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NYの視点:ギリシャの頼みの綱はECB

注目トピックス 経済総合

ギリシャは30日に救済策が失効するほか、国際通貨基金(IMF)への15億ユーロの支払い期限を迎える。ユーロ圏からの救済資金供給がなければ、30日のIMFへの支払いや7月、8月に控えている欧州中央銀行(ECB)やIMFへの支払いが履行できない。ダイセルブルーム・ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)議長は今週中の合意を目指していたが、危うくなってきた。債権団がギリシャの提案を承認しなかった一方、ギリシャ側も債権者側の案を拒否しており妥協点が見つからない状況のようだ。

確かに今週初め、ギリシャが新たな修正案を提出したことをきっかけに協議が前に進んだものの、依然両者の溝が埋まらない。ギリシャは債務再編の要請を押し通している。ショイブレ独財務相は「協議は前進するどころか後退した」と述べ、ユーログループ会合は合意なく終了。ギリシャによる新たな策の提示を求め27日に会合を再開する予定。メルケル独首相やオランド仏大統領は政治的な理由も絡めて「ギリシャのユーロ残留が最優先課題」としており、首脳会議では合意に向けて債権者側が一層譲歩する可能性もある。

たとえ土壇場で合意にいたったとしても、30日の国際通貨基金(IMF)への支払いを履行できない懸念も残るが、欧州中央銀行(ECB)の証券市場プログラム(SMP)からの利益の一部で支払うことが可能であるようだ。また、たとえ、ギリシャがIMFへの支払い不履行となったとしても、速やかに自動的な「債務不履行(デフォルト)」に陥ることはない模様。1.「デフォルト」と認定するまでにかなりの時間がかかる。2.格付け会社は、公的機関に対する支払不履行はデフォルトに相当しないとすでに表明している。

問題はギリシャの流動性。預金の引き出しが加速しており、「ギリシャの中央銀行が政府に資本規制導入を要請するのでは」との警戒感も根強い。欧州中央銀行(ECB)はギリシャの銀行にELA(流動性緊急支援)を供給し続けているが、バイトマン独連銀総裁はギリシャの銀行向けELAの継続を「国家への金融的支援にあたる」とし「非常に懸念している」と表明。ECBによる国家への金融支援は欧州連合(EU)の規定で禁じられている。世界の市場から締め出された今、ギリシャの金融システムは中央銀行の流動性に頼らざるを得なくなっている。ELAは通常、財政的に健全で、担保としても良好な銀行に対する一時的な資金源として考えられている。バイトマン独連銀総裁はギリシャの銀行に対してのELAは長期にわたっており、銀行の唯一の資金源になっていると指摘。

ドラギECB総裁はギリシャの銀行が支払能力があり、十分な担保を持っている限りギリシャの銀行に対する流動性供給を継続していく方針を示している。一方で、状況の変化を監視していく姿勢。30日にギリシャが支払を不履行とした場合、速やかにデフォルトと承認される可能性はないかもしれないが、ECBはELAを中断する可能性があり、ギリシャは唯一の資金源が絶たれることになる。ECBがELAを中断した場合、ギリシャは資本規制を導入せざるを得なくなる。

協議がこのままこう着した場合、ユーロ圏は救済策を延長、その間に欧州やギリシャの経済・財政状況が自然に治癒するのを待つ、または、ギリシャ政権が再びユーロ支持の政権に移行することを待つ方針なのかもしれない。


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