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金融とITの融合「フィンテック(FinTech)」が世の中を変える

Miniトピック
「フィンテック(FinTech)」とは金融とIT(情報技術)との融合による新しい技術革新全般を意味する。「フィンテック」が可能となったのは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や、大量の情報を集積できるクラウドコンピューティング、さらに電子決済などを簡単に手元でできるスマホ等の携帯端末が登場したことによる。「フィンテック」は法人のみならず、一般の消費者が便利に使える新しい金融技術革新といえる。
 フィンテックは金融先進国の米国で急拡大している。最近もっとも注目を集めたのはペイパルの再上場だ。携帯端末経由の決済が好調でペイパルの業績は急拡大、7月20日に再上場したペイパルの時価総額は6兆円(600億円でも6000億円でもない)を超えた。米国では、携帯端末経由の決済処理は今年100兆円に迫る巨大市場に成長し、毎年倍以上のペースで伸びているとされている。
 大手企業もフィンテックを巡って様々な動きを見せている。アップルが「アップルペイ」というネット決済サービスを始めたり、グーグルはAT&Tなど米大手通信会社と提携して「グーグルウォレット」というスマホ向けの決済アプリを標準搭載しようとしている。
 日本では取引所のトラブルで下火となったように見える仮想通貨「ビットコイン」もフィンテックの一種だ。世界的にはビットコインの普及は拡大し続けている。日本企業でも楽天<4755>が仮想通貨「ビットコイン」の受け付けを表明している。
 フィンテックの技術は電子決済のほか、融資や預金といった分野にも及んでいる。共通していることは、大手の金融機関やクレジットカード会社が提供する従来のサービスより、廉価でスピーディーに様々な金融取引が行えることである。
 日本の大手金融機関は顧客を奪われることを恐れて「フィンテック」に及び腰であったが、連携により顧客との接点が増えたり、フィンテックに遅れをとると顧客を失うことを理解してフィンテックに動き始めた。三井住友銀行がGMOペイメントゲートウェイ<3769>と資本・業務提携したほか、みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行もベンチャー企業と提携を進めている。自社のサービスで完結していては世の中の動きに取り残されるというわけだ。
 金融庁も世界的なフィンテックの流れに取り残されないようにするため、規制緩和の方針を打ち出し、金融持ち株会社が決済など金融事業にかかわる企業を傘下に収められるようにする具体的な緩和策を年内にもまとめ、新法を提出する方向で準備を進めている。
 今後フィンテックの市場規模は右肩上がりに拡大して行くことが予想される。金融とITの親和性は高く、利便性を求めて電子決済その他のサービスが増えることはあっても、もはや後退することは考えられない。技術革新のプラットフォームが揃ったことから、人々の要求に対して様々な技術革新も続く。
 「フィンテック」により、従来型銀行の多くのサービスがフィンテック企業の迅速・簡便なサービスにとって替わられるほか、現物の紙幣や貨幣を持ち歩くのが時代錯誤になるなど、世の中の仕組みが大きく変わって行くだろう。

<YU>

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