NYの視点:セントルイス連銀総裁が速やかな利上げの可能性を指摘
[14/06/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
ブラード・セントルイス連銀総裁は、年内残りの米国経済が予想通りの成長を続けると多くのメンバーが現在予想しているよりも早い時期に短期金利を引き上げることになる可能性があると指摘した。同総裁は2014年度の投票権を持たず、中立派として知られる。同総裁が予想しているとおり、1)第2、3、4四半期経済が3%以上成長し、2)失業率も6%以下に低下、3)各月の雇用も20万人増のペースを維持、4)インフレも2%に向けて上昇した場合、米連邦公開市場委員会(FOMC)は早期の利上げが可能になると説明した。最初の利上げは、現在FOMCメンバーが予想している2015年度第1四半期の後半ではなく前半に実施される可能性が強まるという。
ほとんどのFOMCメンバーは最初の利上げが2015年度に実施されると見込んでいる。ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁(投票権なし)は最初の利上げは2015年後半までないだろうとの見通しを示したばかり。同総裁は2014年度の投票権を保有しないが前サンフランシスコ連銀総裁のイエレンFRB議長と友好的であることから、発言に注目が集まる。ダドリーNY連銀総裁(投票権有)は5月後半に「利上げはほど遠い」との見解を示すと同時に、「時期は誰にもわからない」と加えた。一方、タカ派として知られるジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁(投票権なし)は資産購入終了後、速やかな利上げが好ましいとの見解を示した。資産購入策は現在のペースでいけば秋ごろに終了すると予想されている。
これに対し、やはり2014年度の投票権を持たずハト派として知られるローゼングレン・ボストン連銀総裁は「FRBの2つの責務である2%インフレと完全雇用の目標達成が1年以内に近づくまで利上げは適切ではない」と依然、慎重な姿勢を示した。失業率5.25%が完全雇用の目安だと見ていることも明らかにした。同時に、バランスシートの縮小を明確にすることが金融混乱のリスクを軽減するとし、MBS(住宅ローン担保証券)への再投資を徐々に終了することやバブルの兆候が見られた場合の保有資産の売却を推奨した。
米国経済は1-3月期の天候による低迷後、最近の指標は成長や雇用の拡大が継続していることを示している。インフレはFRBの目標である2%を大幅に下回ったままだが、徐々に上昇しつつある。17-18日に予定されている次回FOMCでは、政策金利であるFF金利誘導目標が0-0.25%のレンジで据え置かれ、資産購入策が計画通りさらに100億ドル規模縮小されることが決定されると見られている。ブラード・セントルイス連銀総裁はこの会合で、資産購入終了後の方針を明確化することが望ましいと言及。一部メンバーが主張している再投資を終了し保有している資産の規模を縮小した場合、引き締めの開始として金利が徐々に上昇することになるだろうとし、引き締めに転じるまで再投資を継続すべきだとした。次回の会合では再投資に関しての協議が活発化する可能性がある。
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