上昇していることが安心感を誘ったとみられる。両社ともに事業全般に底堅さが確認されたことは素直にポジティブに捉えられよう。
また、ファースト・リパブリック・バンクの件で金融不安が再燃しているが、取引終了後に発表された米地銀のパックウエストの決算は予想を上回り、懸念された預金額については3月末からは増加したと発表し、こちらも時間外取引で株価は急伸。これが再燃した金融不安が連鎖的に波及することを抑止することに寄与しているようだ。
しかし、株価指数から目を離して個別の物色動向をみると先行き警戒感も解きにくい。マイクロソフトとアルファベットの決算が堅調だったほか、景気後退懸念に伴う金利先高観の後退で米長期金利が大幅に低下しているにもかかわらず、本日の東京市場ではグロース株の下落が特に大きく、景気敏感株の下落以上に目立っている。指数をみても、日経平均や東証株価指数(TOPIX)が底堅さを見せている一方、マザーズ指数、東証グロース市場指数は大きく下落している。
グロース市場といえば、宇宙ベンチャーとして新規上場して間もないispace<9348>
の月面着陸が失敗に終わった可能性が高いと伝わっていることは残念と言わざるを得ない。同社株は新規上場後は上値追いの展開となっていたが、民間企業で世界初の月面着陸として高まっていた期待が失望に変わっただけに、本日はストップ安売り気配で値付かずとなっている。東証スタンダード市場の話にはなるが、直近ではAbalance<
3856>、アースインフィニティ<7692>といった個人投資家の間で人気化していた銘柄が大きく売られる動きが目立っている。今回のispaceの件もあり、個人投資家の含み損益の悪化などには注意しておきたい。
関連企業が多く今後の主要企業決算の参考指標として注目されたニデック<6594>の決算も前日説明したように芳しいものとは言えなかった。株価の反応も良くなく、前日は一時4%超上昇も伸び悩んで結局0.9%高で終わった。本日は地合いの悪化もあるが大幅に下落し、2022年初来の長期下落トレンドを脱することはできていない。米主要株価3指数が4月に入ってからのもみ合いを下放れてきていることもあり、目先は慎重になった方がよいだろう。
(仲村幸浩)
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