NYの視点:米住宅市場回復の兆候なし
[14/08/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
米商務省が発表した7月住宅着工件数は期待はずれの結果となった6月分から15.7%増の109.3万戸となった。市場予想の96.6万戸を上回り2008年2月来で最大を記録した昨年11月以来で最大となった。通常、住宅着工件数の先行指標として注目される建設許可件数も前月比8.1%増の105.2万戸と市場予想の100万戸を上回り4月以来で最大となった。
この結果はエコノミストやFOMCメンバーが待ちに待った住宅市場の回復を示すかというと残念ながらそうではなさそうだ。集合住宅の建設や建設許可件数の大幅な増加が全体指数を押し上げたため。7月の集合住宅(5世帯以上)の着工件数は42.3万戸と前月比33.0%増、前年比では52.8%増で2006年1月以来で最大となった。一戸建て住宅の着工件数も65.6万戸と前月比で8.3%増、前年比で7.3%増と増加しているものの、集合住宅と比較するとその伸びは低く、歴史的な正常値からかなり低い水準にとどまったまま。
住宅ローン規制が依然厳しくまた、経済的理由から若者の住宅保有率が低下している一方で、子育てを終えたベビーブーマー達がダウンサイジングを進めていることが影響している。住宅市場の健全性をはかるには一戸建て住宅の動向を見極める必要がある。住宅着工許可件数で、一戸建て住宅は前月比での伸びが1%にも満たなかった。一方、集合住宅(5世帯以上)は前月比23.6%増。住宅市場の低迷が一段と深刻化する可能性も示唆されている。
イエレンFRB議長は今後の金融政策において、労働市場の「たるみslack」とともに住宅市場の回復停滞を注視していくことになる。
■米7月住宅着工件数:109.3万戸、前月比+15.7%、前年比+20.2%
一戸建て住宅:65.6万戸、前月比+8.3%、前年比+7.3%
集合住宅(5世帯以上):42.3万戸、前月比33.0%、前年比+52.8%
■米7月住宅着工許可件数:105.2万戸、前月比+8.1%、前年比+7.6%
一戸建て住宅:64万戸、前月比+0.9%、前年比+3.9%
集合住宅(5世帯以上):38.2万戸、前月比+23.6%、前年比+16.1%
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