株式市場に明るい兆し見え始めた?
[23/08/30]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;32529.72;+302.75TOPIX;2321.22;+17.81
[後場の投資戦略]
株式市場の先行きについて明るい兆しが見え始めた。昨日発表された米労働省雇用動態調査(JOLTS)の7月求人件数は882万7000件と前月(916万5000件)から減少し、市場予想の950万件を大幅に下回った。また、前月分は速報値の958万2000件から916万5000件へと下方修正されている。自発的離職者の割合や失業者1人に対する求人件数も着実に減少しており、総じて逼迫していた労働市場の緩和を示唆する内容となった。
これを受けて、米10年債利回りは29日、4.12%へと大幅に低下。4.36%を付けた22日からのピークアウト感が強まるチャート形状となっている。米株式市場もこれを好感し、ナスダック指数やS&P500種株価指数は上値抵抗線だった25日および50日の移動平均線を上回ってきた。東証株価指数(TOPIX)も25日線や13週線を明確に上回り、回復基調がより鮮明になった。
一方で、日経平均は75日線や13週線が引き続き上値抵抗線として意識されているが、米長期金利の低下を背景としたハイテク株高により、トレンド好転への期待は高まっている。市場予想を大幅に上回る好決算を発表したにもかかわらず、発表直後は冴えない動きが続いていた米半導体大手エヌビディアも28日、29日と続伸し、復調傾向にある。東京市場でもディスコ<6146>が上場来高値を更新し、東京エレクトロン<8035>も年初来高値を窺う展開になっている。アドバンテスト<6857>はまだ上値の重さが残っているような動きだが、半導体を中心としたハイテク株の上昇が続けば、相場は8月の調整期間を経た9月以降、再び上昇基調を辿る可能性がありそうだ。
一方、今週末にかけては米個人消費支出(PCE)コアデフレーターや米雇用統計など重要指標の発表が控えており、結果次第では本日の明るいムードが暗転する可能性もある。また、日本株に対する懸念要素としては為替動向が挙げられる。米長期金利の低下を受けてドル円は前日の米国市場時間において、147円30銭台から一時145円60銭台まで急低下した。足元では146円台を回復してきているが、米労働市場の逼迫緩和を確認する指標結果が続き、米金融引き締めサイクルの終了が強く意識されてくるようだと、為替の円高への反転が予想される。
逼迫緩和といえ依然として堅調な労働市場と底堅い個人消費を背景に米経済のソフトランディング(軟着陸)期待が根強く残るため、米経済指標の減速が確認されるまでは米長期金利の低下やドル円の下落の余地は限られると思われる。ただ、既に企業の景況感の指標は大幅に悪化しており、今後遅れて個人消費関連の指標も悪化してくる可能性はある。米商品取引委員会(CFTC)によると、投機筋の円売りポジションは7月に一時縮小されていたが、8月以降は再び積み上がってきている。きっかけ次第では円高への揺り戻し余地が大きいことには留意しておきたい。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;32529.72;+302.75TOPIX;2321.22;+17.81
[後場の投資戦略]
株式市場の先行きについて明るい兆しが見え始めた。昨日発表された米労働省雇用動態調査(JOLTS)の7月求人件数は882万7000件と前月(916万5000件)から減少し、市場予想の950万件を大幅に下回った。また、前月分は速報値の958万2000件から916万5000件へと下方修正されている。自発的離職者の割合や失業者1人に対する求人件数も着実に減少しており、総じて逼迫していた労働市場の緩和を示唆する内容となった。
これを受けて、米10年債利回りは29日、4.12%へと大幅に低下。4.36%を付けた22日からのピークアウト感が強まるチャート形状となっている。米株式市場もこれを好感し、ナスダック指数やS&P500種株価指数は上値抵抗線だった25日および50日の移動平均線を上回ってきた。東証株価指数(TOPIX)も25日線や13週線を明確に上回り、回復基調がより鮮明になった。
一方で、日経平均は75日線や13週線が引き続き上値抵抗線として意識されているが、米長期金利の低下を背景としたハイテク株高により、トレンド好転への期待は高まっている。市場予想を大幅に上回る好決算を発表したにもかかわらず、発表直後は冴えない動きが続いていた米半導体大手エヌビディアも28日、29日と続伸し、復調傾向にある。東京市場でもディスコ<6146>が上場来高値を更新し、東京エレクトロン<8035>も年初来高値を窺う展開になっている。アドバンテスト<6857>はまだ上値の重さが残っているような動きだが、半導体を中心としたハイテク株の上昇が続けば、相場は8月の調整期間を経た9月以降、再び上昇基調を辿る可能性がありそうだ。
一方、今週末にかけては米個人消費支出(PCE)コアデフレーターや米雇用統計など重要指標の発表が控えており、結果次第では本日の明るいムードが暗転する可能性もある。また、日本株に対する懸念要素としては為替動向が挙げられる。米長期金利の低下を受けてドル円は前日の米国市場時間において、147円30銭台から一時145円60銭台まで急低下した。足元では146円台を回復してきているが、米労働市場の逼迫緩和を確認する指標結果が続き、米金融引き締めサイクルの終了が強く意識されてくるようだと、為替の円高への反転が予想される。
逼迫緩和といえ依然として堅調な労働市場と底堅い個人消費を背景に米経済のソフトランディング(軟着陸)期待が根強く残るため、米経済指標の減速が確認されるまでは米長期金利の低下やドル円の下落の余地は限られると思われる。ただ、既に企業の景況感の指標は大幅に悪化しており、今後遅れて個人消費関連の指標も悪化してくる可能性はある。米商品取引委員会(CFTC)によると、投機筋の円売りポジションは7月に一時縮小されていたが、8月以降は再び積み上がってきている。きっかけ次第では円高への揺り戻し余地が大きいことには留意しておきたい。
(仲村幸浩)
<AK>