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週刊ダイヤモンド今週号より〜不正疑惑が浮上 KDDIに問われる自浄作用

注目トピックス 経済総合
スマホ関連製品をめぐる不正取引の疑いを指摘した内部告発状がKDDI<9433>を揺るがしています。今週号の週刊ダイヤモンドでは不正の実態に迫るとともに、その背景にある田中孝司社長体制の問題点に焦点を当てています。

問題の取引とは、KDDIが2012年11月からスマホの修理などを行うA社に対して、スマホ関連製品を計10億円以上発注してきたというものです。2013年8月にはスマホ用外付けメモリが10万個、総額6億円も一括発注されていました。

関係者によれば、通常この種の製品は売れ行きに合わせて月ごとに数千〜10000個を発注するもので、この取引の不可解さは際立っています。また、仕入れ値についても他社が5000円を切る価格のところ、KDDIは6000円で発注していました。

内部調査資料によると、こうして仕入れられた商品は5000個が販売され、余った95000個のうち65000個が購買から半年程度で除却(廃棄)されていました。単純計算で4億円近い損害が出ている状況です。

すでに始まっている内部調査で不透明な部分が明らかになっていくのでしょうが、ダイヤモンド誌では、「モメンタム(勢い)をつくろうとした田中孝司社長体制の弊害が出てきている」との関係者の証言を引用し、問題の背景にも迫っています。

KDDIの掲げるモメンタムとは、携帯電話事業の経営指標を表す「純増数」「携帯電話番号持ち運び制度(MNP)の推移」「オプションサービス加入者数」を伸ばすことにあります。ただ販売競争が激化する中、田中社長がこれにこだわるあまり、販売現場での強引な勧誘や多額のキャッシュバックの横行を助長してしまいました。

販売強化を重ねると営業系の権限が強まります。実は不正取引の当事者として告発状で名指しされている人物は、営業系の幹部候補として社内で恐れられているというB氏です。B氏の権力の背景には、やはり営業系の幹部で「社長すらあまり口を出せない」というC氏の存在があります。告発状では、B氏とA社の関係に言及するほか、B氏の部下や他部署を含めた組織的な関与の疑いを指摘しています。

KDDIは昨年まとめた新たな経営理念「KDDIフィロソフィ」の中で、創業者である稲盛和夫最高顧問の次の言葉を掲げています。「動機善なりや、私心なかりしか」。今のKDDIにその精神があるのか、真相の解明と自浄作用の発揮が問われていると言えるでしょう。



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