NYの視点:ロシア経済のリセッションに陥る確率が上昇
[14/08/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
ポロシェンコ・ウクライナ大統領は緊急声明を発表し、「ロシア軍がウクライナへ侵攻」と正式に宣言した。1000人超のロシア兵がウクライナ領内で活動していると報じられている。NATO(北大西洋条約機構)も入手した映像で、「ロシア軍がウクライナ領内で勢力を増強していることを確認した」と発表。これを受け、メルケル独首相は今週末にブリュッセルで開催される欧州連合(EU)サミットにおいて対ロシア制裁を強化する可能性を指摘した。オバマ米大統領も会見を開き、一段の制裁を実施する可能性を示唆した。
一方、ロシア経済は紛争の緊張が高まるにつれ景気後退(リセッション)に陥る確率が上昇。ブルーンバーグがエコノミストを対象に実施した調査によると、今後12か月間にロシア経済がリセッションに陥る確率は65%と、同社が調査を開始した2012年6月以来で最高を記録したという。欧米が実施した制裁への報復としてロシアは今月、いくつかの食料品の輸入を禁止。今後は自動車や消費財の輸入制限などに制裁を拡大する公算が強いと見られている。ただ、経済やエネルギー産業に焦点をあてた欧米の制裁の影響を受けたロシア経済は、報復制裁を受けた欧米の経済よりも痛みが激しいとエコノミストは判断している。
ロシアの経済省は2015年の同国経済の見通しを従来の2%成長から1%成長へ下方修正した。インフレの加速や制裁の影響を指摘した。更に厳しい制裁が科されると、ロシア経済はリセッションに陥る可能性が高まる。プーチン大統領は欧米の制裁で失った需要を中国やブラジルなどと関係を深めることで相殺可能だと自信を持っているようだ。断固とした方針を表明しているプーチン大統領への国民の期待は強い。支持率は80%にまで達しているという。ただ、経済がリセッションに陥った場合、この高支持率が維持できるかどうかは定かではない。逆に、それまで、プーチン大統領は態度を緩和させる可能性は低いということになる。
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