円高進行が反転する条件は明確
[16/04/11]
提供元:株式会社フィスコ
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Miniトピック
急激な円高が止まらない。ドル円は先週一時107円台に突入した。日本企業のレパトリエーション(海外に投下していた資本を本国に戻すこと)等いろいろな要因が挙げられているが、主たる原因は言うまでもなくイエレンFRB議長が利上げに慎重な姿勢に転じたことだ。
イエレン議長は、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)までは、米国の利上げは米国経済の状況のみを問題として決定するというような唯我独尊的な姿勢であったが、前回のFOMCでは世界経済の情勢及びそれが米国に及ぼす影響も注視して慎重に対応するという姿勢に転じた。
このイエレン議長の宗旨替えにより、米国の早期利上げ観測は大きく後退し、金利が下がり、ドル円も下落トレンドに突入することとなった。
このように、円高進行の原因は、世界経済への懸念に端を発する米国の利上げ慎重姿勢によるものであることから、日本国内の要因や政府日銀・官僚等による口先介入で止めるのは非常に難しい状況となっている。
円高進行を反転させる条件は何か。答えは明確である。上記の主たる原因の逆、すなわち世界経済への懸念が後退し、米国経済への影響が限定的であることを確認してFRBが再度利上げへの道筋を示すことである。
そして、世界経済への懸念が後退するためには、世界経済減速の震源地である中国経済の動向が鍵を握るということになる。
その中国に対しては相変わらず減速懸念が根強い。ただ、最近出た中国の経済指標は少し違う動きを見せている。3月の財新総合購買担当者指数(PMI)は前月の49.4から51.3まで回復し、11カ月ぶりの高水準を記録、製造業、サービス業別では、それぞれ49.7、52.2となり、ともに市場予想を上回った。また、都市部の不動産価格は大きく上昇している。
中国は先の全国人民代表大会(全人代)で構造改革を推進することを表明しつつも、金融緩和や財政政策で景気浮揚を図ることを表明した。特に鉄道等の交通網の整備に年2兆元(約34兆円)超を投じるとした点はリーマン・ショック後の4兆元(約57兆円)の財政出動策を彷彿とさせる。
中国の経済指標への市場の反応は現在のところ限定的だが、復調トレンドが確認できれば、世界経済の最大の懸念事項が後退し、米国の早期利上げ観測も再燃するだろう。
<YU>
イエレン議長は、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)までは、米国の利上げは米国経済の状況のみを問題として決定するというような唯我独尊的な姿勢であったが、前回のFOMCでは世界経済の情勢及びそれが米国に及ぼす影響も注視して慎重に対応するという姿勢に転じた。
このイエレン議長の宗旨替えにより、米国の早期利上げ観測は大きく後退し、金利が下がり、ドル円も下落トレンドに突入することとなった。
このように、円高進行の原因は、世界経済への懸念に端を発する米国の利上げ慎重姿勢によるものであることから、日本国内の要因や政府日銀・官僚等による口先介入で止めるのは非常に難しい状況となっている。
円高進行を反転させる条件は何か。答えは明確である。上記の主たる原因の逆、すなわち世界経済への懸念が後退し、米国経済への影響が限定的であることを確認してFRBが再度利上げへの道筋を示すことである。
そして、世界経済への懸念が後退するためには、世界経済減速の震源地である中国経済の動向が鍵を握るということになる。
その中国に対しては相変わらず減速懸念が根強い。ただ、最近出た中国の経済指標は少し違う動きを見せている。3月の財新総合購買担当者指数(PMI)は前月の49.4から51.3まで回復し、11カ月ぶりの高水準を記録、製造業、サービス業別では、それぞれ49.7、52.2となり、ともに市場予想を上回った。また、都市部の不動産価格は大きく上昇している。
中国は先の全国人民代表大会(全人代)で構造改革を推進することを表明しつつも、金融緩和や財政政策で景気浮揚を図ることを表明した。特に鉄道等の交通網の整備に年2兆元(約34兆円)超を投じるとした点はリーマン・ショック後の4兆元(約57兆円)の財政出動策を彷彿とさせる。
中国の経済指標への市場の反応は現在のところ限定的だが、復調トレンドが確認できれば、世界経済の最大の懸念事項が後退し、米国の早期利上げ観測も再燃するだろう。
<YU>