NYの視点:世界経済回復への期待がしぼむ
[14/05/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
米国の景気回復を主に牽引すると見られていた住宅市場の回復が停滞していることはイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長を始めFRBメンバーの驚きとなっている。ゴールドマンサックスやマクロエコノミクスも住宅市場の回復ペースが昨年末から年初にかけて見られた悪天候による低迷からは改善しているものの予想を大幅に下回るとし、14年下半期の成長率見通しを当初の3.5%から3.25%へ引き下げた。
イエレン議長は7日の議会証言において、住宅市場の停滞を見通しリスクの一つとして挙げた。ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁(2014年度の投票権無)も依然、今後の経済で「3%成長が達成可能」と見ていると同時に、住宅市場の弱さに驚きを表明している。
住宅ローン融資の基準が非常に厳しいことが一因だが、FRBが出来ることは限られる。また、指摘されている住宅市場の供給に影響を与える能力も限られる。さらに、人件費や建設資材価格の高騰を受けて住宅建設会社は資金繰りが困難になったことに加えて、新規購入者用の低価格の住宅建設よりもより高価格のプロジェクトに焦点をあてていることに対してもなすすべはない。
居住住宅投資の国内総生産(GDP)への寄与度は昨年10-12月期に、12四半期連続のプラスから0.25%マイナスに落ち込んだ。1-3月の速報では0.18%のマイナス。現在のところ、FRBが住宅市場の回復ペース加速のためにできることは異例な低金利を当面維持することくらい。
フランスの4月求職者総数は340万人と予想の335.4万人を上回り、過去最高となった。ドイツの5月失業率は6.7%と変わらずだが失業者数は前月比2.4 万人増と減少予想に反して増加し、増加幅は2009年4月以来で最高に達した。米国債券相場では米連邦準備制度理事会(FRB)が資産購入策を縮小しているにもかかわらず価格が上昇。10年債利回りは昨年6月以来で最低となった。米国債券市場は世界経済の回復ペースの遅さに気付き始めたのかもしれない。
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