NYの視点:ECBのQE観測強まるが今会合は見送りか
[14/10/01]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
欧州中央銀行(ECB)の定例理事会を10月5日に控えて、EC統計局(ユーロスタット)が発表したユーロ圏の9月消費者物価指数速報値は前年比0.3%増と、8月の0.4%増から低下した。2008年の米国発金融危機直後の2009年10月以降5年ぶりの低水準を記録。変動の激しい燃料や食料品価格を除いたコアCPIも前年比0.7%増と、5月、昨年12月と同様、過去最低水準に並んだ。8月の失業率も11.5%に高止まった。ユーロ圏では若者のほぼ4分の1が失業中だという。ドイツの9月失業者数も減少予想に反し、2か月連続で増加した。増加幅は5月以来で最大。多くのエコノミストは、ユーロ圏がデフレに陥る危険性を警告した。
デフレを回避するため、ドラギ総裁が率いる欧州中央銀行(ECB)はすでに政策金利を下限まで引き下げ、ユーロ圏の銀行に対し低金利の融資提供を決定。9月の定例理事会で発表した金融刺激策により経済に1兆ユーロの資金を供給する。しかし、インフレ指標の低下に加え、ロシア制裁や世界の地政学的リスクの上昇が影響した成長見通し悪化で、欧州が依然、悪化基調にあることが示された。バークレイズ銀行を始め、一部金融機関のアナリストは、ECBが米連邦準備制度理事会(FRB)型の量的緩和(QE)を実施する事例ベースになり得るとしている。
ただ、9月会合時から4%下落したユーロ相場はこういった要因を相殺する。ECBがFRB型のQEを実施することは米国、英国、日本のように容易ではない。ECBの中で権力を握っているタカ派として知られるドイツ連邦銀行はデフレの脅威が広がらない限り、QEに反対する構えを固持。また、今回の理事会が年に二回催される遠征で、フランクフルトを離れてイタリアのナポリで開催されるため、ほとんどのエコノミストは今回、大きな措置が発表される可能性は少ないと見ている。10月会合では、ドラギECB総裁が時間稼ぎのためのユーロ安誘導発言を繰り返す可能性が強いと予想される。
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