週刊ダイヤモンド今週号より〜遠のく武田薬品の信頼回復 真相解明できぬ第三者調査
[14/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
武田薬品工業<4502>の研究不正疑惑の調査結果がまとまりました。臨床試験への不適切な関与は認めましたが、薬事法で禁じる誇大広告などの疑惑は「シロ」判定で、武田に逃げ道を残す形となりました。今週号の週刊ダイヤモンドでは疑惑の真相に迫っています。
CASE-J試験は、ブロプレスの売り上げ最大化を図る目的で武田薬品工業が企画・立案した??。武田の高血圧症薬「ブロプレス(一般名・カンデサルタン)」に関する臨床試験「CASE-J」をめぐる不正疑惑について、武田が依頼した法律事務所による調査で判明したのは以下のような事実でした。
1999年6月、武田はブロプレスを発売。市場には競合品があふれ、米ファイザーの「アムロジピン」が最大のシェアを誇っていました。そこで同年9月、ブロプレスとアムロジピンを比較する臨床試験の企画が武田の本部長会で承認されました。武田は社内にプロジェクトチームを設置し、このCASE-Jの企画から学会発表に至るまで一貫して関与しました。
2000年10月には、試験を取り仕切る京都大学に30億円寄付することを取締役会で承認。01年9月に試験が始まると参加患者数増のための活動を推進し、試験の終了時期が迫ると結果に武田の意向が反映されるよう働き掛けを強めるなどしました。
にもかかわらず、仮解析結果は主要項目でアムロジピンと「有意差なし」という武田にとって無情なものでした。ここから、少しでも有利な結果を引き出すため武田が巻き返しを図ります。糖尿病の解析では、定義変更した追加解析を行うよう担当者に依頼し、ブロプレスに有利な結果を引き出すことに成功しました。また、研究成果の発表段階でも学会発表用スライドの作成に関与しており、武田の提案で一部スライドが修正されていました。
ここまで武田の不適切な関与を列挙した報告書ですが、(1)データ改ざんの事実は確認されなかった、(2)医師に誤認させるものとまではいえないと考えた、という理由で、誇大広告疑惑については「薬事法違反に該当しない」とあっさり結論付けています。もっとも、試験の過程で患者2人に重篤な副作用が発生したという情報を入手しながら、国に報告しなかったことが判明しており、これは薬事法違反が疑われます。
調査したジョーンズ・デイ法律事務所のクライアントには武田の米国子会社の名前がホームページにはっきりと記載されており、身内の側面は否めません。CASE-Jへの関与は認めるが、法律違反は勘弁してほしい。このような武田の働き掛けの有無を勘繰られてしまうようでは、信頼回復は遠いと記事は指摘しています。
<NT>
CASE-J試験は、ブロプレスの売り上げ最大化を図る目的で武田薬品工業が企画・立案した??。武田の高血圧症薬「ブロプレス(一般名・カンデサルタン)」に関する臨床試験「CASE-J」をめぐる不正疑惑について、武田が依頼した法律事務所による調査で判明したのは以下のような事実でした。
1999年6月、武田はブロプレスを発売。市場には競合品があふれ、米ファイザーの「アムロジピン」が最大のシェアを誇っていました。そこで同年9月、ブロプレスとアムロジピンを比較する臨床試験の企画が武田の本部長会で承認されました。武田は社内にプロジェクトチームを設置し、このCASE-Jの企画から学会発表に至るまで一貫して関与しました。
2000年10月には、試験を取り仕切る京都大学に30億円寄付することを取締役会で承認。01年9月に試験が始まると参加患者数増のための活動を推進し、試験の終了時期が迫ると結果に武田の意向が反映されるよう働き掛けを強めるなどしました。
にもかかわらず、仮解析結果は主要項目でアムロジピンと「有意差なし」という武田にとって無情なものでした。ここから、少しでも有利な結果を引き出すため武田が巻き返しを図ります。糖尿病の解析では、定義変更した追加解析を行うよう担当者に依頼し、ブロプレスに有利な結果を引き出すことに成功しました。また、研究成果の発表段階でも学会発表用スライドの作成に関与しており、武田の提案で一部スライドが修正されていました。
ここまで武田の不適切な関与を列挙した報告書ですが、(1)データ改ざんの事実は確認されなかった、(2)医師に誤認させるものとまではいえないと考えた、という理由で、誇大広告疑惑については「薬事法違反に該当しない」とあっさり結論付けています。もっとも、試験の過程で患者2人に重篤な副作用が発生したという情報を入手しながら、国に報告しなかったことが判明しており、これは薬事法違反が疑われます。
調査したジョーンズ・デイ法律事務所のクライアントには武田の米国子会社の名前がホームページにはっきりと記載されており、身内の側面は否めません。CASE-Jへの関与は認めるが、法律違反は勘弁してほしい。このような武田の働き掛けの有無を勘繰られてしまうようでは、信頼回復は遠いと記事は指摘しています。
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