NYの視点:スコットランド独立に備える
[14/09/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
グレートブリテンを構成する4つの地域(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のひとつスコットランドの独立に向けた不透明感を嫌気して、投資資金が安全資産に向かう。スコットランドは今月18日に独立の是非を問う住民投票を実施する。週末発表されたYouGov/Sunday Timesの世論調査で、支持票51%と初めて反対票49%を2ポイント上回ったことが明らかになった。1か月前の調査では反対票が14ポイント上回っていた。投票が近づくにつれ支持票が増している。
これを受けて英国政府はスコットランドに一段の自治権を与える方針を示した。英国のオズボーン財務相は独立反対派が多数となった場合、税制・歳出・社会保障面でスコットランドに一段の自律性を与える施策を近く打ち出すと述べた。独立は、スコットランドの住宅ローン金利の上昇、一段と厳しい歳出削減やユーロ圏型の通貨危機につながると警戒されている。一方、英国でも万が一、スコットランドが独立した場合、通貨や財政に関する不透明感が増大することになる。分離した場合はポンドを共有することはないという。スコットランドのサルモンド行政府首相は、英国財政債務の共有分(約1400億ポンド)の支払いを拒む可能性にも言及した。
米ゴールドマンサックスのアナリストはスコットランドの独立が著しい財政調整に直面することになり、ユーロ債務危機のような金融危機につながる可能性を警告した。スコットランドは英国よりも高齢化がすすんでいると言われている。また、投資家によるスコットランド資産の売却、スコットランドベースの銀行から預金を引き出す動きに拍車をかける可能性も指摘されている。ING銀のストラティジスとは万が一、スコットランドの独立が決定した場合、ポンドが対ドルで1.50ドル台の半ばまで急落する可能性を指摘した。
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