NYの視点:まちまちの米国経済指標
[14/06/24]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 経済総合
マークイット・エコノミクスが発表した6月マークイット製造業PMIは57.5と、低下予想に反し5月の56.4から上昇。2010年5月以降ほぼ4年ぶりの高水準となった。項目で生産は2010年4月以来で最高となったほか、4-6月期の平均伸び率は、統計を開始した2007年初旬以来で最大。4-6月期の米国経済が少なくとも3%成長を見せると強気の見方が示された。悪天候により1.0%のマイナス成長に落ち込んだ1-3月期から力強く回復するとの見方。雇用項目も引き続き強いペースで拡大した。企業が需要の増加に見合うように生産能力を引き上げているためだと説明。マークイットは6月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が引き続き20万人増となる期待感を示した。
一方で、住宅市場ではまだ弱い兆候が見られる。全米不動産業者協会(NAR)が発表した5月の中古住宅販売件数は前月比4.9%増の489万戸と、市場予想の474万戸を上回り2か月連続で増加した。2013年10月以来で最高になるなど表面上は良い結果となった。しかし、通常、住宅市場の原動力となる初めての住宅購入が販売全体に占める割合はわずか27%にとどまり、前月、前年同月の29%からさらに低下した。75万ドル以上の高額物件は通常、初めての購入ではない。ほとんどの販売が現金で行われ、投機や投資目的の購入と考えられている。
価格別での販売動向を見ると、4月分では25万ドル以上の物件での販売に増加が見られていた。ところが、5月分で増加が見られたのは100万ドル以上の高額物件のみ。4月に比べて内容は悪化した。5月の住宅指標の回復をけん引したのは投機や投資が活発化したためで、米連邦公開市場委員会(FOMC)が実施している異例な緩和策の恩恵を受けているのは富裕層のみで全米の経済には侵透していないことになる。賃金の低い伸びに加え住宅市場の状況を鑑み、一部のインフレ上昇にもかかわらず、イエレンFRB議長はハト派姿勢を維持していると考えられる。
■住宅価格別販売動向(前年比)
0-10万ドル:-14.5%(4月:-12.0%)
10-25万ドル:-6.6%(-5.1%)
25-50万ドル:-2.5%(+0.2%)
50-75万ドル:-1.7%(+0.3%)
75-100万ドル:-1.7%(+2.4%)
100万ドル以上:+4.0%(+6.2%)
<KO>