週刊ダイヤモンド今週号より〜イオン:拡大経営の不安、成長の序章か崩壊の始まりか
[14/03/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
イオン<8267>が規模拡大に向けて攻勢をかけています。昨夏には、ダイエー<8263>を傘下に収め、売上高は国内ナンバーワンとなりました。さらに今年からは、アセアンで積極出店を始めており、アジアナンバーワンの座を狙っています。ただ、拡大経営には危うさが潜んでいるのも事実。今週号の特集では、イオンが抱えるリスクに迫ります。
積極的に出店を進めるイオンですが、本業の総合スーパー(GMS)事業の利幅は極めて薄いのが現状です。同事業は売上高の約半分を占めますが、営業利益ではデベロッパー事業と総合金融事業で4割を稼ぎ出しています。GMS事業が“超薄利”となっている背景には、コンビニエンスストアやインターネット販売の台頭による消費者のGMS離れがあります。イオンが収益力向上を図るには、小売りだけではなく、小売り周辺のビジネスへと軸足を移していく必要がありそうです。
また、子会社の上場によるリスクも懸念されます。現在、イオンの上場子会社は国内外合わせて24社と国内最多。社員の士気向上や株式上場益を狙った結果で、同社では今後も子会社の上場を続ける構えです。しかしながら、今や多くの企業が親子上場を解消する方向にあります。親子上場には、親会社の利益が優先されて子会社の利益が損なわれるという「利益相反のリスク」が付きまとうためです。これが親子上場を続けるイオンへの市場評価の低さにもつながっています。
最後に、出店や買収で膨れる有利子負債の圧縮に向け、自らリート(不動産投資信託)を設立したという“奇策”も大きなリスクをはらんでいます。このリートは物件の売り手、買い手、借り手、運用会社の全てがイオングループという特殊な仕組みを持ちますが、それ故に利益相反のリスクが生じやすくなります。また、リートの運用資産がイオンの店舗に集中することで、リート本来の役割である分散投資が利かず、投資リスクが高まる可能性もあります。
このように、拡大経営と表裏一体のリスクを抱えるイオンですが、ひとたび信用を失うような事態が生じれば、成長の歯車が狂い始める恐れがあると、ダイヤモンド誌では指摘しています。
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積極的に出店を進めるイオンですが、本業の総合スーパー(GMS)事業の利幅は極めて薄いのが現状です。同事業は売上高の約半分を占めますが、営業利益ではデベロッパー事業と総合金融事業で4割を稼ぎ出しています。GMS事業が“超薄利”となっている背景には、コンビニエンスストアやインターネット販売の台頭による消費者のGMS離れがあります。イオンが収益力向上を図るには、小売りだけではなく、小売り周辺のビジネスへと軸足を移していく必要がありそうです。
また、子会社の上場によるリスクも懸念されます。現在、イオンの上場子会社は国内外合わせて24社と国内最多。社員の士気向上や株式上場益を狙った結果で、同社では今後も子会社の上場を続ける構えです。しかしながら、今や多くの企業が親子上場を解消する方向にあります。親子上場には、親会社の利益が優先されて子会社の利益が損なわれるという「利益相反のリスク」が付きまとうためです。これが親子上場を続けるイオンへの市場評価の低さにもつながっています。
最後に、出店や買収で膨れる有利子負債の圧縮に向け、自らリート(不動産投資信託)を設立したという“奇策”も大きなリスクをはらんでいます。このリートは物件の売り手、買い手、借り手、運用会社の全てがイオングループという特殊な仕組みを持ちますが、それ故に利益相反のリスクが生じやすくなります。また、リートの運用資産がイオンの店舗に集中することで、リート本来の役割である分散投資が利かず、投資リスクが高まる可能性もあります。
このように、拡大経営と表裏一体のリスクを抱えるイオンですが、ひとたび信用を失うような事態が生じれば、成長の歯車が狂い始める恐れがあると、ダイヤモンド誌では指摘しています。
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