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(中国)ポータブル充電器の出火事故多発、粗悪品販売が横行

注目トピックス 経済総合
中国で「充電宝」と呼ばれる携帯機器向けポータブル充電器(モバイルバッテリー)の出火事故が多発している。旅客が航空機内に持ち込んだポータブル充電器から煙が出る事故が立て続けに3件起きたことを受け、中国民用航空局はこのほど、安全検査の強化を各航空会社に緊急通知。広東省広州市の地下鉄1号線・東山口駅でも、ポータブル充電器が燃える事故が発生した。その“元凶”となったのは、ポータブル充電器市場に出回っている粗悪品やコピー商品だ。広州日報が伝えた。

広州市の地下鉄駅周辺では、ポータブル充電器を売る路上販売業者が多い。「小米」「サムスン」「ソニー」といった国内外ブランドのコピー商品が売られている。値段は5000ミリアンペア時(mAh)のポータブル充電器で20人民元(約393円)、1万mAhでも45人民元(約885円)。取材記者が入荷ルートを訪ねると、販売業者はいずれも言葉を濁した。正規品に比べ、こうしたポータブル充電器の重さは遥かに軽い。なかには単1形マンガン乾電池より軽いものもあったという。

一方、家電量販店などで販売されているポータブル充電器は70人民元〜200人民元(約1377〜3936円)ほど。路上で売られるコピー商品の3〜10倍に相当する価格だ。しかし、業界関係者によれば、大手量販店の商品も品質が保証されているとは限らない。中国のポータブル充電器業界では、長年にわたって参入規制や国家基準規格がなく、中小・零細業者が乱立する状況が続いてきたためだ。ある業界関係者は、「市場のポータブル充電器は7割がニセモノ」と話し、懸念を露わにした。

中国当局が報告した検査結果もポータブル充電器に潜む危険性を裏付ける。市販されている32種類のポータブル充電器を対象に、国家品質監督検験検疫総局が昨年に実施した衝撃試験で、9種類の製品が出火・爆発。出力性能テストの合格率もわずか12.5%にとどまったという。コスト削減を優先し、バッテリー、ケースなどに粗悪品を採用するメーカーが多いのが実態だ。

こうした状況を改めるため、中国当局はようやく動き出した。ポータブル充電器の国家標準規格「携帯式電子産品用の電池モジュール・リチウムイオン電子に対する安全要求」が今年8月1日から導入される予定。中小メーカーを中心に市場淘汰が進むとみられている。

【亜州IR】



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